SPCとAPC

#品質管理 #管理図 #SPC #APC #半導体

 シューハート管理図を代表とする統計的工程管理(SPC)は、 部品加工を主とする機械加工工程を中心に活用されてきました。一方で、 化学反応を主とした工程(以下、プロセス加工工程)においては APC ( automatic process control:APC)が活用されています。

 APCとは、フィードバック制御を自動で行うことで品質特性のばらつきを低減させる仕組みです。また、フィードバック制御とは、 ある時点t-1までの特性値のデータから、ある時点 tの特性値と目標値との差を予測し、その差を調整できる因子でその特性値を変え、それにより、特性値が目標値からばらつかないようにすることです。SPCが目指す、『品質特性の変動を特定原因を取り除き、偶然原因のみとする』という思想から考えれば、APCは小手先の手段に思われるかもしれません。しかし、現実的には、特定原因を見つけ、それを除去することが技術的、経済的に不可能なケースが多くあります。

 ここで、機械加工工程において、APCにより特性値を調整する費用は、プロセス加工工程よりも相対的に高くなっています。また、プロセス加工工程では、機械加工工程に比べ、特性値を変動させる特定原因をみつけたとしてもその除去が、難しいケースが多くあります。

 これらの背景から、機械加工工程で用いる管理図とプロセス加工工程で用いる管理図は、目的は同じですが、手段が異なります。つまり、機械加工工程で用いる管理図は、特性値からいつもと違うかの異常判定を行うことが主となるのですが、プロセス加工工程で用いるそれは、工程調整が予想通りに行われたかを確認することが主となっているのです。

 半導体工程は、このSPCとAPCの2つの工程管理を併用した工程となっています。近年、車載製品に半導体チップが使われるようになってきましたが、その際に、機械加工工程中心の自動車メーカー、自動車部品メーカーが半導体メーカーに対して、SPCを基本にした工程管理を強く求めるのはこういった背景も一つの要因ではないかと思っています。

 半導体メーカーはこういった背景を踏まえつつ、SPCとAPCをうまく融合した工程管理を目指していかなければいけないのかもしれません。

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