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「大人のための読書」とは?(No. 928)

考える人 メールマガジン
2021年9月9日号(No. 928)

ブレイディみかこ×ヤマザキマリ「パンク母ちゃん」


ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2 』の発売が9月16日に決まったブレイディみかこさんと、ヤマザキマリさんとの対談「パンク母ちゃん」、noteで好評配信中!

「考える人」で冒頭の立ち読みができます。

1. パンクな母ちゃんとクレバーな息子たち


2. 詩人と本気で恋をした


3. 私たち一生「グリーン」

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「考える人」と私(28) 金寿煥

 先週ご紹介した「考える人」2004年冬号の特集「大人のための読書案内」。特集のメインディッシュとなるのは、加藤典洋、河合隼雄、関川夏央、堀江敏幸、養老孟司の五氏による座談会「大人のための本とは何だろう?」でしょう。
 この5人は「考える人」創刊と同時にスタートした小林秀雄賞の選考委員でもあります。すでにこの時までに同賞は第2回までの選考を終えていて、第1回は橋本治さんの『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(新潮社)、斎藤美奈子さんの『文章読本さん江』(筑摩書房)第2回は岩井克人さんの『会社はこれからどうなるのか』(平凡社)、吉本隆明さんの『夏目漱石を読む』(筑摩書房)が受賞作に選ばれています。

 小林秀雄賞は、同氏の生誕100年を記念して2002(平成14)年に創設、「文学、歴史、哲学、芸術、科学と、多岐にわたった氏の遺業に鑑みて、選考対象は日本語による言語表現作品一般とし、自由な精神と柔軟な知性に基づいて新しい世界像を呈示した作品一篇に贈呈」とその規約にあるように、「優れた批評性」をもった作品について与えられる賞です。
 その賞の選考委員である5名が「大人のための本」をめぐって語る座談会。それぞれがまず30冊のリストを作成、とりわけ強く推薦する1冊を全員が読み、感想をぶつけ合う――そのようにして進行していきます。
 それぞれが推薦する「1冊」をご紹介しましょう。

養老孟司さん:オリヴァー・サックス著、吉田利子訳『火星の人類学者』(ハヤカワ文庫)

堀江敏幸さん:フィリパ・ピアス著、高杉一郎訳『トムは真夜中の庭で』(岩波少年文庫)

関川夏央さん:大岡昇平著『俘虜記』(新潮文庫)

河合隼雄さん:シオドーラ・クローバー著、行方昭夫訳『イシ 北米最後の野生インディアン』(岩波現代文庫)

加藤典洋さん:高田宏著『猪谷六合雄 人間の原型・合理主義自然人』(平凡社ライブラリー)

 それぞれが推挙する本を「よくぞこの本を」「通読したのは今回が初めて」など、想いの濃淡はありつつも、5人それぞれの読みの角度をもって語り合う、まことに贅沢な「読書座談会」です。5人が挙げた30冊のリストも貴重で、それをここでご紹介できないのは痛恨ですが、座談会の主旨を的確にとらえた、終盤における加藤典洋さんの発言を引用したいと思います。

 読書っていうのは、こういう本をこういう風に読んでほしい、というんじゃないんですね。役に立つわけでもないし参考にもならないけど、自分はこの本がなぜか記憶に残っているよと。そういうところで読書は生きるのじゃないかな。

 この発言に「大人のための読書」に大事なものが詰まっているように思えます。
 小林秀雄賞は、今年で第20回を迎え、岡田暁生さんの『音楽の危機 《第九》が歌えなくなった日 』(中公新書)が選ばれました。養老孟司さん、関川夏央さん、堀江敏幸さんは現在も選考委員を務めていますが、河合隼雄さんと加藤典洋さんはすでに物故されました。もう5人の議論や座談を聞くことができないと思うと、寂しくなる限りです。


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