娘の脱毛症について

脱毛症になってそろそろ1年

うちの長女は髪がない。原因不明の小児脱毛症というやつだ。3歳の冬から抜け始め、夏にはつるつるになっていた。現時点で小さすぎて積極的な治療は出来ない。本人はあまり気にしていない。そんな日々を少し詳しく書いていこうと思う。

抜け始めた1月

ある日風邪を引いて高熱を出した長女。一緒に布団の上でゴロゴロしていたらやけに髪の毛を見つける。はじめは私の髪が抜けてるのかなぁと思った。次女を出産して1年半、産後の抜け毛がまだ収まっていないのかと。

だからこの頃は長女とのんきにユーチューブごっこなどをしていた。チャンネル登録よろしくね~と言う長女の動画を撮るのだ。皮肉にもまともに髪の毛のある動画はこれが最後になった。

目立ち始めた2月

カーペットの上の抜け毛がコロコロしてもコロコロしても沸いてくるようになった。髪の毛が明らかに薄くなっていると気付いたのもこの頃だ。近くの小児科に連れて行ったら大きな病院を紹介された。

この頃はただただ心配で、娘の心に何か原因があるのか、食生活が悪いのか、ちょっと前の高熱の後遺症か、いろいろな可能性を考えた。長女は自分の頭に何が起こっているのかいまいちわかっていないようだった。元々ヘアアレンジを嫌い、おかっぱにしていたのもあって特に悲しがるといったことはなかった。

しかし、この頃はまだ1ヶ月もたたないうちに娘の毛が再び生えてくると思っていた。

ステロイド塗布の3月

大きな病院の皮膚科で髪の毛と毛穴を念入りに診てもらった。すると、長女の髪の毛は毛根部分が細くなっており、いわゆる自己免疫疾患だと診断された。原因はわからないらしい。ひとまず薄いステロイドを1ヶ月塗布してみようということになった。(ちなみに大人の脱毛症の治療ではステロイドの点滴を行うこともあるらしいが子供にはやれない)

お風呂あがりにいつもぬりぬりしていたことを思い出す。1月経っても抜け毛は収まるどころかどんどん増えていった。

入園の4月

髪は抜けても幼稚園入園は待ってくれない。抜けっぱなしのザンバラ頭で入園式に挑んだ。せめて毛先をそろえてあげた。入園式前夜、不憫で不憫で夫と泣いた。めでたいはずなのにどうしてうちの娘だけこんなことに…。この頃からうまく眠れずメンタルの薬が増えた。

それでも抜けていく5月

ステロイドは一旦やめることにして経過観察になった。ステロイドが効かないとなると治療は長期に渡り、治らない場合もあると聞かされ絶望的な気分になった。

また、医師からは「かぶれ治療」なるものを提案された。頭の表面に薬を塗り、皮膚を意図的にかぶれさせる。そのパワー?で髪の毛が生えてくるという代物らしい。保険適応外。そして治療には猛烈なかゆみがともない、2~3ヵ月は続けないといけないらしく幼稚園児には少し荷が重いみたいだった。この治療をしている人のブログも読んだがかゆみの割に発毛が少なかった。結局、費用対効果を考えたらやらない方がいいと判断した。

それでも髪は抜けていく。本人もなんとなく髪が抜けてることはわかっていた。

周りからの質問の6月

予め幼稚園の先生方には脱毛症のことはお伝えしていた。それでも娘を快く受け入れて下さった。まだ年少組、周りの子も自分のことで精一杯だろうと思っていたら、他の子から娘の頭について質問が出たらしい。「なんで髪の毛が生えていないの?」

どう答えたものか。考えた末に「髪の毛の抜ける病気にかかってて、今治すために病院へ行ってるんだ。本人も家族も生えてきたらいいなと思ってるよ」と答えてもらうことにした。私と娘と対面した年長組の子が「早く生えてくるといいのにねぇ」なんて言ってくれることもあった。優しさに泣いた。

つるつるになった7月

いよいよ髪の毛が全てなくなった。申し訳程度に生えていた眉毛と睫毛もなくなった。正直言うとここまで抜けるとは思っていなかった。いっそ清々しいというか瀬戸内寂聴みがあるというか、親として多少吹っ切れた。

本人は相変わらず髪の毛がないことを嘆いてはいない。恥ずかしがるかなと思ってウィッグや帽子をかぶろう、と提案するが蒸れるのが嫌らしく却下される。肌触りの方が先決らしい。この状態はとても悲しいことだが、長女がオシャレに興味がないタイプでまだ救われたと思った。好きなヘアアレンジでプリンセスになりきるタイプの子だと今頃どうなっていたのか…

いや、しかし長女も秘めたるプリンセス願望を抑えてるのかもしれないが。もしそうなのだとしたら胸が潰れそうに悲しい。

帽子が痒い8月9月

夏なので頭に毛が生えてようが生えてまいが帽子をかぶらないといけない。ただ、髪の毛の上に帽子をかぶるのでなく地肌に帽子を載せるのは本人によるととても痒く不快らしかった。無理やり被せてもすぐに取った。別のとこで髪があったらなぁ…と強く思うことになった…。

誕生日、4歳の10月

もちろんつるつる。本人は「大人になったら髪の毛生えてくるかなぁ」ひどく落ち込んでる様子はないがまさか、4歳になるまで治ってないとは思っていなかった。いじめなどはないみたいだけどこれから女子同士の人間関係でどうなっていくのかが激しく憂鬱。

他の保護者の反応

半年毎日娘を送り迎えしていると知り合いも出来るし少し話すこともある。しかしみんな全くといっていいほど娘の髪にはノータッチだ。ありがたいけど腫れ物扱いなんだろうなぁと思う。コロナで懇談会の類いが全くなくなり他の保護者に脱毛症のことを説明する機会を失ってしまった。みんなどう思ってるんだろう。かわいそう?かわいそうな子を育ててるかわいそうな親?

決めてること

ブレブレの私だが決めてることが一応ある。

1、悲しまない。普通に接する

当事者さんのブログを見たり質問して答えてもらったり(ありがたかったです)していると子供は親が嘆いていると悲しいということなので普通に接している。特別扱いはしない。

2、髪がないあなたはかわいいと教える

無理にウィッグを被せたり眉毛を書いたりしない。つるつるはみっともない、という意識に育ってしまったら本人がつらい思いをすると思うので…

3、サンドバッグになる覚悟を持つ

これはまだ先の話だけどいつか長女は髪の毛がないことでつらい思いをするだろう。その時につらい思いを一語一句否定せずに聞いてあげようと思っている。その器が私にあるかわからないけど…努力はできる。

終わりに

今後彼女の髪が、人間関係がどうなるかわからない。しかし何があっても味方でいたいし一緒に心を痛めるなら痛めて行こうと思う。それでも、もしかしたら来月くらいから生えてくるかもしれないという希望もまだ捨てられない。覚悟ができた頃に生えてくるかなぁ。だったらいいな。

今後、また治療のことや祖父母のことなどもまた書いていけたらと思う。

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