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ときには諦めも肝心、7月或る日の日記

XC(クロスカントリー)証というパラグライダーの上級ライセンス取得にあたって、私の所属スクールでは「スパイラル導入」という技術項目を練習することになっている。しかし、私はどうにもこうにも、これがうまく出来ない。

スパイラルとはなんぞや? 人様の解説を拝借すると、こういうこと:

スパイラルはパラグライダーを急速な旋回に入れて機首を下げた状態で降下を行います。3G前後のGが掛かりますが、-7~10m/sで沈下することが可能です。

https://note.com/yonekenn/n/nff9d8477b97c

動画も色々ある。インストラクターさんによる解説動画はこちら:


動画で見ると「ふーん」で終わるかもしれない。でも、これ、飛ぶ人間が見ると、普通じゃないんです。通常のフライトではこんなに大きな風切り音は聞かないし、こんなに急激な角度での旋回はしない。

私は以前から「せっかく飛べるようになったのに、なぜわざわざ自ら急降下するんだろう?」と思っていた。その「なぜ」に対する回答は、パラグライダーの技術面についてnoteを執筆しているYonekennさんが詳しく解説してくれている。

一言でいうと、空を飛んでいると、急いで降下しなければならないときもある…という話。でもパラグライダーは飛ぶように作られているから「急いで降下」するのは、なかなか難しい。しかし雲に吸い込まれて出られなくなってしまうと、とても危険。そういう状況から逃げ出すための緊急降下技術としてスパイラルがある…けど、これが、通常のフライトでは体験しない急激な動きを伴うので、怖い。ジェットコースターが大好きなひとなら楽しいのかもしれないけど、私は怖い。

 実際にスパイラルの練習を行うと、急激な旋回に入った後でピッチダウンした状態が保持され、視線が水平から下をのぞき込むような姿勢になります。そして、これまで感じたことのない風切り音とGに見舞われます。最初は恐怖で1周も回れずブレイクコードを戻してしまいます。簡単に習得はできず、恐怖心を克服しながら回数を重ねるため時間が掛かります。そして、怖いから無理して習得せず翼端折でいいやとなる人もいます。

https://note.com/yonekenn/n/nff9d8477b97c

5月から7月にかけて飛びに行くたびにスパイラル入れる練習をやってみての私の感想は、まさに「怖いから無理してやらないで翼端折でいいや」。操作が足らなくてスパイラルに入らないならまだしも、自らのへたな操作のせいで怖い目にも何度か遭って、出来ないというか、もう練習したくない…と思っていた7月のある日、インストラクターから「やめておきましょう」とコメントを貰った。

納得の判断…いや、むしろ自己申告でもっと早く辞退しておけばよかったのかもしれない。でも教わる生徒側から「出来ないからやめます」って言うのは、なかなか難しい。パイロット証検定のときも技術練習がうまくできなくて「こんなの出来ないよ」という気分になることはあったし…

何度練習しても上達しない自分と対照的に、パラグライダー以外にも様々なスポーツをやっている仲間が1〜2回の練習で文句のつけようのない演技をしている様子を見て「私は運動神経が悪い」という事実を突きつけられたような気分になった。凹む。凹むけど、事実だから仕方ない。私はあの人とは違うんだもの…

ヨガや瞑想をしていると「執着を手放そう」という言葉をよく聞く。何かを達成するためにはゴールや目標への執着心が欠かせない。でも執着が強すぎて身を滅ぼすひともいる。頑張れば出来るようになるかもしれない、でも出来るようになっても事故を起こしてしまっては元も子もない。どこまで頑張ればいいのか… 正解はないけれど、いったん手放してみるというのも、ときには悪くないだろう。

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