コロナと松之丞と伯山と。
「伯山ティービーって知ってる?」
話のきっかけは特になくって、コロナになってからなかなか会うことのできなくなった彼との1日一度の通話の時間に尋ねられた。
…はくざん。はくざん。あぁ。
記憶の底からじわじわと浮かび上がる。
滝沢カレンが浅草ビューホテルで祝辞を言っていた深夜の番組。なんだか猫背のおっさんが、たしか伯山だった。
「伯山は知ってるけど…」
ティービーは知らない、というニュアンスで答えておく。彼は続ける。
「YouTubeでチャンネルがあって、とにかく面白いんだよ。披露口上中はなにも言い返せないから言われっぱなしで…爆笑問題がとにかく面白くって…とにかく見てよ」
ぽこんっと、LINEにURLが送られてきた。
しばらく通話して切った後すぐに送られてきたURLをクリックする。
番頭さんがカメラを回している(番頭ってなに?)
笑点にでてきそうなおじちゃんたちがわちゃわちゃいる(みんな可愛い)
お茶だし係の若い子いっぱい(しかもキビキビ動く)
おじちゃん、チンポについて話す(いやもう現役じゃないだろ)
なんかめっちゃお金配ってる(ポチ袋に入れて)
なにより、なによりも、びっくりしたのは
落語が面白いということ。話の冒頭の部分しかないけど、話し方がわかりやすくて面白い。
それよりもっと、もっと面白かったのは、講談。
伯山が叩く、パンパンという音に、流れるように、緩急をつけて、引きこまれる喋りに、お時間が来てしまいましたの一言に「あぁ」と思わず漏れ出た声に、スマホの前の私はびっくりした。
たったひとり、部屋でスマホ片手に見ていただけなのに「もっと続きが聴きたい」と思ってしまうくらい引き込まれたのだから、編集されて短くなった講談を聴いただけでこれなんだから、
生で聴いたらどうなるんだろうか。
そう思ったら、止まらず次の動画を見ていた。
外出のできない中、時間潰しにちょうどよかった。
松之丞が6代目神田伯山になった日を、全部で観て「神田愛山×神田伯山」を観た。
観終わったら、神田伯山をWikipediaで調べていた。神田一門が気になった。
絵なんて書けないのに、仕事用のメモ帳に汚い文字で神田一門相関図を書いていた。
書いてる時のBGMはラジオだった。
「ねぇ、伯山先生ってED」
だったって知ってた?と知識をひけらかすのまではそう遠くなかった。彼氏は驚いていた。気がつけば自分よりも、私の方が詳しくなっていたから。
*****
で、現在。
コロナも収まりつつあり、リモート出勤も7月には解除される。
私の職場は西新宿。
7月上席、新宿末廣亭夜の部には神田伯山。
観にいこうと思う。
鮫講釈とか、宮本武蔵とか、グレーゾーンとか、他なにも知らないピヨピヨだけど、観に行きたいと思う。
だって、面白いんだもん。講談。
いつ死ぬか分かんないし、死ぬ前に生で一回観ときたいし。ね。
次の話は「社畜OLのアフター6ルーティーンin新宿末廣亭」でお会いしましょう。
読んで頂いて、ありがとうございましたぁ
ハマったきっかけ。ちなみに編集はBiSHのドキュメに関わってるようなすごい人(キャノンボールで二位だったかな…?)そりゃあ面白いよ。ギャラクシー賞だよ。大好き伯山ティービー。講談と巡り合わせてくれた奥様に愛を込めて。
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