わたしの好きな金沢
わたしが初めて金沢を訪れたのは、中学2年の10月。
秋の遠足、日帰りのバス旅行で、兼六園周辺を散策しました。その時、まだ14歳だったわたしの「ここに住むことになるかも」という予感が見事に的中し、わたしは今、金沢で暮らしています。
「住むことになるかも」と思った場所がこちらの歩道です。
なんてことない普通の通りですが、それまでに感じたことのない木漏れ日の射しこみぐあいに心がざわめきました。
下の写真は6月ですが、偶然に撮れた自称「奇跡の1枚」です。
木漏れ日のゆらぎかげんに、バス遠足でここを歩いたときの感動がよみがえり、人通りがないことをチャンスに、ゆっくり撮影できました。ちなみに、次のバス停は金沢21世紀美術館前で、すぐ近くにある交差点の向かいにあるのが「兼六園の真弓坂口」です。
バス遠足時には21世紀美術館はまだなくて、わたしたち何人かのメンバーは、兼六園に「7つある出入口」のうち「真弓坂口」から入園もしくは退園したのでしょう。他の出入口では上記の歩道を歩く可能性はほぼ無いに等しく、わたしはそう確信しています。
写真は瓢池の一部につき全体像がわかりませんが、ともすれば素通りされがちな瓢池の見どころについて簡単にまとめてみました。
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次は、金沢を流れる二つの川、浅野川と犀川についてです。
Wikiで見てみると、『浅野川の愛称「女川」(おんながわ、流れが穏やかであることが由来)に対して、犀川は「男川」(おとこがわ、流れが急であることが由来)と呼ばれている。』とあります。
わたしは、「女川」「男川」という愛称を先に知ったので、川の流れではなく、てっきり、川の景色からきたものとばかり思っていました。
下に、同じ日の朝に撮影した2つの川を並べてみました。
こうして見比べてみると、「女川」「男川」とは、うまく喩えたものだなぁと思います。どちらも「大橋」を名に持つ「浅野川大橋」「犀川大橋」からの撮影ですが、橋を渡る観光客の人数は、だんぜん浅野川大橋の方が多く、わたしも、タイトなスケジュールで金沢を訪れる友人を案内するときは、兼六園と浅野川沿いのひがし茶屋街としています。
ですが、わたしはどちらかというと犀川の”どっしり感”も好きなのです。
そう思っていた矢先、思わぬところで犀川を称賛する本に出会いました。
それは、今年の1月の3連休、1年のはじまり、読み初めとばかりに図書館から借りた一冊で、芭蕉のおくのほそ道を、田辺聖子さんが3人の同行者とともに旅した紀行エッセイです。
金沢の人としてはなんとも嬉しいことですが――。
賀茂川は貫禄ある川というよりも優美な川で、田辺聖子さんは貫禄と美を兼ねそなえた犀川の美しさに惹かれたのではないかと思います。だから、どちらかというと優美な浅野川については触れられていないのだと思うのです。
なお、犀川とともに美しいと感心された卯辰山は、浅野川沿いにある小高い山で、ここから一望する景色は、まさに「これぞ金沢!」
しんと静かな街並みが広がっています。
以上、兼六園周辺、浅野川、犀川と巡ってきましたが、ここで少し中休み。市のホームページに「坂道標一覧」があるほどに坂が多い金沢で、生活にとけこんでいる「坂」の風景写真をまとめてみました。
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~小立野台地~ ※浅野川と犀川にはさまれた台地です。
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~寺町台地~ ※犀川の南側に位置する台地です。
いかがでしたでしょう。数ある中のごく一部でしたが、起伏ある金沢の街並みが伝わりましたでしょうか。
最後に、金沢が舞台となっているショートショート。阿刀田高さんの『異形の地図』に収められている「鳥瞰図」を紹介します。
起伏ある地形の金沢を「鳥瞰図」というタイトルで表すなんて、さすが阿刀田高さん。
短編「鳥瞰図」は、<高い場所から見おろした金沢の佇まい>と<ほんのつかの間だけ交差した男女の関係>が絶妙に重なりあう物語です。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
記事作成後記も予定していましたが、記事が長くなってしまいましたので、こちらは形を変えて、マガジン『my music』に追加できる記事にしたいと画策中です。どうぞよろしくお願いします。
後日出来上がった関連記事です。
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