リコリン

 2020年赤ちゃんの名前ランキングで、莉子は3位で人気のある名前です。ほかに「りこ」という名前で思い浮かぶのは、李子 梨子 理子で意外と少ない。それはともかくこの子たちは、大きくなると「リコリン」という愛称で呼ばれるのだろう。「りこりん」で検索すると、アイドルユニット「HIGH SPIRITS」の森平莉子が出てくる。関連キーワードとして、「りこりこ」が出てくるので、そんなふうに呼ばれることもあるのでしょう。「りこぴん」なんかもあるかもしれません。

 昨日までが秋のお彼岸でした。お彼岸は日本独自の仏教行事で、ご先祖さまを供養し感謝をささげる精進期間とされています。
 彼岸は、本来は仏教以前からある日本の民俗信仰に基づくもので、仏教が従来の祖先祭祀を取り込んだ形で発展させたものと言えます。春分・秋分の日は太陽が真西に没することから、太陽信仰と結びついたのですが、仏教では西方極楽浄土の信仰と深く関わりました。初日の出と異なり、夕日を拝まないといけないんですね。

 さて、秋のお彼岸には彼岸花がさきみだれますが、田んぼが赤く彩られる様子。花の形がとてもお気に入りです。
 彼岸花は、キジカクシ目ヒガンバナ科で水仙と同じなかまに分類されている。学名のLycorisから、リコリスという名称で販売されている園芸品種もおなじなかまである。
 彼岸花、有毒植物として知られていることになっていますが、第二次世界大戦中には忘れられており、中毒で死ぬ人数もいたそうで、このとき再認識されたのかもしれません。
 鱗茎に含まれる毒素で、最も多いのがリコリンで、経口摂取すると流涎(よだれ)や吐き気、腹痛を伴う下痢を起こし、重症の中毒の場合には中枢神経の麻痺を起こして稀に死に至る場合もある。といわれていますが、ヒトに対する致死量は10 g程度と、比較的毒性は強くないようです。
 リコリンには植物の成長をおさえる作用もあり、雑草を抑制効果もあるようです。また最近では、抗がん剤としての可能性について研究がさかんになっています。
http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/sinfo/result/result15/result15_16.html
 

 すずらんは、花茎に、直径1cmにみたない真っ白な鈴のような形の花を10個ほど下向きに咲かせます。強い芳香もあり、北海道を代表する可憐で素朴な花です。キジカクシ目キジカクシ科スズラン亜科に分類され、ヒガンバナに近い植物です。

 すずらんも有毒植物で、その毒素であるコンバラトキシンは、スズラン全草に含まれ、スズランの全草を浸した液はジギタリスの10ないし15倍の強心作用がある。大量に摂取すると呼吸停止や心不全を引き起こし、スズランを挿した花瓶の水を飲んだ子どもが死亡した事例がある。種類は近くてもヒガンバナと毒素の種類は異なるようです。

 ジギタリスといえば、アガサ・クリスティの死との約束ではジギタリスを用いた殺人が行われる ぐらいポピュラーです。その作用は細胞膜に存在するNa+/K+ATPaseを阻害することにより心筋細胞内のカルシウムイオン濃度を増加させ、心筋の収縮力を増大させるそうで、心不全、心房性不整脈患者に適用されるんだそうです。

 分類の話でいうと、キジカクシ目にラン科やアヤメ科(アヤメ、ハナショウブ、カキツバタ、グラジオラス、フリージア、クロッカスが含まれる)など春から初夏に咲く、球根や地下茎で育てる花が含まれています。同じころ昨ユリはユリ目で別の分類系統になります。葉っぱの形が違いますものね。

 ところで、馬酔木もスズランに似た花で、有毒植物ですね。スズランやヒガンバナと違い、双子葉植物のツツジ目ツツジ科に分類されます。。毒素は、ジテルペンに属するグラヤノトキシンで、細胞膜上のNaイオンチャネルに結合して興奮と脱分極を継続させ、カルシウムイオンを流入させるために骨格筋や心筋の収縮を強め、結果期外収縮などを起こす。迷走神経を刺激した後に麻痺させる作用も持つ。

 スズランの毒に似ていますね。この毒素は、レンゲツツジ、アセビ、ネジキなどのツツジ科の植物の全草に含まれていて、名前の由来は、日本産のハナヒリノキ(Leucothoe grayana)から発見されたからだそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?