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第9回 続、タワーを愛で、つくる(半田カメラ)

タワーが好きです。

この『大きいことはいいことだ!』という連載の第1回目と、まったく同じ書き出しではじめてみました。日々の忙しさを理屈にして、あまりにも連載の間を空けてしまったため「一度、初心に返ろう」と思いなおした……というのもまた、理屈です。

この連載は、一般的に「カワイイ」という形容ではあまり現されない「大きいもの」が、私にとってはカワイイ対象であり、それらを作ってみることで、「カワイイ」が少しでも伝わってほしい、というテーマがあります。私にとってタワーは、愛でるべき可愛いもの。そして、それらをひたすら作ってみた。これから書くのは、そんなお話です。

全国の数あるタワーの中で、私が「これは可愛い!」と猛烈に推している、推しタワーのひとつに、東尋坊タワーがあります。

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波の浸食により形成された断崖絶壁で有名な福井県の景勝地、東尋坊。そこに立つ、高さ55メートルのタワーが、その名のとおり東尋坊タワーです。であるにもかかわらず、東尋坊の一番の目玉である有名な岩場は、タワーの展望台からはイマイチ見えないという……どうにもツッコミを入れたくなってしまうタワーなのです。ぜひ「イマイチ見えない」を確認するために登ってみてください。

でもそんな細かいことは、この際どうでもいいのです。何より明らかに言えること、それは東尋坊タワーは猛烈に可愛い!ということ。

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柱の上部に四角い展望台をポコッと乗せたみたいな形状。そして白地に赤と青のカラーリング。これらが相まって、なんともペーパークラフトみたいな可愛さじゃないですか!これは私でなくても可愛いでしょう?作りたいでしょう?

作りたくは……ならないかもしれませんが、作ってみたわけです。

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東尋坊タワーが与えるイメージにはペーパークラフトみがあるように思いますが、今回、私が目指すは「タワー×ぬいぐるみ」、通称「タワぐるみ」。タワーを抱きかかえたい願望がついに叶います。いや、そんな願望があるわけでもないのですが。ともかく、完成品は後ほどのお楽しみ。

つづいてご紹介する推しタワーは、名古屋の街中にすくっと立つようにそびえる、高さ134メートルのタワー、東山スカイタワーです。

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真下から見上げると、高すぎてよく分かりませんが、外観はロケットのような、はたまた鉛筆のような。空に向かって今にも発射しそうな、上への勢いを感じます。東山スカイタワーが私の推しタワーである要因は、タワーに登った日に観た、こんな光景が今も印象に残っているからかもしれません。

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タワーと虹のコラボ!これは狙って観られるものではありません。その日はずっと天気が悪く、旅の行程は狂わされまくっていたのですが、このコラボを観て、それまでの疲れも忘れ、シャッターを切りまくったのは言うまでもありません。

ということで、こちらも作ってみます。

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作ってみると、台形型のふたつの塔が、円柱型の展望室を取り込んだような複雑な形状であることが解ります。作ることではじめて解ることがあるのです。まぁ、そんなこと解らなくても日常生活に支障はないのですが。完成品は後ほどのお楽しみです。

そして最後に、おそらく誰もが知っているであろう「タワぐるみっぽい、タワぐるみ」、言わばスターさんをひとつ入れることにしました。

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関西の人にとっては見慣れた、関西以外の人にとっては、ある種、異様な。木々の上から頭がピョコンと飛び出た、この光景。正確にはタワーではなく「塔」です。

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そう、大阪の万博記念公園にある、高さ70メートルの塔、太陽の塔です。もはや説明するまでもないと思いますが、1970年に大阪で開催された万国博覧会の時に、芸術家、岡本太郎氏によってつくられた作品です。まぎれもない人気者である太陽の塔は、様々なグッズやフィギュアなどに姿を変えていますので、タワぐるみの想像もしやすいことでしょう。

そして出そろいました、3つの通称「タワぐるみ」

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モデルになったタワーと塔の形状を忠実に再現しながらも、かなり可愛い仕上がりになったのではないでしょうか。なぜならばそれは、モデルになったタワーそのものが可愛いからに他なりません。ちなみに、写真では分かりませんが、タワぐるみの中に鳴りものを仕込んであるので、実は、振るとカラカラと音がします。

このタワぐるみには、ただ愛でたり、抱きかかえたりするだけでない、もうひとつの楽しいオプションが付いています。

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輪投げで遊べるという、ある意味、実にタワー的なオプション機能です。タワー輪投げって、前からあったら可愛いだろうと思ってたんです。タワーの形状によって難易度が変わるわけです。太陽の塔の両腕部分(腕なのか分かりませんが)を通して、輪を下まで入れるのは至難の業です。

いかがでしょうか。私の主張「タワーはカワイイ」が、ちょっとだけ響いた、という方がいらっしゃったなら嬉しいです。そんな方はぜひ地元のタワーに行ってみてください。よく見てみれば、ポコッと付いた展望スペースがなんだか可愛かったり、構造が複雑だったりして、今まで気付かなかった魅力を発見できるかもしれません。その際には、タワー本来の役割である「展望を楽しむ」こともお忘れなく。

では、また次の巨なるもので、たぶん、お会いしましょう。

半田カメラ
大仏写真家。フリーカメラマンとして雑誌やWeb撮影の傍ら、大好きな大仏さまを求め西へ東へ。現在まで300尊をこえる大仏さまを撮影。「巨」なるものが好き。穴も好き。『夢みる巨大仏 東日本の大仏たち』『遥かな巨大仏 西日本の大仏たち』(書肆侃侃房)が発売中!

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