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韓国の「学校給食支援センター ガイドライン」の日本語訳 その1

最近、韓国のオーガニック無償学校給食が注目されていますが、日本で学校給食のオーガニック食材の利用や無償化を進めるにあたり、いくつか参考になる点があります。韓国現地で今まで6チームを案内しましたが、メインの一つが「学校給食支援センター」(名称は自治体ごとに違いますが)という、食材の流通管理などを担当する部署でした。これらセンターは自治体ごとに運営主体や運営範囲が違い、なかなか整理ができませんでしたが、2014年に教育部が発行した「ガイドライン」を見つけました。まだ、全体を読んではいませんが、いろいろ参考になるところが多い資料ですので、日本語翻訳をして紹介します。
(韓国草の根塾 田中博)


学校給食支援センター ガイドライン
2014. 9.  教育部

 このガイドラインは教育部の支援でソウル市教育庁(教育委員会に該当)が主管し、忠清南道教育庁と慶尚南道教育庁が協力して関連専門家会議で協議体を用意したものです。

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~はじめに~

1. このガイドラインは、監査院が2013.9.25~11.1に実施した学校給食の供給、および安全管理実態の監査結果、指摘事項の改善対策として開発したものです。

2. このガイドラインは、学校給食法第5条に基づき、地方自治体長の所属下に設置、運営できる学校給食支援センターの運営過程で現れた不備点を補完するために、望ましい学校給食支援センターの運営方向を実務的に提示した業務便覧です。

3. そのため、現在学校給食支援センターを運営している地方自治体とセンター関係者はもちろん、今後センターを設置·運営しようとする地方自治体、そしてセンター利用者である教育庁と学校関係者に役に立ち、参考になるように内容を構成しました。

4. 主な内容は、地方自治体が学校給食支援センターを設置、運営する場合、運営方式や機能、食材取扱品目、配送手段と方法、価格決定方式、食材の安全性確保方案などについて学校給食を実施する運営主体である管轄教育庁および関連機関(団体)相互間の協議を経るようにします。

5. 学校給食支援センターは地方自治体が優秀な食材供給など学校給食を支援するために設立するものであり、実際の利用可否は学校給食運営主体である教育庁と食材消費当事者の学校で決定するためです。

6. 地方自治体と教育庁、生産者団体および各学校では学校給食支援センターが成長期の学生たちの健康と安全のために学校給食に使用される優れた安全な食材を適正な価格で供給して公益的な機能を果たせるよう、積極的なご協力をお願いします。

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<目次>
第1章 学校給食支援センター概要·
1. 学校給食支援センターの考え方·
2. 学校給食支援センターの法的根拠
3. 学校給食支援センターの設置·運営
4. 学校給食支援センター運営上の留意点·

第2章 学校給食支援センターの機能及び類型·
1. 学校給食支援センターの機能·
2. 学校給食支援センターの類型·

第3章 学校給食支援センター運営方式·
1. 直営·
2. 委託·

第4章 学校給食支援センター運営委員会·
1. 設置目的·
2. 構成·
3. 役割 ·

第5章 学校給食支援センター :食材供給管理·
1. 食材供給品目及び品質基準·
2. 食材供給業者選定·管理基準·

第6章 学校給食支援センター: 食材配送管理·
1. 学校と学校給食支援センターとの契約·
2. 配送協力契約·
3. 配送業者の管理·監督 
4. 配送業者の契約解除·

第7章 学校給食支援センター:  食材安全管理
1. 食材安全性検査
2. 原産地確認及び履歴追跡·
3. 食中毒事故予防·管理·

第8章 学校給食支援センター:  食材の価格管理·
1. 食材のセンター買い取り価格管理·
2. 食材の学校供給価格管理·
3. 食材価格に対する異議申し立て·

第9章 学校給食支援センター:  補助金·
1. 補助金の目的·
2. 補助金の支援基準·

第10章  付録·
1. 学校給食支援条例(標準案)·
2. 学校給食支援センター活性化方策(研究要約)·
3. 学校給食支援センターの運営状況·
4. 国立農産物品質管理院事務所 現況
5. 学校給食関係法令(抜粋)

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第1章 学校給食支援センターの概要

1.学校給食支援センターの概念
2.学校給食支援センターの法的根拠
3.学校給食支援センターの設置・運営
4.学校給食支援センター運営上の留意点

1. 学校給食支援センターの概念
○ 学校給食支援センターは食材消費先である学校に供給される地域生産の優秀農産物の円滑な生産と需給および供給管理機能を遂行するための運営センターである。

○ 2000年代以降、学校や幼稚園、保育施設、企業、官公庁、病院などで団体給食が大幅に増えたことで、安全で優秀な食材供給システムの必要性が台頭した。

○ これに伴い、2003年12月市長·郡守·区庁長が学校給食に優秀食材を支援できるよう制度が導入され、2006年7月学校給食法改正で地方自治体長所属の下で優秀な食材供給機能を担当する「給食支援センター」の設置·運営根拠を用意した。

○ 学校給食支援センターは学校給食などに安全で質の高い食材供給と共に農民の所得増大と農村経済活性化はもちろん、成長期の学生たちを含む地域住民の健康増進および輸入農産物増加に対応可能な地域農産物供給システムの構築に貢献する。

○ 学校給食支援センターは安全で優秀な農産物使用を実質的に保障するための公共性を持った装置であり機構であり、安全で質の高い食材が適正な価格で安定的に供給されるよう透明で合理的な運営体系を樹立しなければならない。。

2. 学校給食支援センターの法的根拠

A) 学校給食法第3条第2項及び第5条第1項、第3~5項
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー【学校給食法】
第3条(国の地方自治体の義務)
②特別市·広域市·道·特別自治道の教育監(以下「教育監」という)は、毎年学校給食に関する計画を樹立·施行しなければならない。

第5条(学校給食委員会など)
①教育監は学校給食に関する次の各号の事項を審議するために、その所属の下に学校給食委員会を置く。
1. 第3条第2項の規定による学校給食に関する計画
2. 第9条の規定による給食に関する経費の支援
3. その他、学校給食の運営および支援に関する事項として教育監が必要と認める事項

③ 特別市長、広域市長、道知事、特別自治道知事、および市長、郡守、自治区の長は、第8条第4項の規定による学校給食支援に関する重要事項を審議するために、その所属の下に学校給食支援審議委員会を置くことができる。

④ 特別自治道知事·市長·郡守·自治区の区庁長は、優れた食材供給など学校給食を支援するため、その所属下に学校給食支援センターを設置·運営できる。

⑤ 第3項の規定による学校給食支援審議委員会の構成·運営と第4項の規定による学校給食支援センターの設置·運営に関して必要な事項は当該地方自治体の条例で定める。
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○ 学校給食は教育の一環として実施されるので、学校を指導·監督する教育監が学校給食計画を樹立し施行する。

○ 学校給食支援センターは、特別自治道知事·市長·郡守·自治区の区庁長が設置·運営できるよう規定しており、必要であれば地方自治体の条例などに基づき、広域自治体(日本の都道府県に該当)単位で学校給食支援センターを設置できる。。

○ ただし、広域自治体所属の下に学校給食支援センターを設置·運営する場合は市町村のセンターと役割や機能の面で重複や混乱が発生しないように行政の支援機能と流通センター機能について業務範囲を明確に決める必要がある。

○ この際、隣接する2か所以上の市町村は相互の協議を通じて権限と責任の所在を明確にし、学校給食支援センターを共同で設置運営することもできる。

B) 学校給食支援条例(標準案、第10条参照)
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【学校給食支援条例 標準案】
第10条(学校給食支援センターの設置及び運営)
① 市長·郡守及び自治区庁長は学校給食法により学校給食に支援される食材の円滑な生産と物流、 供給管理機能を遂行するために公共性と公益性を持った学校給食支援センター(以下「支援センター」という)を設置·運営する。

② 支援センターは次の各号の機能を遂行する。
1. 学校給食支援センター運営計画の樹立。
2. 学校給食食材の品目別使用量の調査。
3. 生産者組織と食材品目、生産量など契約栽培に関する事項。
4. 食材の流通·供給及び衛生管理を行なう。
5. 市·郡·区所属の学校給食支援審議委員会と教育庁間の給食業務協議
6. 指定情報処理装置と電算連携及び情報共有システムの構築。
7. その他の学校給食支援に関する事項

③ 市長·郡守·自治区庁長は支援センターを運営するにあたり、次の各号の業務が必要と判断される場合、審議委員会の審議を経て付帯施設を設置、運営することができる。
1. 前処理、包装など一次加工施設。
2. 食材物流倉庫及び車両基地。
3. 生産団地の造成など。

④ 市長·郡守·自治区庁長は、必要に応じて給食支援センターの業務と施設の一部を非営利法人またはボランティア団体など民間機構に委託·運営することができる。

⑤ 支援センター施設の設置と委託運営に関する事項は審議委員会の審議を経て決定され、運営に関しての詳細は規則で定める。
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○ 学校給食支援条例標準案は2007年1月、改正された学校給食法の円滑な施行を支援するため、教育部が主管し、農林畜産食品部および安全行政部など関係省庁との協議をもとに用意、全国の地方自治体と教育庁に提示したもので、2014年現在の基準で農水産物品質管理法など関係法令の改正内容と変化した学校給食環境などを反映して一部修正·補完した。

○ 地方自治体は、学校給食支援条例の標準案に基づき、地域の実情に合う条例を制定したり、既存の条例を改正して学校給食支援センターの設立根拠と機能、運営に関して必要な事項を規定するなど地方自治体が自主立法を通じた法的根拠を用意し、学校給食支援センターを運営することが望ましい。

(以下続く)

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