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社会的共通資本

7/19に経済学者・宇沢弘文が提唱した社会的共通資本をテーマにしたフォーラムが瀬戸内の直島で開催されました。ただし新型コロナウイルス感染拡大の影響からオンラインでの開催となり家から視聴することができました。
 社会的共通資本は自然環境(山、森林、川…)、社会的インストラクチャー(道路、橋、鉄道…)、制度資本(教育、医療、金融、司法、文化…)の3つからなり、経済学で自然を資本として考えようとしたのは宇沢弘文が初めてと言われているそうです。その考えは新型コロナウイルス感染症をきっかけに改めて注目されています。
 フォーラムではこの社会的共通資本をキーワードに情報学者のドミニク・チェン、独立研究者の森田真生、協生農法の船橋真俊らのトークセッションがおこなわれました。中でも気になったのは、数値主義に代表される正解という考え方の呪縛。データやエビデンスを参考値として目的化せず、現実の近似値に過ぎないという、近代科学主義に対する謙虚な姿勢をもう一度再考するという言葉でした。
 新型コロナウイルスの感染拡大という形で経済は機能不全を来たしました。生態系が経済に介入してきているという実はこれまでもそうだったものが、にわかに顕在化してきたと言えます。モノカルチャーであることの機能不全が露呈している中にあって、船橋さんの協生農法のそこに人間がいることによってなお生物多様性が増すという考えが一つの希望のようなものを与えていました。
 アメリカの哲学者のティモシーモートンは経済を「喜びのマネジメント」ととらえていますが、GDPを最大化するといったような数値主義や正解という概念にとらわれない経済や自然とのつきあい方、たとえば先の「喜び」を据えるようなが考え方ができないか。8/10の奥びわ湖・山門水源の森現地交流会のテーマの一つは「保全」です。ガイドは普段から森の保全に関わっている会員です。この場で「保全」を通したそれそれの「喜び」が語られるといいなと思います。

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