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やりたいことはトラックの中で見つけた〜YouTuber編①〜

行政書士試験は11月に毎年行われます。
そして合否発表は年をまたぎ1月。
しかしその年の問題用紙は試験日に持ち帰り自己採点することが出来たので1月を待たずしておおよその結果は分かります。

翌日、自己採点した結果、合格点まであと数点足りないことがわかり、その時もトラックの中にいたのですが、なぜか妙にスッキリした気分だったのを覚えています。おそらく人生一度の大勉強となった『法律』という世界のこと。
その仕組や知識は今でも頭の引き出しにありますし、私にとっては国家試験の合格点まであと少しのところまでいけたという自信に繋がっています。
やってみなきゃ、分からないじゃないか。
二の足を踏んでいる場合じゃない。
やろうと思ったら、やれ。やれよ。ほら。
と、それから自分に言い聞かせられる試金石となりました。

そしてトラックのハンドルを握りながら、
「やりきった、あれだけやって駄目だったんだ、オーケー!諦めた!」
とケリをつけ、もう一年試験勉強をするという選択を外しました。

そして実はその頃から興味があったこと『YouTube』に思考を移しました。とは言え面白いことや、何かの知識を講義すること、ゲーム実況など、
とにかくトーク(話す)ということはどうしてもできませんでした。
というのも、私は東北生まれ東北育ちの人間。
恥ずかしい話、標準語をうまく話すことができません。
イントネーションがどうしてもなまってしまいます。
じゃあ何をしようか。
小学生の頃から弾いていたギターしかありませんでした。
それしか取り柄がなかったので、小さい9ワットの電池式アンプとギターをトラックに乗せて、配達で行く各地の車内でギターを弾くことにしたのです。いわゆる『弾いてみた』です。
「よし、やろう。」
やりたいことがまたトラックで見つかりました。

家でやれば?という声が聞こえてきそうですが、
前述の通り、当時すでに小さい子供がいましたし、
狭いアパートで動画を撮るということは不可能でした。

トラックの車内だけが唯一、
私にとって何かに挑戦できる場所でした。

善は急げで、まずはスマホ(カメラ)の位置をイメージしてノートに書いてみたり、やりたい曲のリストアップをしてすぐに始めることにしました。12月末のことです。

この頃の私はかなり異様だったと思います。
毎朝作業服を着てギターケースを持って家を出ていくわけなので妻はもちろん、ご近所さんにも異様に見えたことでしょう(笑)

それから毎日トラックでギターを弾き、家に帰って見様見真似で動画編集をしてはアップロードする生活が始まりました。どうせなら景色がいい場所で弾こうと思い、毎日絶景スポットや四季を感じられる場所を探しては、休憩も兼ねてギターを弾きました。

それまで休憩時間といえばもちろんお昼寝でしたが、お昼寝を半分にして残りの半分はギターです。休憩時間いっぱいいっぱい弾けたら良かったんですが、トラックドライバーにとって昼寝はしておいたほうがいいことも事実で、言わずもがな居眠り運転防止のためです。

どれだけ荷降ろしでへとへとに疲れてもギターを弾きました。
トラックのエンジン音を入れないためにエンジンは切り、夏は汗だくになって、冬は凍えながら弾きました。

海の見える丘、季節外れの浜辺、桜並木、紅葉の山。
本当に色んな場所でギターを弾いていました。

つづく

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