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共創のパイオニアが語る!官民連携のすゝめ --- 自治体職員向けセミナー 開催レポート(2024年2月20日)

人口減少や少子高齢化が進む中、住民に必要とされる公共サービスを、安定的に提供していくため、自治体と企業がそれぞれの強みを活かしながら力を合わせて社会課題の解決を図っていく「官民連携」の重要性が増しています。

そこで、官民連携事業研究所は、2024年2月20日(火)に「官民連携」にこれから取り組んでいこうとする自治体職員向けのセミナー(講演/パネルディスカッション)を開催いたしました。

本セミナーでは、官民連携のエキスパートの方々が登壇し、経験談を交えながら官民連携のポイントを紹介しています。

▷セミナーに関する情報はこちらから


【第一部】 官民連携とは - 基調講演

第一部では、元岩手県盛岡市役所職員、現・官民連携事業研究所の官民連携アクセラレータ加藤勝が登壇。『官民連携とは』と題した10分の講演を行いました。

加藤さんは、官民連携の機運が高まっている背景を解説した上で、官民連携が阻まれている現状を自治体と民間企業の双方の視点からお話ししました。

双方の視点を提示した上で、自治体が官民連携を阻む壁を乗り越えるには、大きな制度改革や予算措置よりも、マインドセットを変えることが重要で、自治体職員に求められているのは「対話」と「小さな成功体験」の積み重ねであると説明しました。

元岩手県盛岡市役所職員、官民連携事業研究所の官民連携アクセラレータ 加藤勝

【第二部】官民連携の始め方 - パネルデスカッション

第一部で官民連携の基本をインプットしたところで、参加者としては、先駆者のリアルな声が聴きたくなってくるところ。
そこで第二部では「官民連携の始め方」と題して、官民連携のエキスパートをゲストにお迎えして、パネルディスカッションを実施しました。

<登壇者>
・奈良県宇陀市 建設部 参事(兼)市長公室 参事 甲賀晶子氏
・株式会社イマゴト 代表取締役 秋田大介氏(元神戸市役所職員)
・官民連携事業研究所 代表取締役 鷲見英利
・ファシリテーター:官民連携事業研究所 西角梨花

甲賀さんと秋田さんには自治体職員の視点からお話をいただき、鷲見さんには民間企業の視点からお話をいただいたことで、官民連携の進め方を多角的に理解できる時間となりました。

本レポートでは、パネルディスカッションの内容を一部抜粋して紹介します。これを読んで全編を聞きたい!と思った方は以下のURLよりご覧ください。

なぜ官民連携に力を入れるのか?

まず、なぜ官民連携に力を入れるのか?を、現役の自治体職員である甲賀さんに伺いました。官民連携が求められているのは知っていても、進めるハードルが高いのが官民連携。甲賀さんはなぜ力を入れてきたのでしょうか。

甲賀さんは2011年に始まった「はならぁと」という空き家活用×現代アートのプロジェクトにて、色々な主体が連携することの可能性を感じたそうです。そこから、自治体と民間企業が主体的に協力をする ”官民連携” に惹かれるようになったと語りました。

奈良県宇陀市 建設部 参事(兼)市長公室 参事 甲賀晶子氏

【民間企業視点】官民連携の難しさとは

では、実際に官民連携を進めるときに躓きやすいのはどのような箇所なのでしょうか?中間支援団体として様々な官民連携を支援してきた鷲見さんに聞伺いました。

鷲見さんは、官と民では文化が全く異なるため、両者が共に納得できる説明を心がけていると述べました。行政は説明責任を果たす為に大義名分が必要であり、民間企業は社会貢献といえど、利益も必要です。そのため鷲見さんは中間支援団体として両者の意図を”翻訳”し伝えています。しかし、今後は自治体にも、民間企業にも、双方を受容する力が求められるであろうとお話しされました。

官民連携事業研究所 代表取締役 鷲見英利

【自治体視点】官民連携の難しさとは

次に、自治体職員経験者の秋田さんに、自治体職員として感じていた官民連携の難しさについて伺いました。

秋田さんは、庁内調整に難しさを感じていたと述べていました。秋田さんによると、官と民でも文化は違うが、実は庁内の部署間でも文化が異なるそうです。特に複数の部署が関係する官民連携事業の場合は、それぞれの立場を理解した上で、複数部署で共通する目的を提示して、縦割り行政を乗り越えなければならないとお話しされました。

株式会社イマゴト 代表取締役 秋田大介氏

官民連携のパートナーを見つけるためには?

官民連携に携わる自治体職員の悩みとして、民間企業からの提案が営業ばかりで、官民連携の良いパートナーを見つけられないという声をよく聞きます。そこで、どうしたら良いパートナーを見つけられるのかを甲賀さんと秋田さんにお聞きしました。

甲賀さんは民間企業の方々の話を聞くのが大好きで、民間企業からの提案の窓口になっているそうです。甲賀さんが重視しているポイントは、民間企業が我々に提案するための準備を行っているかどうか、つまり、提案内容と市の政策との整合性が取れているかどうかを見ていると述べていました。

秋田さんも神戸市職員時代には民間企業からの提案の窓口になっていたそうで、秋田さんのアドバイスとしては、たとえ営業だとしても、信用して、興味を持って話を聞いてあげることが重要だと語りました。その上で、市が取り組むべき社会課題にマッチしているか、自社の利益を最大化することだけを考えていないかを確認するべきだとお話しされました。

最後に、これまでの議論を受けてファシリテーターの西角さんが、官民連携は筋トレと同じで、小さく始めることが重要だとコメントをして、第二部のパネルディスカッションは幕を閉じました。

ファシリテーター:官民連携事業研究所 西角梨花

官民連携事業研究所からの案内

第一部と第二部を経て、官民連携を推進することに前向きになったであろう自治体職員の皆様に、官民連携の第一歩として、官民連携事例検索プラットフォーム「PUPPYS(ぱぴーず)」を案内しました。

自治体職員が、全国の自治体による官民連携の事例を検索することに特化したプラットフォームで、自治体職員は無料で利用できます。是非、官民連携の政策立案をする際にご活用頂きたいとお伝えしました。

本レポートをご覧になってPUPPYSを利用したい!と思った方は、以下の利用登録申請フォームから申請していただければと思います。


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