見出し画像

業界の“普通”に捉われない「再発明」に驚き──元・大手ネット証券副社長がカンムを選んだ理由

2023年11月、心強いリーダーがカンムに加わりました。大手ネット証券、楽天証券で副社長を務めていた執行役員COO 兼 B2C事業統括の清野英介です。

前職には、前身の事業会社も含め17年在籍。組織を牽引しながら、さまざまなアイデアを形にし、成長に寄与してきました。

「やってきたのは、サービスづくり。たまたまそれが、金融カテゴリーだっただけです」

なぜ、次のステージにカンムを選んだのでしょうか。その理由と描く未来について語ってもらいました。

カンムは、想像以上に“力量のある”フィンテック企業だった

── 楽天証券の副社長という華やかなご経歴ですが、なぜスタートアップを選び、カンムに決めたのでしょうか。はじめにスタートアップを選択した理由についてお聞かせください。

清野:今回の転職では、スタートアップ企業を中心に検討していました。成長過程にある企業に身を置きながら、そこで出会った仲間たちと新たな挑戦にのぞみたい、と考えたからです。

加えて、自分自身のマネジメント能力を広げていくことにも興味がありました。前職において急成長を続けるグローバル企業グループでのマネジメント経験はとても貴重で自分のベースとなっていますが、これから先10年、15年を考えた時、組織マネジメントにおいても更に柔軟でありたいし、どんな変化にも適応できる力を身につけていきたいとも考えるようになりました。

そういう意味で、スタートアップという舞台で、次世代を担う20~30代中心のメンバーと共にどんなマネジメントスタイルを築いていったら結果を出せるのか。そういった引き出しを増やしていきたいと考えたんです。

── カンムへ興味を持った理由や入社の決め手を教えてください。

まず、最近のフィンテック企業は、B2B・SaaSを提供する会社が多く、B2Cで一定の顧客基盤を持っている会社があまりない中、カンムはすでに一定の成果を出しているだけでなく、さらなる新しい挑戦に立ち向かおうとしている点に強い興味を持ちました。

詳しくビジネスを見ていくと、他社にはない資産もたくさん持っているようでした。たとえば、Visaプリペイドカード「バンドルカード」のダウンロード数。先日1000万ダウンロードを突破しましたが、スタートアップとは思えない顧客基盤の広さと毎月の新規獲得数の多さに驚きを隠せませんでした。

また、決済と投資機能が一体となった「Pool」。後ほど詳しくお話ししますが、一般的には決済と投資というように、業界を跨った機能を提供するサービスを発想すること自体、結構難しいんですよね。カンムではそれを実践しているという点で、スタートアップとしての良さと将来の可能性を感じたことを覚えています。

代表の八巻と話す中で、他のスタートアップ以上の力量がある会社であるとわかりましたし、サービス内容もユニーク、働いているメンバーにも好感が持てる。そして何よりも、これまでの自分自身の経験が、カンムの次の成長に貢献できそうだと思えたのが、カンムに入社した理由です。

カンムならではの「再発明」。“普通”に捉われない価値観がもたらす可能性

──カンム入社後の担当領域と所感について教えてください。

清野:toC事業領域を管掌しており、メイン事業である「バンドルカード」と、手元の資産形成に活用できるクレジットカード「Pool」を担当しています。

入ってみてからは「思っていたよりも凄いサービスだな」というのが第一印象でした。

「バンドルカード」の凄さはダウンロード数だけでなく、ユーザーのコアバリューにしっかり刺さっていることです。毎月かなりの数の新規ユーザーを獲得しながらも、利用率や継続率も着実に伸びている。実際にユーザーインタビューも見ましたが、神アプリ的に使ってらっしゃる方も多数いて、私が思っていた以上に幅広い用途で活用いただけていることを知りました。

──「Pool」は2022年にリリースした比較的新しいサービスですが、いかがでしょうか。

清野:Poolは私の知る限りでは国内で唯一、決済機能と投資機能を1つにおさめたサービスなのではないでしょうか。金融業界に長年在籍した身からしても、この発想自体が斬新で「再発明」だと感じました。

というのも、決済は「お金を使うこと」、投資は「貯める=増やすこと」。両者は同じ金融の括りにはありますが、お金の動きや目的が真逆のものです。一般的には、決済はクレジットカード会社などの決済領域専門の会社で行いますし、投資は証券会社などの投資領域専門の会社が行います。専門知識が全く別物なので「決済と投資を一緒にしてみよう」といった発想には至らないのが自然です。

同じグループ内であったとしても、専門性の垣根を超えたサービスはなかなかつくりづらいものです。それがカンムみたいな領域に垣根のないフィンテック企業なら思いついて、実行できてしまう。フィンテック企業ならではだなと。これが「お金の新しい選択肢をつくる」ということなんだと思いました。

── 「再発明」はカンムの1つのキーワードなのだそうですね。

清野:そうですね。入社後数ヶ月の間に、「再発明」というワードを何度か社内で耳にしました。金融って機能面では「決済」「融資」「預金」「投資」「送金」などいずれも昔から存在するものですが、テクノロジーが進化した今だからこそ形を変えて解決できることがあると思うんです。実際に「ポチっとチャージ」や「Pool」など、すでに世にあるものに付加価値をつけて提供しているのもカンムの特徴だな、と。

既存の金融業を俯瞰して見られるフィンテックというポジショニングだからこそ、固定概念に縛られることなく「再発明」を思いつき、実行できるのだろうと思います。これがカンムの強みであり、可能性だと感じています。

「貯蓄から資産形成(投資)へ」を大衆化。世の中に流れをつくった経験をカンムで

── 楽天証券時代でも、副社長として組織を牽引してきた清野さんですが、特に印象に残っている取り組みはありますか?

清野:投資の大衆化、いわゆる「貯蓄から資産形成(投資)へ」の流れをつくれたことですかね。

1999年、株式手数料の自由化をきっかけに日本にもネット証券が生まれました。以降、プロ並みの投資環境を、個人にもわかりやすく、しかも格安な手数料でサービスを提供することで、投資というものが一気に個人投資家に広がっていきました。しかし私が参加した2010年当時は、まだまだ金融知識の豊富な個人投資家が主役で、一般の方が「投資をして資産形成をする」という土壌はまだ小さかったように思います。投資はどちらかというとお金に余裕のある人がリスクをとってリターンを得るような、一般の人には馴染みの薄く、損するかもしれない怖さのあるものだったと思います。

そんな中でアベノミクス以降、株価が上がり、2013年からNISA、2016年にiDeCo、2018年につみたてNISAがはじまりました。徐々に、一般の方向けの資産形成を目的とした投資の仕組みを国が整えていく中、楽天証券としてもそのチャンスを広げていくために、投資というサービスをよりわかりやすく、より始めやすいものにしながら、投資の裾野を広げていこうとチャレンジしました。

── 今となっては、楽天証券は最大手の1社と、誰もが知る企業に成長を遂げたわけですが、具体的にどのようなことをされたのですか。

清野:たとえば、2018年に強化したポイントを絡めたさまざまなサービスの立ち上げです。クレジットカードで投信積立ができたり、ポイントで投資ができたり、さらに証券取引をするとグループの総合ネットショッピングモールでのお買い物がお得になったり。他の金融グループと異なり、経済圏を持つ証券会社として、一般生活者にリーチできる環境は大きな強みでした。

当然、グループ経済圏を利用する人にとっては、ポイントをもらったり使えるメリットがかなり大きかっただけでなく、ポイントを活用することで「なんとなく怖い」イメージの投資を気軽に体験できるサービスに変えることができたと思います。結果として国策である「貯蓄から投資へ」を一気に加速させることのできる基盤を用意できたと思います。

── 取り組みをする過程で、どのようなことがあったのでしょうか。

清野:サービス開始後、想像もしていなかったような社会的なインパクトのある出来事が次々と起こりました。2019年には「老後2000万円問題」が急浮上し、老後資金を貯める手段として投資を始める人が増加。その翌年からはコロナ禍に。在宅でできるオンライン取引が世界的なブームとなり、投資市場も躍進しました。そういった大きな社会変化が起きた時に、一般の人たちに馴染みやすいポイントを軸としたサービスの提供を開始していたことで、時代の波にうまく乗れ、「貯蓄から資産形成(投資)へ」という社会課題の解決を促すことができたと思っています。

それまで10数年にわたって「証券投資に対するマイナスイメージの払拭」や「貯蓄から資産形成(投資)へ」を実現するために邁進してきたのですが、時代の追い風で一気に投資の裾野を広げることができました。

── 今や一般人にも普及した「貯蓄から資産形成(投資)へ」ですが、楽天証券時代の経験をどのように活かしていきたいですか。

清野:前職で行なってきた「世の中を変えていくこと」や「社会課題を解決していくこと」に今も尚関心があり、カンムでも実践していきたいと思っています。

一方で世の中の流れを変えたり、つくっていくにはお客様が抱えている本質的な課題が何なのかを知ることが最も大切だと思っています。プロモーションやキャンペーンももちろん大切ですが、私たちが提供しようとしているサービスが、お客様にとってどんな課題を解決し、どんな価値があるものなのか?それをソリッドに考え抜くことが大切だと思っています。

お客様は誰なのか?(who)、そして何を提供するのか?(what)、それはなぜなのか?(why)。それは表面的な課題ではなく、根っこにある本質的な課題であるべきで、それらの集合体が社会課題であるし、そういった社会課題解決を行なっていきたいと思っています。

社内ではそうしたことを大切にしながら、色々なアイデアを出しスピーディにPDCAを回しながら勝ち筋を見つけていければいいかな、と思っています。カンムでも、これまでに培ったこうした経験を活かし、カンムがつくる「再発明」を一つひとつ実現していきたいと思っています。

既成概念にとらわれない人が、新しい価値をつくる

── 今後のカンムは事業の多角化を目指し、採用活動や組織づくりに取り組んでいます。今の清野さんの目から見て、目指すべき組織のあり方について教えてください。

清野:本質的な価値づくりができる組織にしていきたいと思っています。

カンムはそもそもお客様起点で物事を考えプロダクトとして実現することに長けた会社だと思っています。これからは、そうした良さを更に広げ、プロダクトとプロダクトをつなぎあわせながら社会課題を解決できるようなサービス=ソリューションを提供していけるようになっていけるといいなと思っています。

人を採用し組織を拡大する分、プロダクトや機能のリリースだけでなく、「誰の何の課題を解決できるのか」を意識して常に立ち返り検証しながら、より良いものにしていく。ユーザーの利用シーンを具体的にイメージしながらトータルサービスを展開していける組織になることが、今後の更なる成長のための一つのカギかなと思っています。

──これから仲間を迎えるにあたって、どんな人が理想的だと思いますか?

清野:既成概念にとらわれず、チャレンジしていける人です。金融サービスをつくるって、法律も知らないといけないし、監督官庁ともやりとりしながらやっていかないといけないんですが、その過程で色々なハードルに直面するんですね。それを杓子定規に「あれはできない、これは難しい」ではなく「法律もこう解釈したら実現できるんじゃないか」などと仮説を立てながらチームと一緒にブレイクスルーしていくことが大切です。そのためには突き抜けるための強い意思を持ちながら、形にしていく力が必要なんです。

過去の事例や既成概念にとらわれず、発想していくことがとても大事になります。顧客起点で物事を考えられるのも重要な点です。どんな小さなことでもいいので、まずはひとりの課題に気づき、それを10人、100人、1000人……とスケールさせ、社会問題につなげていく。その解決に向けて動ける。そんな“既成概念なきスピリット”を持っている人は大歓迎です。

理想を語らせてもらいましたが、会社として飛躍するためにも、まずは組織のリーダーをサポートしながら道筋をつける。メンバー一人ひとりのよさを引き出していく。それが私の役目だと思っています。カンムを次のステージに進められるよう、私自身成長してきたいと思っています。

──清野さん、本日はありがとうございました!

この記事が参加している募集

オープン社内報

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?