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連載小説『エミリーキャット』

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(2018年・8月~現在も連載中)画商の彩は誰もが認めるキャリアウーマン、優しい年下の彼と婚約中。 然し本当は人知れず幸せよりも生きづらさに喘ぐ日々を送っている。彩はある日、森奥… もっと読む
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#小説

小説『エミリーキャット』第74章・abyss

『彩さん大丈夫?』 順子は車で自分の家へ共に帰った彩が、家に着くなり少し横にならせて欲し…

小説『エミリーキャット』第54章・heads or tails?

401号室は水を打ったような鎮けさで彩は自分が息をしてもその呼気が極度の静寂の中で大きく…

小説『エミリーキャット』第49章・鴉・・・何故泣くの?

濡れた頬を指先や手のひらでぞんざいに拭うと、彩は何事も無かったかのように窓外に目をやった…

小説『エミリーキャット』第48章・固い約束・そして帰省

『今のは一体なんだったの?』 エミリーが一足遅れて繁みの前に駆けつけた時には、既にそれは…

小説『エミリーキャット』第46章・Gloomy Sunday・暗い日曜日

目覚めて彩は暫く自分が今居る場所が一体どこであるのか、咄嗟に理解出来ずに思わず惑乱した。…

小説『エミリーキャット』第44章・草上の昼食

絹漉(きぬごし)されたような柔らかく理目(キメ)の細かい闇の被膜にしっとりと内包され、彩は一…

小説『エミリーキャット』第43章・時の橋を越えて…

ホテル・デル・コロナドの海を望むバルコニーテラスつきのバーでふたりはアイスティーを飲んだ。 『ここってマリリン・モンローのお気に入りのホテルだったんですって、ジャック・ナイフが言ってたわ』 『ジャック・ナイフって誰?』 『私を後ろに乗せてくれていたモーターバイクの男』 『ああ、あいつか』 と青年は鼻白んだ。 『自分で自分のことそう言っていたの、 ジャック・ナイフと呼んでくれって』 『自分でそんなこと言う奴はどうせ本当は臆病な奴が多いんだが、でも君もよくそんなこと言う奴につい

小説『エミリーキャット』第40章・イギリスから来た少女

『館内だとばかり思っていたのに、これでは話が違う!』 青年は青筋を立てて怒ったが、 ブライ…

小説『エミリーキャット』第39章・タンブル・ウィードを追いかけて

『父はニューヨークのことを本当は好きだったんだと思うわ、 きっと愛憎の両方に、振り子のよ…

小説『エミリーキャット』第38章・ニューヨークの憂鬱

『……』 窓枠に両腕を突いて凭(もた)れかかり、まるで光の吹き溜まりのような遠い街を、黙っ…

小説『エミリーキャット』第18章 ドリーム・アフター・ドリーム

彩は再び目が覚めた。 自分が何故まるで意識を失うように、いつの間にか眠ってしまっているの…

小説『エミリーキャット』第9章・そんなにエレガントじゃないの。

『まず画廊のお仕事、あるいは画商というお仕事に対して皆さんはどのようなイメージをお持ちで…