小説『エミリーキャット』第43章・時の橋を越えて…
ホテル・デル・コロナドの海を望むバルコニーテラスつきのバーでふたりはアイスティーを飲んだ。
『ここってマリリン・モンローのお気に入りのホテルだったんですって、ジャック・ナイフが言ってたわ』
『ジャック・ナイフって誰?』
『私を後ろに乗せてくれていたモーターバイクの男』
『ああ、あいつか』
と青年は鼻白んだ。
『自分で自分のことそう言っていたの、
ジャック・ナイフと呼んでくれって』
『自分でそんなこと言う奴はどうせ本当は臆病な奴が多いんだが、でも君もよくそんなこと言う奴につい