(76)マリの存在がいつも気にかかってしまう
彼が仕事仲間として選んで常に一緒にいる女性はマリで、
それはSNSでもふたりが一緒にあちこちの土地で楽しそうにしている写真が流れてくるので、
そのことにずっとわたしはしずかに傷つき続けてきた。
それにしても、はじめてふらりと入ったそのお店で、
しかもいつもの最寄りの駅ではない駅だったのに、そこでばったり知り合いに会うなんて。
これがいつもの最寄りの駅だったら、共通の知り合いに会う確率はもっと高い。
わたしと須藤さんがふたりで飲んでいたことがマリに知れたら、マリはどう思うんだろう。
マリは、どういう立場なんだろう。
わたしは、須藤さんが大好きだ(こちらは既婚者だけれどそこは置いておいて)。そしてたぶんマリも、彼のことが好きなんだとおもう(彼女は独身)。
そして須藤さんには、別れられない"重めの事情"の奥さんがいて、それはたぶんこれからもずっと、変わらない。
わたしたちは、これからどうなっていくんだろう。
一応既婚のわたしはともかく、独身で40歳過ぎのマリは…?
須藤さんはいつも、悲しいことを抱えているように、どこかつらそうに、みえる。
わたしは彼のそばにいて、彼をあたためて、それを癒したいと思うけれど、
彼がそれをわたしに求めていないことは、知っている。
マリはいつも彼のそばにいて、彼の仕事を全面的に、献身的にサポートしている。
わたしもマリと同じくらい彼のそばにいたいし、もっと彼の力になりたいと思うけれど、わたしはその立場にはいない。
ほんの時折彼が心を許す、気まぐれな存在だ。
そのことに、傷ついていたりする。
どうしようも、ないけれど。
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