【読書メモ】誰のためのデザイン?(増補・改訂版)
学んだこと
6つの原則により、製品を扱うときにどう動くかを頭に描く
人が製品を扱うとき、それが何をするもので、どう動き、どのように操作できるかを発見することを発見可能性という。この発見可能性は以下の6つの原則から得られる。
・アフォーダンス
・シグニファイア
・制約
・対応づけ
・フィードバック
・概念モデル
・アフォーダンス
物理的なモノと人との関係のこと。知覚されないアフォーダンスも存在する。
・シグニファイア
アフォーダンスの特性を示す特性をシグニファイアと呼ぶ。ボタンUIにおいて「押せる感」を伝えるための立体感はシグニファイアである。
・制約
制約によってとりうる行動が制限される。物理的・文化的・意味的・論理的という4つの制約の種類がある。
物理的制約 - 大きな突起物は小さな穴に差し込めないなど
文化的制約 - テーブルマナーとか
意味的制約 - キャップのつばは顔を日差しから守る意味があるから前面にデザインされる
部品が1つ残って、接続できる箇所が1つだったらそこに組み込む
・対応づけ
グループ化や近接性などを用いて操作部と機能を対応づける。
・フィードバック
操作の後に、結果としてどうなったかを伝える情報。ボタンUIをタップしたときにハイライトされるなど。
・概念モデル
モノがどう動くかの説明。中でもメンタルモデルは、物がどう動くかについてその人の理解を表す概念モデル。デザイナーはユーザーが持つメンタルモデルに近いモデルを描くことを目指す。しかしデザイナーは実在のモノを通してしかユーザーとインタラクションできない。UXデザイナーとUIデザイナーの役割をこの文脈で分けるとしたら、UXデザイナーはユーザーのメンタルモデルを想像し概念モデルを描くことに責務を置き、この概念モデルをもとに製品をデザインする役割をUIデザイナーが持っているのかもしれない。
根本の行為を原因を探る根本原因解析
ある行為や原因に対して、ゴールの階層を登っていくことを根本原因解析と呼ぶ。例えば、部屋を明るくする→料理の本を読む→料理を作る→食べる→空腹を満たす、など。
ただし根本原因は一つではないことに注意しなければいけない。
行為の7段階(フィードフォワードとフィードバック)
行為には2つの種類があり、行為の実行(フィードフォワード)と結果の評価(フィードバック)である。行為の実行をするにあたって、ゴールを定めてからプラン、詳細化、実行のステップを踏む。結果の評価においては、知覚、解釈、比較のステップを踏む。以下に人が行為する時の質問と共にまとめる。
・ゴール(何を達成したいか)
・プラン(代替となる行為は何か)
・詳細化(何ができるか)
・実行(それをどうやってやるのか)
・知覚(何が起こったのか)
・解釈(それは何を意味するのか)
・比較(それで良いか)
以上のそれぞれの質問に答えられるデザインを目指す。
スリップとミステーク
マインドとして、エラーの原因を疑うときにまず人を責めずデザインを責める。エラーはスリップとミステークの2種類がある。
スリップは、ゴール設定は正しいが必要な行為が適切に行われていないときに起こる。熟練者が起こしやすい。以下の2つがある。
・行為ベースのスリップ
コーヒーのミルクを注いだ後にコーヒーカップを冷蔵庫に入れてしまうなど
・記憶ラプスのスリップ
コンロのガスの消し忘れなど
また、一つの制御部に異なる意味があり、一つの機器が異なる状態を持つことをモードという。例えば、航空機における「垂直速度モード」と「下降角度モード」の選択を誤り、死亡事故につながっている。モードエラーはエラーの中でも最も一般的な原因である。
そのためデザイナーとしては極力モードをなくす、もしくはどのモードが起動されているのかを明確にしなければいけない。
ミステークは、ゴールが間違っているときに起こる。初心者が起こしやすく、システムが提供するゴールや、それらを達成するプランの情報、何が起こったかを示すフィードバックの質が悪いことに起因する。以下の3つがある。
・ルールベース
状況を誤って解釈し不適切なルールを呼び出す場合、ルール自体が間違っている場合、結果が間違って評価される場合がある。
・知識ベース
燃料の量をキログラムではなくポンドで計算してしまうなど
・記憶ラプス
整備士が注意散漫で全ての故障点検ができなかったなど
ネクストアクション
ユーザーのメンタルモデルに限りなく近い概念モデルをつくり、このモデルをサービスに落とし込む努力をするという観点を持つ。
ユーザーの価値や課題の根本が一つではないことを意識する。
直感的にUIがわかりにくいと感じたときに行為の7段階のうち、どこに問題があるのか言語化しようという意識を持つ。
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