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セコンドニキ~ダチがBreakingdownに出た~

みなさんこんにちは。
僕の高校時代からの親友がBreakingDownに出場、更に僕がセコンドとして参加したのでその話を書こうと思います。

8月頭。親友のリョウからLINEが来ました。
「次のブレイキングダウンの試合に出ることになったからサポートしてほしい」
この通知を見て僕の全身の血が倍速で身体を巡る感覚を得ました。
ついに・・・・

このリョウという友達は学生の時からYouTubeが好きでした。
一緒に免許合宿に行った時も夜遅くまでずっとYouTubeを見てました。
好きが高じて実際に色んなキャラクターでYouTubeに挑むも、思うような結果は出ず・・・
そんなリョウが、リョウが愛しているブレイキングダウンに出る・・・

ただ僕はリョウが言う「サポートをしてくれ」の意味が分かりませんでした。
僕は格闘技を見たことがありません。
今めちゃくちゃ話題の井上尚弥の試合も見たことがありません。
故に格闘技における「サポート」の意味が分かりませんでした。
このサポートを任された友達があともう一人いました。
ホライズン(あだ名)という友達です。ホライズンとリョウと僕は一緒に免許合宿に行ったり卒業旅行でタイに行ったりするほどの仲間です。
このホライズンと僕をサポートメンバーに選んでくれて本当に嬉しかったです。
でも一つ、「サポートメンバーって何?」という疑問が消えませんでした。

「といあえず釘バット持っていくわ」とだけリョウには伝えました。
ブレイキングダウンは切り抜きとかで見たことあって、「柄が悪い」ってことだけは心得ていたので釘バットを持っていくことが僕にできる最大限のサポートであること踏んだのでした。

こんなものを作ろうという発想が余りにも怖すぎる

しかしリョウからの返信は思いもよらないものでした。
「なにも持ってこなくていい」

この返信に僕はリョウのブレイキングダウンに対する並々ならぬ思いを感じざるを得なかったです。

あくまで僕らはサポート。言葉の通り支えることが仕事。
釘バットで会場を蹂躙するような真似を求めているわけではない。
むしろ会場を支配するのはリョウの役目ということだろう。

僕はリョウの言葉を信じ、5本目の釘をバットに打ち込む途中で手を止めました。


本番当日。
リョウとホライズンと僕は受付時間の10分前に会場の最寄り駅である立飛駅に集合することにした。

しかし!!!

ここでトラブルが発生する!!!

なんとリョウの到着が9時1分になるというのだ!!!!

おいおい、約束の時間をブレキングするのは違うだろ!!!!

まあでも多少の遅刻なら許してもらえるだろう、という雰囲気の中、佐野は先にホライズンと集合しようとしたその時!!!
ホライズンから一通のラインが!!!

「電車逆方向に乗ったから俺も遅れる!!」

おいおい!!どうなってるんだ!!!!
これがブレキングダウンの洗礼なのか?!

なんと受付を済ませなければならない9時の段階で会場にたどり着いているのはサポートメンバーの1人のみというアクシデント!!!

リョウは約束通り9時1分に着いたものの
ホライズンは「モノレールが見つからない」という戯言を吐き散らかす始末!!!

これにはさすがのリョウも「先に受付しておくか」という妙案を提示したが
ホライズンからは「改札で待て」という耳を疑うような指示!!

ここに極まりしルーズさを発揮したチームリョウのメンバー。

結局ホライズンが駅に到着したのは9時25分。
モノレールが分からないからタクシーを使ってくるというブレイキングマネーを起こしての到着となりました。

リョウも「タクシーで来てくれた」という切り抜き職人らしい
良い側面のみを切り取ってホライズンに感謝するという謎結末で
この遅刻編は幕を閉じたのでした。

会場へ入るとさっそく控室に案内されました。
この控室がどこか違和感があったのです。
そしてその違和感の正体に気づくのにそう時間はかかりませんでした。

そうです。
ほぼ全員入れ墨が入ってるんです。
これには驚きました。
全員肌の細胞をブレイキングしてるわけですから。ブレイキングスキンなわけです。

佐野は今まで会ったことない、入れ墨集団の中、夜まで過ごすことが決定しました。

そしてここでようやくリョウに聞くことができました。
「サポートってなにするの?」
そうです。読者の方お待たせいたしました。ここで佐野とホライズンの役割が明かされます。
そう!サポートとは!!

セコンドのことだったのです!!!(ドンッ!!)

僕はブレイキングダウンを見たことがなかったので知りませんでしたが
セコンドがいるみたいです!!

セコンドくらいは聞いたことあります。タオルを投げたりする人です。

ってことで僕達は本番タオルや水、コンタクトなどの道具、そしてユーチューバーの商売道具である携帯を持つ役割を与えられました。

そんなこんなでリョウはバンテージ巻きに行く時間になりました。
こうなってしまうと僕とホライズンはもう暇になってしまいます。
そして人間、暇ができるとなにかを食べることに夢中にならざるを得ません。
そんな事もあろうかと僕はコンビニでおにぎりやサンドウィッチを買っていきましたが。。。それだけでは足りないなぁなんて薄っすら思っていました。

その時。アクシデントが起こります。

なんと佐野がリョウのお弁当に手を付けてしまったのです!!!What‘s this accident?!?! (この事故はなんだ??)

人間、空腹になるとどんな怪物になってしまうか分かりません。
きっと是枝監督の映画「怪物」もそんな話なんでしょう。

手を付けたと言っても2口ほどです。
しかし必ずバレる程度には食べてしまいました。


佐野はこの時の記憶はほとんど残ってないと言うが・・・

もしリョウがバンテージ巻きから帰ってきて
「弁当を食いたい」なんて言い出して俺が手を付けていることを知られたら
試合の前に友情がブレイキングダウンしてしまう!!!!

しかし!!!
ここでリョウのブレイキングダウンオタクとしての本領が発揮される!!
なんとリョウは自分でおにぎりやサンドウィッチを持ってきていたのだ!!!!!
流石はブレイキングダウンに愛し愛されてきた男、準備が違う。
弁当には目もくれずおにぎりやサンドウィッチを食らうリョウを見て
「この男、なにかを起こす」そう感じたのは僕だけじゃなかったはず・・・

「リョウさん移動お願いします」
いよいよリョウの試合が近づいてきた合図です。
こうなればお弁当の心配はありません。
控室を出ることでお弁当との物理的な距離を置くこともできるし
試合前のアップをすることで食欲とは無縁の興奮状態に持っていくことができます。

控室を出た僕達チームリョウは登場口近くの準備運動ができるくらいのスペースに案内されました。
そこでは試合を前にしてミット撃ちをする選手で溢れていました。
もちろん、リョウもそこに加わるかと思いきや・・・

リョウは「俺はミットを持っていない。」という衝撃的なカミングアウトをしたのです。

そう。なんとこの男。
シャドーのみで準備運動を終わらせようと画策しているのです!!!

これには素人の僕も驚きました。
周りはセコンドが構えたミットに、本番さながらの強烈なパンチをお見舞いしている中、
リョウは見えない相手に空を切るパンチで準備運動を成し終えようと言うのです。

流石にそれはいけないとホライズンが素手でリョウのパンチを受け止める素手撃ちを提案。
結果的に佐野とホライズンが2人でミット役を買ってでて
2対1の乱闘になっても対応できる準備運動ができました。

りょうも爽やかな汗を流し、身体が熱くなっているのを感じてるようでした。
これには僕も満足感を覚えました。
確かに僕は選手が食べる用のお弁当に手を付けてしまいました。
でも、今こうやってリョウが力を出し切るためのサポートをできている。
きっと試合にさえ勝てば、食欲なんてどこかへ飛んでいき
なんならお弁当も「佐野が食べてくれたら嬉しい」なんてコメントを残してくれるんじゃないか。

そんなことを考えていたら、ついにリョウの入場の時間になりました。

入場行進の時のリョウからの指示は
「客を煽ってくれ」とのこと。
リョウが盛り上がるようにジェスチャーで客を煽るから
僕とホライズンにもこれを真似して煽るようにと頼まれました。

しかしこの指示に反旗を翻す存在が湧いて出てきました。

そう。ホライズンです。

ホライズンは「客がリョウの煽りに応えてくれてない雰囲気があった場合、俺たちは煽らない。」と申し立てたのです。

要は煽ったのに反応がなかったら恥ずかしいから煽らない
という旨の主張でした。

リョウはとても大きなミスをしていました。
お弁当食べてしまうもそう、煽る指示を無視するもそう。
セコンドに我のある人間を選んでしまったのです。

そして実はこのホライズン、過去に一回リョウとバトル(喧嘩)をし、勝っている実力者。

セコンドになってもその信念は捨てない、そんな強者の思想が
リョウの指示を断るという暴挙に至らせてしまったのかもしれません。

結果的に入場のシーンはこんな雰囲気になりました

煽るリョウ。強者の笑みを浮かべるホライズン。そしてお弁当に手を付けた罪悪感を引きずる佐野。
チーム感こそないがそれぞれの思惑が爆発しているワンシーンである。


そしてここで気になるのが対戦相手の山川そうきこと「そうきたそ

甘いマスクで人気があるブレイキングダウンの常連。

リョウがYouTube活動初期から愛の矢印を向けている存在!!!

俺で言うところの武田鉄矢くらい愛しているのでしょう!
そう考えたらすごいな…
武田鉄矢とブレイキングダウンでボクシング…

武田てつ…じゃなくて
今回の相手はそうきたそ。

そんな彼はジャンボリミッキーの音楽にのせてチャラチャラと登場。

この瞬間・・・

勝った!!!!

チームリョウは確信しました。
こんな舐めてる奴に負けるわけがない!!!

しかし・・・

この、そうきたそには奥の手が・・・

試合前2人が見つめ合う。コングが鳴る直前に。

そうきたそがウィッグを取ったのです。

そう!!そうきたその髪の毛はウィッグで
本当の髪型はリョウと違わず坊主!!!!!

なんて男だ!!!!

坊主にしてきたリョウと張り合うために

本業のホストもあるのに

坊主にしてきやがったのだ!!!!!

これがブレイキングダウン・・・・


少しチームリョウに動揺が残る中、試合開始!!

ここで事件が起きる!!!!

そうきたそがリョウに殴りかかってきたのだ!!!!!

僕は思わず叫んでしまいました。

「ズルだろそんなの!!!!」

しかし。周りの雰囲気は盛り上がっているのです。
お互いに殴り合う。
これがブレイキングダウン。
なんて日常とかけ離れた時間だ!!!!

友達が殴られているのを見るのはあまりにも衝撃的なものでした。

しかし!!

リョウもまた相手を殴る!!!

友達が人を殴るのを見るのもあまりにも衝撃的でした。

結果的にはそうきたそのキックがリョウに入ってダウン。

試合には負けてしまいました。


試合が終わるとリョウは先にリングを降り、ドクターに診てもらう時間がありました。

僕らは「今日1日は一緒にいてあげてください」という言葉だけを頂いて控室に戻りました。

僕もホライズンもあまり言葉を発しませんでした。

友が試合とはいえ、殴られて倒れたのです。

冷静でいられるはずがありません。

佐野はじっとしていられず・・・・


またお弁当に手を付けてしまいました・・・・


佐野が食べてしまった部分にブロッコリーとちくわで埋めるという処置


罪に罪を重ねる佐野の元にリョウは帰ってきました。

リョウは涙を流していました。

その涙の答えは分かりません。

勝てなかった悔しさなのか。
緊張から解き放たれた安堵からなのか。
痛かったのか、わかりません。


でもその友達の涙を見て。
僕は本当に感動したんです。

27歳になる年齢。
この年齢で涙を流せるほどなにかに本気になれる。そんな友達を見て僕は本当に泣きそうになったのです。

熱い握手と
「リョウ、かっこよかったよ」と何度も伝えました。

僕らの友情が高校時代からこの年齢まで続いた意味がここにあると強く感じました。
セコンドに選んでくれてありがとう。
ここで君を抱きしめることができる人生で良かったです。


そんな感動から少し経ったところでリョウが放った言葉で現場が凍り付きました。


「お弁当食べようかな」

まずい!!

感動の抱擁で完全に忘れてた!!!

リョウがお弁当に手を伸ばす前に僕は言いました。

「お弁当食べられるの?!?!食欲ある?!?!」

お弁当食べようかなと発言した人間に対して無駄のことこの上ない発言であることは後から気づきました。


リョウはおもむろにお弁当を開け
食べ始めました。

・・・・


気付いてない??

明らかに白飯があったであろうスペースにブロッコリーとちくわがあることに気づいてない・・・??

そうきたそのパンチが効きすぎて視界がぼやけているのか???

するとリョウがついに口を開いた。

「肉が硬くて食えないな・・・顎が痛い」

・・・・

そうきたそのキックやパンチが集中したリョウの顔は

肉を食うにはあまりにも痛めつけられていたのだ!!!!

結果的にリョウはお弁当を食べることをやめた。

まさかこんな形でそうきたその格闘能力に感謝することになるとは・・・・


ブレイキングダウンの運営は本当に準備がいいので、食べやすいうどんなどを用意してくれていましたので
僕はリョウに、そのうどんを食べることを提案しました。

こうして一件落着。


本当にいい経験ができました。

リョウと友達じゃなきゃできない経験。

僕も「佐野と友達だからできる経験」を提供したいと心から思いました。

ありがとう、リョウ。

お疲れ様、リョウ。








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