不妊治療は間違いだらけ。

不妊治療の成績は世界的に見て低い一方で、体外受精の実施件数が世界一なのが日本。

日本の体外受精の実施件数はちょっと異常な多さです。日本人は、世界一たくさん体外受精を受けている。それなのに、採卵当たりで見ると世界一出産できていない。日本の不妊治療に足りないのは、数ではなく、その「方法」です。

日本のやり方は世界の非常識


なぜ出産率が低いのか?

それは、日本の体外受精には大きな特徴があるからです。

それは、自然周期で行うからです。

日本では、「自然周期」という排卵誘発剤をできるだけ使わない方法が好まれるが…。

排卵誘発剤を使うと閉経を早める。などの科学的な裏付けがない話を信じている人が多い。また、食事療法や体操など薬に頼らない健康法に強い関心を持つ人が多いのも日本の特徴で、その中には薬を有害と考える人もいるが、一見、体に優しいと思われている日本的なやり方が、体外受精の成功率を下げているのです。


国際的な研究成果からは、排卵誘発剤の適切な使用が体外受精の出産率を上げることが、明らかになっている。

つまり科学的にみると、日本で広く行われている「薬を使わない自然周期の治療」よりも、きちんと薬を使って治療をしたほうが効果は得られるということです。

これは、世界的な学術団体の合同会議でも結論が出ている事実です。

薬を使わない自然周期の体外受精は出産率が低い。

英国では、国が定める不妊治療のガイドラインには、医師は、自然周期は提案してはいけない。と明記されている。

これはインターネット上で公開されているため、誰でも簡単にアクセスして知識を得ることができる。しかし、日本ではこのような情報は一般的ではない。


そもそも日本には、学会が作った治療法の統一ガイドラインは存在しない。

その結果、日本の不妊治療は、専門施設であっても治療方針がばらばらで、妊娠率にも差があることは専門家の間でよく知られている事実です。

それゆえ患者は、どの医者が正しいことを言っているのか確信が持てず、転院を繰り返すことが多い。もしくは、それもできず、不安なまま自分に合わない治療を繰り返してしまう人もいる。

そうしているうちに、貴重な時間やおカネをムダにしてしまうのです。


体に優しい治療では妊娠できない理由


排卵誘発剤は、卵巣の中にある卵子をたくさん育てる作用があるが、薬を使わなければ、卵巣の中ではひとつしか排卵できる卵子が育たない。そして、それが出産につながる卵子である確率は、意外に低い。

そもそも卵子というものは、排卵できるほどに成長したものでも、出産できないもののほうがずっと多いのである。採れた卵子の多くは途中で成長が止まってしまい、子宮に戻せる段階まで成長するものは一部に過ぎない。さらに、子宮に戻してちゃんと着床し、無事に成長して出産に至るものは、もっと数が少ない。

卵子1個あたりの出産できる確率は、若い人でも4分の1くらいしかない。それが、排卵誘発剤を使えば、若い人なら7〜8個、多い場合は数十個もの卵子を一度で採卵することができる。そうすれば、1回の採卵で出産可能な卵子が採れてしまう確率が高い。

実際には何個くらい卵子が採れれば良いかというと、海外では、1人の子どもが体外受精で生まれるためには、平均25.1個(38歳未満の女性に限っても6~16個)の卵子を採ることが必要だと言われている。

排卵誘発剤は、毎日自己注射が必要となり、排卵前の負担は確かに大きい。しかし、効果の低い方法で採卵を何回も繰り返すことになれば、体にも、財布にも、長期的な負担が重くのしかかってくるのです。

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