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Golden Slumbers ~ The weight~ The End

The Beatles というバンドに対しての思い入れ度合いは、彼らが音楽活動を展開していた1960年代にその者が何歳だったか、によって全然違ってくる。
 
 ビートルズのデビューから解散までの8年間(1962~1970)を原体験できて、「自分の青春のエネルギーの大部分をビートルズに捧げた」と自負される方も多いと思うが、そういった方々はすでに後期高齢者(2024年現在)になられていることでしょう。

 私はラジオのAM放送から不意に流れてきた Let It Be  に感激してビートルズというグループを知った世代だから、完全にアフタービートルズ世代。出会ったときには解散していたわけです。

 デビュー10周年となる1972年ごろ(私はサル中学生)に、東芝がいろんな記念イベントとかを打ったこともあってビートルズリバイバルブームがあった。
 FMの音楽番組なんかでもよくビートルズ特集とかやっていましたね。

 翌年1973年にはベストアルバム赤盤、青盤が発売される。これがきっかけでビートルズ再ブームが巻き起こり、当時ミドルティーンだった我々の世代はその時期に赤盤、青盤を教科書にして、ビートルズの楽曲を本格的に聴き始めたのです。

 お兄ちゃんがレコード持ってる→友達に貸す→借りた奴がカセットテープに録音する→それをみんなに教室で聴かせる→感動した奴がレコードを買いに行く

こういったサイクルで、「ビートルズはすごい!」みたいなプチブームが私の周辺(大阪府北摂地区限定かもしれないが)では起こったのです。
 「ハードロックは聴かないけれど、ビートルズとカーペンターズは好き」 という女子がクラスに多くいたな。

 そこから、「ビートルズの各アルバムの全曲を聴いてみたい」という沼にはまる者と、「赤盤青盤でほぼ満足」というライト層、2つのタイプに分かれるのですが、私は当時、4畳半フォークソングのほうにも興味があったので「ビートルズは赤盤青盤止まり」のタイプでした。

 ビートルズのそれぞれのアルバムを歌詞も含めてじっくりと鑑賞したのは大人になってからです。
 アビーロードというアルバムを手に取り、ゴールデンスランバーという楽曲に魅入られるのは恥ずかしながら30歳手前でした(このころに一度リバプールを訪れてます)。

 アビーロードのメドレーの楽曲群は、ビートルズというバンドの誕生から解散までのストーリーを、ポールマッカトニー自身が総括している という解釈が一般的なようですが(それは違うぞ、というご意見の方、お許しを)、私は自分よがりに、この曲は 人生の終焉を迎えた人が、幼少のころからの出来事を走馬灯のように思い返しているシーンの描写、と考えます。

 And in the end, the love you take is equal to the love you make
 「結局、誰かに与えた愛と同じ分量しか愛してもらえないんだ」

 下手くそな訳で申し訳ないが、この一言をつぶやいて人生を終える。

自分が年を重ねるにつれ、この言葉の重みがわかってきたように感じます。

 さて、やっと本題です。

 私が外部指導顧問を務める大阪府立A高校の軽音楽部は、今年度の芸術文化賞を大阪府芸術文化連盟からいただきました。
 その結果、来る3月31日に開催される 近畿高校選抜軽音楽大会の大阪府代表校に選出されたのです。

 この快挙は3年生部員(すでに部活動は実質的には引退)の実績によるものですので、3年生部員のなかで「卒業後も継続して個人で音楽活動をやっていきます」というB君に「近畿高校選抜軽音楽大会では うちのクラブが大阪府代表として1曲演奏させてもらえることになった。この際、君に選曲も演奏メンバーのチョイスも全部プロデュースをまかせるから、自分の一番やりたいことを高校最後の日にステージでやってみないか」と持ち掛けたのです。
 B君は軽音楽部に入部したときから、一人でビートルズナンバーを歌ったり、フォークギターで弾いてました。ただ、メンバーに恵まれなかったこともあり、部活動の中でビートルズの曲を練習する機会はありませんでした。

 しばらくして、B君から「大人数でゴールデンスランバーのメドレー」は無理でしょうか、と返事が来ました。

 このセリフが18歳の高校生から発せられること自体が驚きですが、「大会の規定でメドレー曲の演奏が可能かどうか確認してみて、OKならばぜひ演奏して欲しい」と伝えました。

 主催者へ問い合わせた結果、「コンテストイベントではないので、6分以内で収まるのでしたらメドレー楽曲もOKです」ということだったので、ゴールデンスランバーから The End までの3曲メドレーを演奏しよう、ということになりました。演奏タイムは5分20秒。

 ビートルズフリークのB君はともかく、B君がチョイスした他のメンバー(高校1年、2年)はビートルズをちゃんど聴いたことがない、と言う。

 はじめてのビートルズ体験が Golden Slumbers というのもすごいなー、と思いますが、これをきっかけに令和の高校生がビートルズの世界に興味を持ってくれると、それはまた楽しみなことです。

 2月後半は学年末考査、それが終わるとほどなくして大阪府は入試選抜があるので、実は春休み期間はあまり部活動が展開できません。
 実際のアンサンブル練習はあまり時間がとれない見込みなのですが、果たして3月31日の近畿大会のステージではどんな出来上がりで披露できるのでしょうか。

 期待と不安が入り混じりますが、B君に対して「君にすべて任せる」と言ったからには、ジジイは口出しせずに、B君の感性で好きなように演奏してくれたらいいなと思います。

 Golden Slumbers を生演奏で聴ける幸せをかみしめながら、見守ります。


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