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ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生

マグさんと見た!!

かなり暗い回で、見返すと色んな発見があり、ダンブルドアへの悪口が絶えない。

魔女

クイニー・ゴールドスタンのこと、ファンタビ一作目の初見の時は「甘い見た目の可愛い人」だと思ってたんだけど、2作目冒頭のことを思うとちゃんと「強かな女」として描かれていて抜け目がなかった。
人の心を自分の意思に関わらず読める魔女として麗しい金髪と目を引くピンク色の服に身を包んでる人がか弱い乙女なわけないだろというのは本当にそうで、純粋なままではいられないだけの諸々を経てあの形態に落ち着いていて、ティナはその全てを見た上で受け入れてる。
「男の人は私を見て大抵そう思うわ」というの、そう思うように本人が誘導しているのかもしれなくて、魅力的で魅惑的、自分の瞳をじっと見てまるで自分のことがわかるようなドキッとする言動をする女性として振る舞うことで「高嶺の花」を演じてるのかもしれない。高嶺の花を演じられたら真に高嶺の花だと思うけど…。
クイニーに言い寄ってきた男の人の中にはいい人もいたろうし、開心術への理解があった人もいただろうけどそういうのを全部無視して自分のロールプレイを超えて受け入れてくれたのは魔法のことなんも知らないマグルのジェイコブなの、それはめろめろになる。こんな人私の人生に2度と現れないと確信する。高嶺の花に手を伸ばせるだけの自信があって話すと楽しくてご飯を美味しく食べてくれてパンを作るのが美味くてでっっっかい心の持ち主の男、魔法をかけてでも捕まえておきたい気持ち、分かるよ。
でもヴォルデモートのお母さんも惚れたマグルを操って子供が生まれたところで魔法を解いて関係がめちゃめちゃになった末に自殺してるはずなので全体的によくない。歴史もそう言ってます。

今回のクイニーの葛藤は「私には当たり前のことも許されないのか?」であり「愛してるだけなのに!」で、「どうして同じことを思ってはくれないの」なんだけど今作はファンタスティック・ビーストで基本的に気持ちとか感情が伝わらない生き物のことをどれだけ報われなくても愛している男による正義の話なので相性が悪い。
ジェイコブに出会ってようやく自由を手に入れたクイニーが一作目と違ってピンクの服を着てないところとかかなり「自由」に対して表現がわかりやすくて、ジェイコブと一緒にいない時だけ薄ピンクのコートを着ていたりする。クイニー、本当はティナと同じで黒くてカチッとした服が好きなのかもしれない。ジェイコブはクイニーが何着てても好き。
そういう自由を手に入れた彼女がそれを手放せるわけがなくて今回のグリンデルバルド墜ちに至るわけなんだけど、この辺の感情が「あなたと出会わなければこんなに苦しむことはなかった」なので、めちゃくちゃ、めちゃくちゃ好き…。それにここの感情の動きと愛してる人の手を離すのは丸々グリンデルバルドとダンブルドアでもあるので、何度でも主題である「愛が正しいとも報われるとも限らない」をやる映画。

クイニーとジェイコブが0から関係を築いて、魔法による記憶消去の穴をちょっとずつ埋めていって、あの素敵な2日間より多くの思い出を積み重ねて法が許せば結婚したいと思うような関係に至るまで、ティナとニュートには何にもないんだろうな…。本当に…文通友達なんだろうな今だに…。
「婚約したのは僕じゃなくて兄」という簡素な情報のやり取りすら怠る2人、結婚しても常に喧嘩してそうなんだけど「君の瞳は、その」「…サラマンダー?」のやり取りができるので一切の不安がない。ここ本当にロマンチックだったな…ロマンチックというか、十分というか…。
ティナ、自分とは異なる生き物を愛してる人に出会って少し言動が柔らかくなっただろうに、そのニュートはめちゃくちゃ法を犯すし2択で聞かれたらギリギリ人類の脅威だし地面は舐めるしめちゃくちゃストーキングの才能があるし下手したら自分より対人魔法が強い。コンプレックスを一気に刺激されてない?
でもすごい頼りになって公正な正義の心を持っててどんなに大きな生き物にも臆しないのに3人以上の人間が現れると目を合わせられない男が自分の名前を読んで近寄ってくれたらなんか好きになるというか、受け入れてしまう。クイニーとジェイコブが出てきた時のニュートの「ティナ?ティナ?」の声がめちゃくちゃ子供っぽくて良かった。
仕事が第一のティナが「サラマンダー?」を言えたの、ニュートとたくさん話をしたからかもしれないし、自分で知ったのかもしれないし、後ニュートが自分の話をしてる時に急にサラマンダーの話をする下りが3回あったので流石に察したのかもしれない。最後のを押してます。

ナギニについての様々、まだ明かされてないことの方が多いんだけどハリポタを改めて見直してファンタビを見て思ったんだけど、もしかしてヴォルデモートとナギニって…すごい関係なんですか??
麗しい少女の姿で、心も清らかだった彼女は次第に人間に戻れなくなっていつかはその心さえ失ってしまう…!と語られてたけどもしかしたらヴォルデモートはやけに理性的な蛇としてナギニを見つけたのかもしれなくて、そんな彼女と話せるのはヴォルデモートだけでお互いに少しずつ言葉を交わしていって最後には分霊箱にするに至ったのかもしれない。何もわかりませんこの辺は。
ナギニ、クリーデンスにちゃんと心を寄せていたというか自分も1人で孤独だろうにクリーデンスに寄り添って行動してたのが印象的だった。お姉さんだったのかもしれない。
最後にはクリーデンスは自分の手を離してしまうんだけど目的はどうあれ「一緒に逃げよう」って言ってくれた男の子がいたことがナギニにとって良いことだといいな…。

リタ周りの話、今回見てやっとピンときた。1回目見た時かなりふわっと見てたのがまた露呈してしまった…。
リタ・レストレンジ、父親からは愛されず母親は自分が生まれたことを望まず、学校でも馴染めないでいた彼女の前に現れたのがボヤッとしてて人間のことが嫌いで動物が好きで周りを観察するだけしてその姿を受け入れてくれる少年のニュートだったのかなり救いだったろうしずっと彼に囚われてたんだと思う。
誰にも言えないでいた自分の過去ごと受け入れてくれそうな人に出会っておきながら他の人が見れるわけもなく、かと言ってニュートは誰か1人を愛するような人じゃないだろうから憧れや「信頼できる他人」として自分がいちばんならそれで良いって妥協しながら生きていたリタに飛び込む「ニュート、ガールフレンドできたらしよ」の報のことをずっと考えてる。
そもそも私は…リタはテセウスのこと愛してはいたけどニュートの方を見ながらテセウスに近づいたとも思っていて…ニュートとテセウスの仲が悪いのリタと付き合い始めて距離がわからなくなったからだと思っていて…婚約発表タイミングがティナの存在の発覚と当時だと思っていて…リタ・レストレンジっていう怪物の自覚のある女が愛してる人を1人にしたくて立ち回った結果が2作目だと思いたくて…そうだと私が嬉しいので…。実際はそんなことないと思います。
リタの「あなたは怪物も愛する人だから」と「愛してるわ」って多分ニュートの心に最後まで残り続ける傷なのでリタがどういう人生を歩んでニュートのことどう思っていたとしても「傷つけたかった」はあると思うんですよね…。
この「あなたは怪物も愛する人だから」という評価、めちゃくちゃダンブルドアも頷いてると思う。

でっっっかい器

ジェイコブ、1人で人間の素晴らしさを体現していてめちゃくちゃ忙しかった。
ニュートにクイニーのことを惚気るシーンがすごい好きで「彼女の好きなところ?全部さ、俺を困らせるところ、心を読んだり…」って言うんだけど恋人にこんなこと言える男が他にいるかよ!!!!!恋人、めちゃくちゃ遠慮なく心を読んでくるんだよ?!?
この後ニュートが本当に聞いてなくて「何?」って聞き返すのに「いいんだ、ティナはここにいたのか?」って本人の関心に話を戻してくれるところもめちゃくちゃ優しい。器がデカすぎる。こんな人が親友も恋人もいなかったのは嘘なんだけど実際は戦争に行ってそれどころではなかったの、時代設定の妙だと思う。ジェイコブが魔法が解けたあとに「なぁ、ハニーその話は何遍もしたろ?」って宥めるところ、クイニーの「高嶺の花」を乗り越えて手を取ってくれた人が結婚なんかで足を止めて自分との幸せを望んでくれないシーンだし、愛してる人をアズカバンとかいう知らない監獄に送るなんてできないって意見の違いなんだけどアメリカ魔法省が全部悪くてびっくりするな…。

ジェイコブ、本当に無力であらゆる面で自分が何もできないことを承知だろうに初めから最後まで画面にいることが本当にすごい。自分の身を守れるニュートとか闇払いの面々とは違ってものが飛んでくるだけで死ぬジェイコブがクイニーとニュートとティナが危なっかしいから着いてきてくれるの、あまりに自分の正義に素直だし、「4人でまた仲良くしよう」の仲良くの部分はジェイコブが無意識のうちに95%を担っている。

ニュート・スキャマンダー、怪物も愛する男で実際どんな動物のことも愛しているけど普通に人間を拒否る面白い男。
序盤の魔法省にいるニュートの目の死に方とリタ以外の誰とも目を合わせないところ、次のシーンでニコニコしながらジェイコブと話したり「…!!!河童だ…!!!」と喜んでたりするのでかなり顕著。
サーカスのシーンで河童を見つけた時にマグさんが「何するんだろう、尻子玉を抜くとか?」って言ったのかなり面白かった。確かに尻子玉を抜くくらいしか河童の逸話思いつかないしあいつって警備で雇われてるのかも。

テセウスと再会してすったもんだあって提案を拒否するニュート、実際闇払いには絶対向いてないんだけど魔法省にお呼ばれされるレベルの事態を起こして(ニューヨーク半壊とか)措置が「実の兄のいる部署に所属する」なのかなり手心があるというかテセウスの「うちの弟…社会生活が無理で…三日三晩寝ないとかは余裕なんですけど人間が理由にそれをするのは難しくて…はい…」と「ニュートってめちゃくちゃ優秀なんですよ!!!!!!!」がないと発案されないのでどちらにしろ信じられないくらいテセウスの息がかかっている。弟は普通に拒否しますが…。
この後「おい、ニュート」ってハグを求めるシーンはみんな好きだと思うんだけど、頬をくっつけて抱きしめるのかなり親愛だしこのあと忠告してくれるので次回作のことを踏まえてもテセウスはかなりニュートのこと心配してる。それはするよ、世界を走り回りながら知らない動物のことだけ考えてみるみる強くなってどんどん人間社会から離れていく弟、心配じゃないわけないよ。

墓地で「兄のテセウス。ハグが好き」って紹介されるところ、兄への解像度がガビガビで毎回笑ってしまう。お前のことが好きなんだよ。
リタを失って呆然としてるテセウスを抱きしめるニュートが「テセウスはハグが好きだから」なのか「抱きしめることの理由がわかったから」なのかはわからないけど観察と模倣を続けたニュートがいつもと変わらずにそれを行った結果として兄の心境を救えだならいいなと思うし、同じくらいこれまでのテセウスの行動がニュートに届いた瞬間だったらいいと思う。

「言葉の魔法」

アルバス・ダンブルドアへの許せなさが募る。
許せねえよアルバス・ダンブルドアがよ〜!!!!死の秘宝part2もかなり「ハリーが許してるからなあなあになってるだけだからな!!」って感じでしたけど、今回はいよいよ許せなくなってきている。
一作目でニュートがニューヨークにいたのもダンブルドアの差金で、ちゃんというとダンブルドアが魔法生物のことを仄めかした結果としてそれを無視できないニュートが勝手に言っただけなんだけどそんなの「ニュートを動かした」と変わりがないよ。

ここ、かなり微妙なラインでグリンデルバルドはクリーデンスがダンブルドアなことに関して今回知ったけど、色々を考えるとダンブルドアだけはファンタビが始まったその瞬間から知っている可能性があるので彼が諸悪の根源まである。もちろんリタの独白はリタの抱えていた秘密なのでダンブルドアが知る由もないのは確かなんだけど、ものまね妖怪をダンブルドアは見てるわけで誰よりも早くその真相に辿り着いていてもおかしくない。あと普通にリタをだまくらかして自白させて記憶を失わせてても別にダンブルドアはするだろうという信頼がある。

この辺、三作目を見て思い出したいんだけど三作目を見るとダンブルドアのこと…うっ…。

魔法省がホグワーツに尋問に来る下りのすっとぼけ・ダンブルドアのシーン、マグさんとずっと悪態をついてた。「しらないなあ」ではないんだよ。お前がいかせたんだろ。
ここの尋問にテセウスとリタがいる上でこのすっとぼけですからね、ダンブルドア先生はもちろんリタとニュートがお互いに弱点あり得るくらい親しかったのを知ってるだろうし(だから「クリーデンスはリタの弟かも」ってちらつかせた)、テセウスがニュートを見捨てられないのも兄弟仲を置いてもハッフルパフらしい善性の持ち主なのもわかっていてその上で「知らないなあ」を言うし、テセウスに「周回には近づくな、死人が出る」って囁いてテセウスが無視できるわけないのにさも彼を心配していて行った忠告のふりをする。言葉の魔法を使うのがうますぎる。正直ホグワーツから出る必要がない。

この辺の「やれ」とは言ってない。のあたりがグリンデルバルドとそっくりで胃が痛い。この2人が連んでた時の魔法界、長い歴史の中でいちばん転覆の危機にあったと思う。

グリンデルバルドがクイニーと話して何もせずに返したりだとか、集会で闇払いがいると気がついた時に「何もするなよ諸君。…わかってるさ、彼らは我らの同胞も何人も殺し—」って続けるあたりが本当にそっくり。やれとは言ってないけど、無視できない状況まで持っていって自分の意思で行動させる、磔の魔法よりタチが悪くて効果の強いこれらを息をするように行える彼らは彼らなりの苦労や孤独があるだろうしだから隣にいて、そして離れてしまっていてそれ自体は悲しいんだけど本当に良かった、人が死ぬどころの騒ぎではなく世界が滅ぶところだったので袂を分って良かったけど今は痴話喧嘩で世界が滅びかけてる。

グリンデルバルドとダンブルドアが「お互いを傷つけない」と誓約した過去のせいでめちゃくちゃ世界が巻き込まれてるけど、ダンブルドアはみぞのの鏡で誓約したシーンとか現在のグリンデルバルドを見ているので今彼と離別していることにかなり後悔があるのがなんとも言えない。ハリポタで「この鏡は知恵も事実も与えてはくれない」みたいなことを言っていたはずで、この鏡が「純粋に欲しいと思ったものをくれる」という性質も知っている彼が鏡の前に立って映し出される「グリンデルバルドと誓約する瞬間」と、その時に現れる鎖に繋がれたもの(このあとニフラーが普通にパクってくる)が鏡を経由していつまでも手に入らずあまつさえ本人が映し出されるの、ずっと心の底では「あれを手に入れてグリンデルバルドが自分の元に帰ってきて欲しいと願ってる」ことを鏡が示し続けているのかもしれないし、単にダンブルドアも「知恵も真実も与えてはくれない」と気がつくまでに時間がかかったのかもしれない。
賢者の石の時、ダンブルドアって何が写ったか言ってたっけ。言ってたとしてグリンデルバルドのことではなかったと思うんだけどどうなんだろうその辺。

グリンデルバルドの先導者としての才覚のシーンで好きなのは最後の青い炎に同士を飛び込ませるところで、途中でダンブルドアのことを「偉大な…」って口走りかけた彼が炎に飛び込んで死んでしまうんだけどあれ絶対パフォーマンスで、「忠誠を示してるんだあの炎は」って思わせることだけが大事だったんだと思う。自分の意思で飛び込ませることが大事、って言うのはダンブルドアもグリンデルバルドも共通しているから…。

2人が人を惹きつける時に違うところがあるとすると「距離感」で、グリンデルバルドは長官だった時からとにかく距離の近い人で今回もずっと「キスする??」「しなかった」「次はしそうじゃない??」みたいなシーンがとにかく多くて、スクリーンに対応してる横に長い画面の真ん中にグリンデルバルドと誰かが身を寄せ合うカットはめちゃくちゃあったんだけど、ダンブルドアはニュートと端と端で話し合ったり、そもそも同じカットにいないことの方が多かった。ハリポタの時もあんまり人に近づかない人だったと思うので本人の性質なのかもしれない。

クリーデンスに対してとにかく距離の近いグリンデルバルド、オブスキュラスを探す過程で見つけた子供がダンブルドアの血縁なの知った時どんな気持ちだったんだろう。
知ってて近づいたなら執着だけど、知らなかったのは明らかなのでかなり運命を感じていてもおかしくないと言うかかなり運命。


次回は諸事情によりジョニデではなくなったグリンデルバルドにめちゃくちゃにされるので楽しみです。

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