ハリー・ポッターと死の秘宝part2

マグさんと見た。
ハリー・ポッターって…凄くて…

過労死しかねない

セブルス・スネイプ、やることが多すぎる。
ダンブルドアの合理的で感情の読めない指示に従い、デス・イーターに味方であることを仄めかしつつヴォルデモートの復活は阻止する方向で動き、主人公として大活躍するハリーの動向をずっと気にしながら教鞭をとりスリザリンの監督をしている。やることが多すぎる〜!!!そしてこれらをリリーのためにやってる。動機が少なすぎる〜!!

改めてハリポタを見直して、スネイプ先生本当にずっとハリーのことを気にかけてくれていて秘密の部屋の「夕食にいないからどうしたかと」とかがわかりやすいけど本当にずっとハリーを見ていた。作中の説教シーンでは絶対に視線を逸らしたりしない強情なハリーのせいで口を閉ざすシーンとかがあり、行動も見た目も愛する人を奪って守れなかった嫌いな男そのものなのに目だけはリリーなの、1年目からずっとしんどかったろうな…。
その上賢者の石から絶え間なくヴォルデモートに狙われ、あまつさえ自分から近づくし、ヴォルデモート関係ない年はシリウスに秒でめろめろになって帰ってきたしで大変。ハリーを愛していた大人の筆頭が死に際に「ジェームズ!」って呼ぶシリウスと「僕を見てくれ」って瞳の奥にリリーを見るスネイプなの、出自由来の2人なので彼らがいることは幸運だけどハリーにとっての運ではない。純粋に「息子の親友」として接してくれたウィーズリーさんちが輝いてしまう。

この辺からめちゃくちゃ長いしすごい早口。

スネイプがリリーと幼馴染で、マグルの彼女と半純血のスネイプとの2人だけが魔法を使えた過去とかいじめられてもずっと助けてくれた思い出とかをスネイプはリリーが生きてる時も抱えているところまでは「未練がましい〜」で終わったかもしれないんだけどリリーが華々しく死んでしまったのでそれもできない。

自分を美しい瞳で見つめてくれた愛してた人がその愛の素晴らしさと強さを証明する形で死んでしまって、いっときの平穏と憎い男似の息子を残して死んでしまったんですよ?!!!!だって、幼い頃に仲良くしていたこととか他の人よりは気に掛けられてた事実を抱えて一生生きていくつもりだった男の大切なものが世界を救えるって証明されたんですよ?!?
スネイプが世界に向けて何かをするとしたらそれはリリーからもらった愛に報いるためなんだけど、ここで何かを怠けてしまうとハリーとジェームズへの愛が自分がもらったそれより劣っていたってことになってしまうし、それを許せるわけないので酒に溺れるとかもスネイプは選ぶことができなくて〜!!!!リリーはそれでも幼馴染として好きでいてくれるかもしれないけどもう答えを言ってくれはしないので〜!!!過去の美化されたリリーを心に宿して自分のこと許したり許せなかったりしながら生きてると思うとセブルス・スネイプのことめちゃくちゃ好き。本当に好き。子供の頃読んだ頃は「一途な人なんだな…」と思って終わったんだけど大人になってスネイプ先生の不器用さを目の当たりにし続けながらハリポタを見ると鳩尾を殴られたくらい「効く」。

スネイプ先生は自分のもらったものを腐らせて置けるような性格ではなく、高潔で誇り高い男なので自身が落ちぶれることも許せないでいるからダンブルドアに目をつけられたりもする。リリーの命を救って欲しいと頼んでそれが達成されなかった時に「どうして彼女は死んだんだ」「彼女は間違った人を信用した。…君と同じじゃよセブルス」みたいな会話があるんだけど、ダンブルドア先生に人の心がなさすぎる。
ないわけじゃないんだよな〜人心掌握に長けてる自負がある人でそのことについてはスネイプ先生も承知なので無限に慰める言葉を向けてあげれるが「なぜ彼女が死んだのか」と嘆く人に対して「君が私なんかに頼ったから」って責任を半分請け負う言葉だと思うし「君は悪くない」って言ってこの件をから突き放しもしてないのでかなり優しい言葉な…気もしますが…これは本当に「愛してるなら自分の手で守りに行けば良いのに」という強者で先達の厳しいお言葉なのかもしれませんね…。愛する人のために死ぬ機会を一生失った人に一生悔いる機会を与えて、本来リリーの人生にこれ以上関われない男に機会を与えているダンブルドアとそれに縋るしかないスネイプの関係って主従よりも脅迫に近い。

ハリー・ポッターに対して愛憎を抱えたままヴォルデモートに殺されるスネイプ先生が最後に全ての記憶をハリーに渡すシーンの涙はリリーに対する申し訳なさだけでは構成されてないのも本当にセブルス・スネイプの不器用さが出ているし、おまけでダンブルドアの非常さがお披露目される。
分霊箱は人を殺した時に生み出すことのできる禁忌の魔法で、リリーを殺した時に残ったものであるハリーもまた分霊箱だ。という下りの凄いところの一つとして「謎のプリンス以前からダンブルドアは分霊箱を知っていた」がある。これ私の勘違いかもしれないし、単にダンブルドアは予言を聞いて何らかの可能性を予期していただけであって謎のプリンスでそれが「ハリーが分霊箱」であることに気が付いただけか、は定かじゃないんだけどどちらにしろダンブルドアは初めから最後までハリーに対して「ヴォルデモートに対する有効な駒」以上の感情がなく、もっといえば「いつか殺すかもしれない子供」だと初めから分かった上であんなに親密にしてたわけで「言葉を操ることに自信がある」と自負するだけある。生きててくれればそれでいいと自分は思ってるのに隣でスネイプ先生が命をかけて守ることに何も言わないしあまつさえ「情が移ったのか?」とか言い放つ。
スネイプ先生がハリーを命をかけて守ると誓ったのに誰にも言わなかったことの最大の理由として「リリーではないから」があって、ジェームズそっくりの子供であり彼さえいなければリリーが死ななかった要因とも言える存在を愛する自信が全くなかったんだと思っていて、セブルス・スネイプは不器用だし愛して欲しい人に愛してもらえなかったからそんな複雑な存在を愛し続ける自信がなくてそれくらいなら初めから自分の献身は知られない方がいい。って判断だったと勝手に思っているんだけど、結局長い間ホグワーツのなかでも特に捻くれた1/4(スリザリン)に慕われているスネイプ先生は子供を見捨てられるような性格ではないし、リリーのためにヴォルデモートとダンブルドアっていうハリポタの中でも屈指のクソ上司の間で気に入られ続けていた器用さがあるし、何よりリリーへの愛を手放せないくらいなので最後の最後にはハリーにも情が湧く。

ハリーが階段の下の物置にいる間「いつか親戚が自分のことを迎えにきてくれることを願っていた」って語っていて、それの答えとしてシリウスが現れるわけなんだけど、スネイプ先生にハリーに向き合う覚悟があればこのポジションはスネイプ先生でもよかった。不器用で愛されることにも愛することにも臆病だったからこの形になってしまって、献身とか時間とか払ってきた犠牲がどうであれどう転んでもアズカバンに12年収容されてた囚人で、もしかして全てがうまくいけばその汚名も注がれるかもというタイミングで「君さえ良ければ一緒に暮らそう」を言ったシリウスに軍配は上がる。直接目を見て「君が大切」って言ってもらうことが人生をどれだけ救うか知ってるくせにそれを完遂する自信がなくていえなかった男なのは本当にそう。

は〜!!でも全てをひっくるめて「ハリーが死なないとヴォルデモートも死なない」を告げることが出来たのは、それを言ったのはスネイプ先生の誠実さでハリー個人への信頼だと思う。大義や正義のために死ななくてはいけないという未来を突きつけられて折れる人間ではないと分かったから憂いの篩へと導けたんだと思う。もっと最善の行動も最良の結果も得ることが出来たかもしれないけど、魔法のように事態は解決しないし、愛があって動いててもそれが正しいとは限らなくて、今ここで立っている君の判断と決意だけが真実なんだ、胸を張ってその道を歩くんだ!という話なので道中どれだけ人が死んでもハリポタは児童小説。

真のグリフィンドール

まぁネビル・ロングボトムはその辺全て大正解を叩き出すわけなんですけど…。

死の秘宝でネビルがあんなに活躍するの覚えてなかった。何を見てたんだ???
ハリーたちがいない間もダンブルドア軍団を引き継いでデスイーターたちの体罰にも耐えて笑顔でハリーを迎えたネビル、あまりに精悍でびっくりした。
ダンブルドア弟の「アバーフォース」を「アブ」って読んでたり、3年目の時はちゃんと先生って呼んでたろうに「ルーピン」って呼んでたりしてて、つまりネビルの中で自分が彼らと対等な仲間であるという自認があるわけで、あの自分に自信のないネビルが…と感動するし一年足らずでそこまでの経験をネビルに与えたデスイーターに対して殺したい気持ちと感謝したい気持ちがいっぱいになる。お前たちが殴ったりしなければたまに勇敢になるだけの青年だったんだぞ。

ネビルが組み分け帽子を手にヴォルデモートに名乗りをあげる下り、本当にカッコよかった。
世界が屈しつつある闇の帝王に単身で向き合い、みんなを背にして一言述べるその勇気は作中でも屈指の勇敢さを表すシーンなんだけど、凄い納得感がある。何せ何も出来なかった頃のネビルはその時でさえグリフィンドールの「暴」を司り始めていたハーマイオニーの前に立ち塞がってるわけですからね。ダンブルドアも「敵に立ち向かうのは困難だが味方に立ち向かうのはもっと困難」って言ってるし、ネビルにはそもそも立ち向かう者としての格がある。この構造を重ねてかけるのでハリポタはすごいし作者は天才だしヴォルデモートの対比に使われた11歳ハーマイオニーは何。

誰の目から見ても明らかなグリフィンドールの資格で持って剣を手にするネビルを見ると秘密の部屋の時は「何その設定〜?!!!?」と思った「組み分け帽子には相応しいものの手に渡ると剣を出す機能がる」も納得がいく。納得がいくというか今回剣が出たり消えたりしているのを見ると創設者のグリフィンドールの「然るべきものにしかるべき力を」という正義と「大事な場面に必要なのは俺の剣以外にありえないが??」という自我の強さを感じるしこれってめちゃくちゃグリフィンドールっぽい。
しかも全ホグワーツ生の前に現れないところもわりとグリフィンドールを贔屓してくるグリフィンドール卒の先生方もそれに倣ってるので本当にグリフィンドールはよ〜!!になる。

剣を手にしてナギニを殺すネビル、普通に死の秘宝part2で1番かっこいい画だった。
マグさんが「グリフィンドールみんなネビルみたいだったらいいのに…」って言ってたんだけど、多分ネビルは相応に浮いてる。
ハリポタの中では「誰と一緒にいるか」がは率いてる本人の性質をそのまま映す傾向にあって、ハーマイオニーとロンと一緒にいるハリーは聡明だし勇敢で、空中カップケーキトラップに引っかかる二人を引き連れてるマルフォイもあんまり頭良くないしそれはそうとめちゃくちゃ甘いし、かつてグリンデルバルドといたダンブルドアとか、冷酷さと卑怯さと臆病さでメンバー構成されてるデスイーターもそうだし、誰にも影響されないフレッドとジョージがずっと隣にいたりして「足りないところを補ってる」もあるけどそれよりも「同じ道を歩ける」人たちが連んでる印象がある。だから特定の誰かと一緒にいる描写がないけどどこにでも現れてるネビルはかなり浮いてたんだと思うし、この話で隣に並ぶのは当然ルーナなので私が思ってるより浮いてるかもしれないなネビル…。

失態

ヴォルデモートが負けた理由、めちゃくちゃあるしその一つは「ネビル・ロングボトムを知らなかったこと」何だけどなにより自分に不利な戦いに持ち込んでしまったこともあると思う。
ヴォルデモートが強いのってその残虐さとか人を惹きつけるカリスマ性なんだけどそれに並ぶのが、ホグワーツ生に強制受信させた「ハリーを差し出せばホグワーツには手を出さない」とか「お前たちはよく戦った、弔う時間をやろう。ハリーさえくればもう手は出さない…」とかの駆け引きというかスリザリンらしい政治力なので、得意技が殉職のグリフィンドール所属のハリーたち相手に全面戦争を仕掛けた時点でだいぶ負けだったと思う。
陰湿デスゲーム司会者の挙動をし続けたからハリーが生まれる前の世界って混沌に満ちてたはずなので、ずっとそれを続けてたら勝ててたんじゃないかな〜!!
分霊箱を壊されて判断をミスった結果だとしたらダンブルドアの采配勝ちかもしれないし、集団対決に持ち込んだホグワーツの決断力の勝利かもしれない。あとミネルバ・マクゴナガルっていう個人で軍隊を作れる魔法使いがウキウキで戦闘に乗り出してくることを見越せなかったヴォルデモートの情報収集不足かもしれないし、ミネルバ・マクゴナガルとかいう殺意が高いわけじゃないけど破壊衝動に従順で礼節を重んじるが本当の「格」とは「最後に立っている方」だと心得てる淑女を抱えて教師をさせてたホグワーツの人事が勝ったのかもしれない。
とにかく「ドカン、です」「これ使ってみたかったの♡」が可愛かった。

分霊箱を作って命を7つにしたことは凄かったけど、結局ヴォルデモートはそれを使うことなく眠りについたわけなのであんまり意味がなかった。分霊箱って秘密にしておかなければいけない切り札でもあるけど同時に明かしておくことで初めから心を折る手札でもあると思うのでその辺難しいし、そもそも慎重な人なので7つに分けて自分が手を出せないHPを外に置いたのだいぶ悪手だったのかも。
7つ分けても油断しないところがヴォルデモートの恐ろしさで、絶対に失わないのだから1つでいいと思えなかったあたりがヴォルデモートの臆病さだった。

ニワトコの杖を手に入れたあたりも「強くなりたい」ではなく「自分より強いものが存在しない状態でありたい」の方が強い感じがしてかなり限界の感じる行動だった。
それはそうと、ニワトコの杖関係の「えっ、今寝取りの話した…?」感、異常だった。
マルフォイの杖がハリーの手に渡り「忠誠心が傾いたようだ」ってオリバンダーさんに言われた時も「寝取りの話した?」と思ったし、最後にハリーが「このニワトコの杖はマルフォイのものだったんだ」の時も「最初に浮気したのはマルフォイってこと?」って思ったし、そもそもらニワトコが「前の使用者から受け継がれる」ロマン仕様が悉く「強奪」という手段で行われるのでずっと人妻だった。ずっと何言ってんだろうな。

ダンブルドア

アバーフォース・ダンブルドア、出てくるの一瞬だしセリフが少ないのに溢れ出る「いい人」感がすごい。ファンタビを経てるので尚更そう。あれがああなってこう、の人がホグワーツの子供達に手を貸して「アバーフォースのめし?」とか言われるくらい料理振る舞っているのだいぶ泣いてしまう。
原作だとすっごい勢いでダンブルドアのこと貶して、それに盲信する若者とハリーを罵倒するシーンで初めてみた時は「何だこいつ…」と思ったんだけど今見たら正しさしかなかった。それに「ダンブルドア以外の理由を出せよ」って言われた後のハリーが特に自分の意見とかなく「ダンブルドアを…信じる!!」なのもびっくりした。

ダンブルドア、死後の白い世界で「言葉を操ることには自信がある」みたいなことを言っているのが1番怖かった。さっきからダンブルドアに言及するとき「人心掌握自信ニキ」とかいう生涯で使ったことない語彙がちらついて離れなくて困ってるくらい衝撃を受けた。
「…先ほど言った言葉を変えよう。『ホグワーツは“ふさわしきもの”に力を貸すんじゃ』」のところ、何をどう考えても全部ペテンなんだけどそれこそが言葉の魔術の根源だし、世界は君の信じる方に広がるってことを言っているし、他の誰に何と言われようと信じるものを手放すなって話なんだけどさ!!!!!!児童小説でそのメッセージを引っ提げてくるのが「信頼してたのに自分のこと有益な駒としてしかみてないし、なんか周りも胡散臭いってわかってた人をそれでも恩師だと信じろ」の形で出すことなくない?!!?!!?アルバス・セブルス・ポッターってすごくない?!?!!?ハリーって信じられないくらい頑なだよね?!!!!!あの場面を見た上でダンブルドアのこと尊敬できるのわけわかんなくない?!いや、訳はわかるけど…動機はどうであれ行いは結果を生むし、それを受けた人は本当の心なんて関係なく救われるんだっていうのはバッドガイズでも言ってのでダンブルドアの非情なまでの合理性とハリーが救われたことは矛盾しないんですけど…!それはそれでさ…!!スネイプ先生が結局は欲しい時に欲しい言葉をあげれたのに躊躇ったこととかさ!!!その辺も飲み込んで子供につけたんだからハリーってすごい大人になったよな…。

この色々を受けてファンタビを改めて見返すのが本当に怖い。ファンタスティック・ビースト ダンブルドアの秘密のことめちゃくちゃ好きなだけに怖い。

人々

マルフォイ家のこと好き。
ルシウス・マルフォイってデスイーターではあるんだけど妻子が平和な時代を生きたことを噛み締めてもいそうだし、奥さんもドラコが心配でスネイプ先生に助けを求めてるし、息子の安否を確かめたくてハリーを見逃すし、ドラコもヴォルデモートの言葉ではなく母の声に従って隣に行くのがずっとよかった。色々プライドがない行動に見えるけど、家族さえいれば何も失ってないというのが一貫してるし、後全員髪が白いので逃げるのが視聴者から速攻でバレるキャラデザも最高。

ロンとハーマイオニーがくっつくのに本当に時間がかかった。
「僕のハーマイオニーに何するんだ!!!」ってキレるロンが可愛かったし、おそらくロンってハーマイオニーが奥さんであることを一生誇りに思うしそれと同時に月に一回くらい夫婦喧嘩してハリーとジニーに迷惑かけてると思う。
奥さんににめろめろなちょっと情けない旦那さんという形、完全にアーサー・ウィーズリーでありとなるとベラトリクス・ストレンジを玉砕したお母さんって「そう」なのではって気がしてくる。

は〜本当にハリポタは最高!!!!!めちゃくちゃ面白かった!!死の秘宝は特に過去6作の要素を全部さらっていくスタンスだったので見覚えのある要素が爆破し、見たことある生物が暴れ狂い、よく知った人々が死ぬ。

見直せてよかった、家に本があるし読み返したいかも。お付き合いいただいたマグネット磁石には頭が上がりません。

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