学生時代に書いた『ドラえもん のび太と鉄人兵団』の感想を発掘した

TLに藤子・F・不二雄のSF短編漫画の話題が流れてきて、そういえば学生時代に鉄人兵団の感想をmixiに書いたなと思い出したので、noteに残しときます。
14年前の文章なので今と文体が違う箇所もあるけど、ご愛嬌ということで。というか、読み返して思ったけど、当時から女の子に罵倒されたがっているのは変わらないんだな…。

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 メカトピアというロボットの星には、「神様は怠惰で邪悪な人間達に愛想をつかして滅ぼし、アムとイムというロボットを作り上げた。彼らは自分達で工場を造って自己増殖し、地球と同じような歴史を辿ってきた。最近になって、リンカーンのようなロボットが表れ、それまで貴族と奴隷とで構成されていたメカトピアの社会に革命を起こし、全てのロボットを平等に扱うようにした...だからこそ、奴隷ロボットに変わる新たな労働力を得るために、地球人を奴隷にする。これは神の思し召しだ」という考え方がある。
 この頭のおかしい考え方をリルルはマジで信じていて、偵察の際に出会ったのび太には好感を持っているのに、人間がロボットの奴隷になる事は当然と考えているわけです。
 のび太達は 侵略にやって来たメカトピアのロボット達を、現実の世界ではなく鏡面世界へと誘い込んで騙そうとする。
 その鏡面世界のからくりを知っているリルルは、この事を鉄人兵団に知らせようとする。

「リルル!」
 のび太はリルルに銃を突きつける。
「......」
「行けば撃つぞ!!」
「......」
「ホントに撃つよ!!」
「...いいわ!撃って!!」
 リルルは満面の笑みを浮かべる。
「......」
「.........ダメだ」
「いくじなし!!!」

 リルルはのび太に電撃を食らわせて、少し寂しそうな表情を浮かべながら鉄人兵団のアジトへと向かうのだけど、このシーンは本当に凄い。
 この後は人間とロボットとの共存を目指すリルルの自己犠牲の物語になってしまうのだけど...この場面は藤子・F・不二雄さんのSF短編「ミノタウルスの皿」とほとんど同じような状況なんです。つまり、常識がまるで違う社会の者同士は、自分達の常識を疑わない限り、自分達の考えこそが正しいと思ってしまう気持ち悪さというか。
 「ミノタウルスの皿」では、「人間には人権があり、人が生け贄にされるなんて論外であり不幸だ」と考える地球人と、「社会のためにミノタウルスの生け贄にされるのは大変素晴らしい行為だ」と考える宇宙人の女の子が出てきて、最後にはその子は満面の笑みを浮かべながら、ミノタウルスの住む洞窟へと運ばれる。この時の生け贄の女の子の笑みと、上記の場面でのリルルの笑みが凄く似ているんだよね。
 もちろん、リルルは「のび太なら、自分を撃つ事は出来ないだろう」という打算もあったんだけれど、「ロボットならば、ここで私を撃ち殺すだろう」というメカトピアの常識とのび太の行動のあまりの落差に「いくじなし!」とつい言ってしまう。
 ここでのび太がリルルを撃ったとしても、リルルは満面の笑みを浮かべたまま、鉄人兵団と同じ論理を持ったのび太を許してしまうと思う。つまり、リルルは、神様の言ったようにのび太が本当に怠惰でどうしようもない生物なのか、自分達と同じように血も涙もないロボットなのか、もしくはもっと別の価値観を持った人間なのかを試そうとしたんだ。
 もし、リルルが鉄人兵団に秘密を知らせる事を最優先としていたら、のび太をあっさりと殺して、彼らのアジトへと向かうだろう。だからこそ、のび太の価値観を知ったリルルは鉄人兵団を裏切り、ロボットと人間とが共存出来ないだろうかと模索して、最後には涙を浮かべながら自己犠牲の道を選ぶ事になる。しずかちゃんとの友情が溢れる、あの有名な結末へと至る。
 
 こういう展開をたったこれだけの台詞で表現している所が凄い。というか、僕もリルルに「いくじなし!!」と罵倒されてみたい...かも。しずかちゃんに睡眠薬を飲まされた時に、わざと眠った演技をして、一人になったら錠剤をペッと床に吐き出し、ロボットなのに不敵な笑みを浮かべるエロティックなシーンも凄いなぁ。リルルの髪の毛の影の描写とかをよく覚えているよ。
 トラウマ・ムービー、トラウマ・ガール...それが人生さ。
 ちなみに僕は劇場版ドラえもんでは、「のび太と恐竜」、「宇宙小戦争」「鉄人兵団」、「パラレル西遊記」、「雲の王国」あたりが好きです。
 やはり「鉄人兵団」は一番好きですね。藤子・F・不二雄の作品だと、ドラえもんよりもSF短編が好きな人にオススメです。

 やっぱ、劇場版ドラえもんは「もしもボックスがあれば、どんな危機も乗り越えられるだろ?」という皮肉を浴びせられないように、客を物語に引き込ませる力が凄いです。

 あー、ドラえもんに卒論を楽に書ける道具を出してほしい。「卒論デキール」みたいな。昭和の薬の名前か。

 「ファイトクラブ」に関しては思い入れはあるけれど、もう大体の感想は言い尽くされただろうし、長くなるから割愛。ブラッド・ピットがかっこよくて、ヘレナ・ボナム・カーターが可愛いです。
 劇場で初めて観た時はホントに感動したなぁ。
 
 というわけで、ヘレナが劇中で吸っていたlark mildを今、吸っています。何だか勢いで文章を書くと、変な文になるな。自戒、自戒。

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