いきなりですが、扁桃腺ってご存知ですか？

名前は聞いたことあるでしょう？

風邪や熱のときに腫れるあそこです。

そのあそこってどこですか？

具体的に。

指差せますか？

なにを隠そう、この街頭インタビューをして回っているこの僕こそが扁桃腺なんですが、現時点で150人に聞いたところ誰一人として僕に気付いていません。

老若男女150人とも、「扁桃腺」を知っていると回答しました。

しかし場所を聞くや否や、えー？と言って、当たったり外したりしています。

舌の根本のあたりと言ったり。

喉仏の裏とか言ったり。

喉仏の両側とか言って。

正答率は40%といったところ。

その正解した人でこそ、当てすぽなようで正解音が鳴るとびっくりしてる様子でした。

目の前にいる僕にはもちろん気付かない。

街を歩いても顔を差されない知名度100%。

唯一の存在なのではないでしょうか？

200人。

500人。

1000人。

顔を差されるまで帰れない企画。

雨にも降られ気温よりも冷えてきました。

終電もなくなって人通りも少なくなりました。

そもそも声をかける人がいないのに、なにをずっとカメラを回してるのか。

あんたらも寒いだろ嫌だろ帰りたいだろ寝たいだろ。

どうしろって言うんだこんな状況で。

体調よりガチが優先されるテレビならやめてしまえ。

くそが。

「あのもしかして、扁桃腺ですか？」

「…えっ、はい！」

「いつも見てます！ほら！」

声をかけてきた女性はマスクをずらし、大口を開いて見せてきた。

「あっ、ほんとだ（笑）ありがとうございます！えっ、僕だってすぐ気付きました？」

「はい、膨れてらしたんで、遠目からでもすぐわかりました」

「え」

百貨店の濡れたウィンドウに、両側が真っ赤に腫れ上がった姿を確認した。

なんか、故事成語かと思った。