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およげ!たいやきくん

2097年11月。
お笑い界が終わった。厳密には、未来が終わった。若手を中心に、解散、引退の連鎖がとどまること知らず、お笑い芸人の総数が2桁を切ったのだ。

同年9月。
テレビ放送があるかないかはさておき、毎日どこかのチャンネルでどこかの会場でどこかのスポンサーがお金を出して、お笑いの賞レースが開催されている。

大阪・東京の各ライブ会場で行われるライブは全てといっても過言ではないほど賞レースの予選におさえられており、追いやられた区民集会所のようなところでお客さん5人の前で顔馴染みのお客さんの前で賞レース対策ライブをやる始末である。

ロバート=ビュッフェル博士は日本のそんなお笑い界隈事情に目をつけ、とある実験をした。

今回は東京のお笑い界隈が実験台となった。秘密裏に、若手芸人が通いそうな居酒屋、スーパー、銭湯、コンビニなど、しらみ潰しに協力(無論、多額の協力金を支払い…)を仰ぎ、店内BGMを『およげ!たいやきくん』にしたのだ。


 ーあとはもうお分かりですね。



先日の取材で、ビュッフェル博士は得意げにこう言った。



現在。
2098年1月2日16時57分。
まさにこの記事を書いている最中に、つけていたテレビ画面からニュースが飛び込んだ。

博士が歌舞伎町で背中を刺されたらしい。何度も何度も。犯人は逃走中。目撃者によると、若い女性だという。とにかく、博士の容体が心配だ。

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