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豊田市美術館に行く

ずっと来たかった美術館。
それが豊田市美術館である。

谷口吉生さんの空間が好きで、
いつか行かねばなるまいと思っていた。

名古屋から電車で30分くらい。
駅を出ると、ペデストリアンデッキが広がり、
その先に商業施設のビルがそびえていた。

危険な感じも冷たい感じもなく、
平日お昼ののんびりとした空気も相まって、
優しい感じのする駅前だった。

お昼前だったが、腹ごしらえが必要だ。
ここからは夜まで何も食べないかもしれない。
さぁカフェに入って、のんびり…
はせず、ものすごい速さでサンドイッチを食べた。

一刻も早く美術館に行きたい。笑

なにせじっくり建物を見るので、
いくら時間があっても足りないのだ。

午前、午後、夕方…刻々と変わる光も、
なんなら夜の電気がついた状態も見もので、
一日じっくり見ても、とても足りないことが、
見る前からわかっていた。

商業施設を出てキョロキョロすると、青い看板が見えた。
なんとなくだけど、きっとあれだな。


地面や植え込みに現れる青い看板を辿って行くと、
いちばん安全な道で美術館に導かれる。

交差点まで来たあたりで、美術館の屋根が見えてきた。
ぜったいにあれだ。
屋根にトップライトの三角ガラスがきらり。
ぜったいにあれだ。



大きな道路を行き交う車の音にかき消されているが、
きたきたぁ!と声に出していた。

いますぐジャンプして走って行きたいくらいだが、
ぐっと堪えて早歩き。

青い看板は、坂道を指し、
そして、坂道の擁壁に続いていた。
まだですよ、まだまだぁ、と言わんばかりに、
坂道を登り切るまで青い看板が見守ってくれる。



坂を登り切り、息を整えていると、
シャツの袖にてんとう虫がぴっととまっていた。
ものすごい晴れて、日差しが強い。
リネンのシャツで正解だ。



なるほど、高低差がある街に建っていたのか。
来ないとわからないことがある。



街や道路の喧騒を背に入り口に向かう。
急に静謐な空気の入り口。虫の声。


すれ違ったお掃除の方が「こんにちは」と迎えてくださった。
穏やかな「こんにちは」がすごく嬉しくて、
なんか、いろいろとぴったりだったのだ。
何度思い返して嬉しい「こんにちは」だ。

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