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休日は自然に触れ、幼少期を思い出す。


#休日のすごし方

5歳の頃蟷螂が好きだった。


 身近な昆虫の中でも圧倒的に体格が大きい点と、前脚が鎌状になっている点に惹かれたのかもしれない。子供は日本刀や鎌等の武器が好きだ。
 私は幼稚園児の頃、プラスチック製の日本刀を欲しがり、買ってもらうと何処に行くにも肌身離さず持ち歩き振り回していた。見えない敵と戦うためだ。たまに親に連れられて行く銀行や市役所なんかは敵のアジトとして脳内で設定していた事を今でもうっすら覚えている。

休日の公園で再開。

今は全く蟷螂に関心が無い。蟷螂どころか昆虫そのものに。寧ろ厄介者として扱う事が増えた。例えば蝸牛のなかには危険な寄生虫が入っているそうだ。むやみに触るものではない。
 休日に、気晴らしのつもりで近所の面積が広い公園を散歩した。そこで久しぶりに図体のでかい蟷螂を見つけた。まわりは蝿やら蟻やら目を凝らさないと何の虫か分からないような小さい虫ばかりの中で、蟷螂だけ不自然と言えるくらいな大きさと存在感を放っていた。こうしてたまに出くわすとふと懐かしい気持ちになる。幼少期の記憶が蟷螂に紐付けられているようだ。たしかにバッタなんかも同じくらい大きいやつはいるし色も似ているが、奴らは鎌を持っていない。よく見かけるのはショウリョウバッタだが、あの無駄に縦に引き伸ばされた顔は何故か戦いに強そうに見えない。
 そう考えると私が幼い頃は、無意識に強く大きい存在に憧れていたような気がする。ヒーロー物のテレビ番組や怪獣映画の影響も大きいだろう。
 今の私にはヒーローへのあこがれはない。まさに蟷螂に対しての感情と比例しているようだ。

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