見出し画像

脳みそと夢

悪夢をみた。こわい夢だったがまったく覚えていない。小さい雪だるまが溶けていくように、気づいたら跡形もなくどんな夢だったか忘れている。知らないうちに、身近な誰かがまったくの別人と入れ替わっていることに気づくというような、そんな夢だったと思う。
 これは学生時代に本かテレビで得た知識だが、夢というものはすでに科学的に色々と解明されているそうで、脳が記憶を整理する作業中に、様々な記憶の断片が組み合わさる最中に見てしまうものだそうだ。脳は密集した神経細胞のダイナミックなネットワークでできており、神経細胞は末端部のシナプスを介してコミュニケーションをとっている。脳科学は日々発展し、そのうち感情や記憶すべてを司るこうしたシナプスに関してもすべて説明されるようになるのだろう。今は指を腱鞘炎にしながらポチポチ打っているそのスマートフォンも、未来では頭の中に埋め込んで脳みそのシナプスとやらで直接操るようになるのかもしれない。そんな時代がくる頃には私は老人で、今、パソコンが扱いきれないお年寄りと同じように、扱いきれずに若者に笑われてしまう時代がきっとくる。
 シナプスは、人間が学習するにつれて変化する。シナプスは基本的に、神経細胞同士が会話し、脳のある部分から別の部分へ情報を伝達する役割を果たすが、コロナの後遺症の一つ、ブレインフォグはこのシナプスが刈り取られて起こるという説があるそうだ。頭の中に霧がかかったように思考能力が落ち、集中力も低下する。これは発達障害の人が常に持っている感覚と同じなのだろうか。ブレインフォグを実際に発症した人の証言は、発達障害の症状と言葉だけ見ると似ている。だがそれもまさに霧のように曖昧で不確定なものだと感じる。誰も他人の頭の中がどうなっているかわからない。
 これからの時代、脳の研究は飛躍的に向上することが予想されるが、新しい情報についてはその信憑性を慎重に判断したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?