今日のアウトテイク#121「世界銀行が示すギグエコノミーの実態と課題」ほか【メンバーシップ特典】(2024-03-18)

<アウトテイク>
・SNSに投稿する前の推敲(もしくは配慮)なしのメモ
・投稿せずに、いや、やっぱりやめておこう、と思った殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・要するに「伊藤の現在地点」

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ギグワークはいずれプラットフォーム協同組合につながる。


#今日のBGM

#今日のコトバ

"幸せにしてくれる人を待っていてはいけない。
どんな幸せも自分で作るしかない。"
(アリス・ウォーカー)

A little inspo from Alice Walker. First, put a smile on your own face, and then share it with someone else.

Posted by Entrepreneur on Sunday, March 17, 2024

#船上ワーケーションより移「働」してなんぼ

出た〜、という感じ。1ヶ月間、地中海をクルーズしながら船上ワーケーションと洒落込もう、という話。

世界中で増殖の一途であるデジタルノマドに向けた、ヴァージン・ヴォヤッジ社の新プラン。

デジタルノマドというライフスタイルを採用する労働者が増えるにつれ、こうした旅行オプションの需要が高まるのは必至だろうが、が、船の上で1ヶ月間も、同じ顔ぶれの中にいるのは退屈で仕方ないのではないかと危惧する。

同乗メンバーの中に気の合うワーカー(あくまで観光客ではない)がいればめっけものだが、昨日も書いたリモートプレナーみたいな人にはアホらしいんじゃないかと思うけど、どうなんでしょね。

それより、滞在先を起点として気の向くまま足の向くまま、自由に移「働」したほうが、思いもしない出会いが期待できると思うのだが。

ヒトは移「働」してなんぼ、ですから。

#ギグエコノミーは従業員か請負業者か

EUは、ギグエコノミー労働者の保護を改善することを目的とした規則案を支持、近く議会での採決するらしい。進んでるなぁ。

ギグエコノミーとは、ウーバーの配達員のようなオンライン・プラットフォームを通じて、いわゆるスキマ時間でのちょっとした仕事のこと言うけれど、これに従事する者を企業の従業員とするか、独立した請負業者とすべきかで、ずっと意見が分かれていた。

「フランスやドイツといった経済大国を含むEU加盟国間の意見の相違により、草案は何度も修正された」らしい。独立した一国ではない連合体だけに、まとめるのは大変だったのは想像に難くないが、結局、雇用形態の決定は国内法、労働協約、判例法に委ねられることに。

ただし、ギグワーカーが従業員ではないことを証明する責任は企業に移される 。ここがポイントだろう。

これは、オンライン・プラットフォームに雇用される労働者の労働条件を改善するためのプロセスだが、

プラットフォームが賃金や労働時間を大幅に管理したり、電子的に業績を監視したりする状況において、ギグエコノミー労働者を従業員として分類することを目的としている。さらに、プラットフォーム労働者の特定の個人データを処理するための自動監視または意思決定システムの使用を禁止している 

とのことだから、大きな一歩になりそう。

社会保険や福利厚生など、企業の従業員なら普通に受けられる保障は労働者にとってはあるとないとではまるで違うけれども、企業にすればそのせいでコストが嵩むから、できれば避けたいと思うのは当然だろう。

ただ、個々の労働者によっては、ひとつではなく複数の仕事に従事している場合もあるだろうから、そのサービスを受けるかどうかも人によって判断が異なることも考えられる。

なので、ここは選択式にしたらどうなのかな。自由な選択肢を持つことのほうが労働者にとってのメリットを最大化すると思うのだが、さて、どうだろうか。

とか言ってたら、世界銀行から注目の調査報告が出た。

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「世界銀行が示すギグエコノミーの実態と課題」

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#世界銀行が示すギグエコノミーの実態と課題

世界銀行の推計によると、ギグエコノミーは 世界の労働力のなんと12%を占めるまでに成長している。ちなみに、2022年時点の推計によると2023年末までのギグエコノミーの世界市場規模は4,552億ドルに達するとされていた。

ここまで成長してくると、前章のような労働者の社会保障を前提とした待遇改善は不可避ですわね。

17ヶ国にわたるオンライン・サイトのトラフィック・データの調査によるものだが、先進国が世界のギグワーカーの大部分を占めているのは想像できるけれども、興味深いのは発展途上国での需要と機会がはるかに速いペースで増加していること。よく、世界は辺境から変革されると言うが、これもその兆候を現しているのではないか。

例えば、

サハラ以南のアフリカのような世界地域では、世界最大のデジタル・プラットフォームにおけるギグワーカーの求人広告が、2016年から2020年にかけて130%もの急激な伸びを示した。これに対し、北米の掲載件数は14%増にとどまった。

南アジア(104%)、中東・北アフリカ(100%)、ヨーロッパ・中央アジア(85%)、東アジア・太平洋(39%)、ラテンアメリカ・カリブ海地域(33%)に比べ、北米の成長率は最下位だった。

アフリカの伸び率がすごい。しかし、北米が最下位とは意外。

しかも、ギグエコノミーが利用するオンライン・プラットフォームの4分の3が、グローバルではなく、地域またはローカルなものであるという事実にアタマを叩かれた思い。

オンラインといえば、「距離を超えてつながる」というイメージがあるけれども、提供されるサービスがローカルのニーズに限られているのなら、必ずしも巨大なシステムは必要ないわけで。これ、盲点だった。

で、ここです。

世界銀行の報告書によると、このようなオンライン・ギグエコノミーの地域化は、若年層の失業率に悩む国々を支援する可能性が高いという。

そう、ギグエコノミーの隆盛は失業率が高いことの裏返しなのだ。

これが、失業問題を解決することになるのかといえば、にわかにはそう言い難いのではないか。そこで、先の「ギグワーカーの労働条件を改善」問題が浮上してくる。従業員と認定すれば失業率は理屈の上では低下する。

ただ、この報告書によれば 、若者はギグエコノミーから実際に利益を得ているのは確か、としている。ギグエコノミーは安定した収入を得る機会を提供し、新しいスキルを学ぶ能力を提供し、学業と仕事を両立させる柔軟性を提供するからだ。

この「柔軟な労働力」は、小規模企業や新興企業が変化の激しい市場において機敏であり続けるためには欠かせない要件だ。

さらに、女性ギグワーカーに関する調査結果が、これまた興味深い。

調査はまた、ギグエコノミーが 世界中の女性の労働参加率の上昇を支えていることを示唆している。 報告書が分析したほとんどの地域で、一般的な労働市場よりも多くの女性がオンラインのギグエコノミーに参加していることがわかった。

ただし、

しかし、多くの地域で女性が感じている賃金格差がかなり存在することを、この調査は挙げている。調査結果で引用されたほんの一例によると、「ラテンアメリカの主要ギグプラットフォームでは、女性のオンラインギグワーカーの賃金水準は男性の68%に相当する」。

30%以上もの格差は「はい、そうですか」と容認できるレベルではないと思う。

調査結果は、地域格差にも触れている。

ギグワーカーの大多数、10人に6人が小規模都市に住んでいることもわかった。
このことは、産業やビジネスにおける地域差のために、他の方法では得られないかもしれない機会をオンラインギグワークで提供することで、地域の平等性に対処できる可能性があることを示唆している。
オンライン・ギグワークに従事することで、世界中に新たな機会が生まれている。

なんと、60%が大都市圏ではない地域にいる。これも意外だった。いや、違うな、ギグワークはウーバーの配達員だけではなく、オンライン上でできる仕事もたくさんあるから、地方に住みながら都市圏の仕事をする、いわば在宅ワーカーの比率が高いということか。

余談だが、デジタルノマドも同じ。例えば、オーストラリアのノマドがインドネシアにいながらスペインのクライアントの仕事をする。パートナーは香港とコスタリカにいる。リモートワークとは、そういうことだ。

こうしてみると、ギグワークは問題を抱えながらも、労働者に対して一定の価値を提供しているのは明らかだ。

ただし、ギグワーカーには明確なキャリアパスがないことが課題として残る。さらに、インターネットに簡単にアクセスできない人々は、成長し続けるギグエコノミーから排除されたままだ。

そして深刻なのは、先の「従業員か請負業者か」の問題。

「ギグワークは、発展途上国で広く普及している非正規労働やその他の多様な形態の非標準労働と共通する特徴を有しており、そこではほとんどの人が労働規制の枠外で、社会保険や福利厚生を利用することなく働いている」。

その実態も数字が現している。

調査対象となったギグワーカーの半数近くが年金や退職金制度に加入していない。この割合はナイジェリアのような経済国では75%にもなるという。 国際労働機関( ILO)は、世界人口の約70%が保険に加入していないと推定して いる。

いくらなんでも多すぎないか。というか、実際のところ、世界はそういうところで回ってるわけだ。

政府はもちろん、民間企業もギグワーカーに対するこうした社会的保護を保証する上で重要な役割を担っている。だから、先のEUの「ギグエコノミー労働者の保護を改善することを目的とした規則案」の支持が、ひとつの大きなマイルストーンになることを期待する。

ところで、日本ではどうなんだろうか?

日本全体で275万人程度のギグワーカーがいるらしい。これは、今後、もっと増えるだろうけれども、EUと同じ課題を抱えていることは明らかだ。それにどう対処するのだろう。

なお、ギグワーカーが一致団結して組合を結成して仕事するというケースも海外では出てきている。いわゆるプラットフォーム協同組合(PLatform Cooperative)だ。

プラットフォーム協同組合については、もう4年以上前の記事だが、基本的なことはこれで判るはず。

プラットフォーム協同組合のことは、また別の機会に書くとする。

ということで、今日はこのへんで。

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