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2年半前の沖縄での講演を思い出す記事を読んで世界のワーケーションの動向を伝える有料記事3本を一気に無料公開した〜その起点はローカルコワーキングにあり

先日、このニュースを読んで思うところあったので一筆啓上。

内閣府沖縄総合事務局が実施した沖縄のワーケーションに関する調査結果だそうだが、滞在期間は5日以上が44.4%と半分近くを占め、平均滞在日数は11.8日と観光客の平均滞在日数3.6日を大きく上回っている。

また、希望する時期によって滞在期間はどれだけあるのが理想かという問いに、だいたい10日から2週間程度と回答されている。

かねて、世界のリモートワーカー(デジタルノマド)は旅先での滞在期間を長く持つ(短くて2週間、ちょっと長くて1ヶ月〜3ヶ月)ということを、くどいほど書いたり講演したりしてきた身にすれば、こうして日本のワーカーの動向が数字で表されたことは喜ばしい。※調査対象の母数が明示されていない点がいささか不満ではあるが。

実はぼくは、2019年11月に沖縄の宜野湾で世界のワーケーション事情について講演している。東南アジアや中南米の気候が温暖で物価が安定しているところに、世界中からデジタルノマドが集まってきていることをいちいち事例を挙げてお話した。

タイトルに「コワーキング」をクローズアップしているのは、ローカルのコワーキングを海外からデジタルノマドを受け入れる拠点とすることを、まず提案したかったから。

そして、滞在期間中に内外のワーカーがさまざまな交流の機会を生み出して、地元にビジネスの起こるきっかけとする、つまりぼくらのいう「コワーケーション(コワーキング+バケーション)」の格好のロケーションとして沖縄が最もポテンシャル高いと訴えた。

ここらでおなじみのこれを貼っておく。

この時、参加されたのは行政・自治体関係、宿泊業関係、それとコワーキング関係者が3分の1ずつだったと記憶している。

この講演がおかげさまで評判良かったらしく、翌年の2月にもお呼びがかかり、再度、宜野湾に伺った。今度は完全に「コワーケーション」にフォーカスした内容だ。

サブタイトルに「新しい観光ビジネス」と打ってるのは、この回は参加者のほとんどが観光業界の事業者だったからだが、趣旨としているのは毎度同じ、ヒトが集まりコトを起こす場としてコワーキングをローカルに整備しよう、でそこに海外からデジタルノマドを呼び込もう、ということだった。

確か、沖縄の観光客の滞在日数が平均で3.4日だったか、3.8日だったかで、これをもっと伸ばすにはどうしたらいいか、という命題に対する講演だった。

「え、そんなに短いのか」と思ったが、だいたい韓国や台湾、中国などの近隣の国からの観光客がほとんどなので自然とそうなる。ならば、もっと他の国から観光客ではなくて長期滞在型のリモートワーカー(デジタルノマド)を誘致しよう、というのがぼくの提案だった。

そのこともあったので、冒頭の記事の最後の段落でこう締めくくられていて、いささか呆気にとられた。

「自治体・観光協会・DMO が観光事業者、宿泊施設、テレワーク施設等と連携して、地域住民と利用者とのコミュニケーション・交流の場を作るなど積極的な取り組みを行うことにより、関係人口の創出や地域での消費額増加につなげていくことが期待される」

「ローカルとのコミュニケーション・交流の場を作る」って、そのことは2年半も前に、それも2回も話してますやん、何を今さらと思ってしまったワケで。

しかも、「消費額増加につなげる」などと、まだ「消費させること」を目的とした昭和の発想のままでいるのも、話、聞いてなかったのかなぁ?と。

まあ、ぼくなんぞがとやかく言ったところで、前例主義に頼りがちな行政には馬耳東風だったのかもしれないけれど。(※ただし、あるホテル業者はぼくの意見を採用してくれた)

調査結果を見ても、消費目的の観光客とワークするリモートワーカーの属性がまったく違うことは誰が見ても明らか。そんなところに、団体旅行客を遇する作法で満足行くワーケーションができるわけがない。

もう、そろそろそんな日本型ワーケーションはやめるべき。というか、もう1年もしないうちに企業主導の「日本型ワーケーション」は廃れるはず。

繰り返すが、沖縄は本来の(世界で当たり前にやってる)ワーケーションのポテンシャルが国内で一番高いのに、これではホントにもったいない。

ただ、タイミング悪く、まさにコロナ禍直前(というかギリギリ)で、出鼻をくじかれたのは確か。だが、それは日本だけではない、世界中がそうだった。

海外ではこの苦難の2年の間に、粛々と、いや虎視眈々と、晴れてコロナ禍が落ち着く頃合いを見計らって、用意周到に準備してきている。それぞれのポジションでコロナ禍以降の世界でどう人を呼び込むか、知恵を絞ってさまざまな手を打ってきている。

で、そのことをここで改めて書こうと思ったけれど、よく考えたら過去に何本かそのテーマで書いているので、2020年10月以降の、特に知っておいていただきたい世界のワーケーション(=コワーケーション)の動向のことを書いた記事を以下に紹介しておく。

すべてもともとは有料記事だが、最後まで無料で読めるように設定したので、ぜひご一読いただきたい。

まずはこれ。割と短め。

海外の要チェックのワーケーション事業者の動向について書いてる。Selinaは主にミレニアル+Z世代向け(←ここ肝心)のホテルを運営するスタートアップで、世界を「移働」するデジタルノマドにドンピシャで照準を合わせている。

こういうマーケットでこういうビジネスをグローバルにやっているという現実に目を向けておきたい。まったくの推測だが、早晩、沖縄にも上陸するかもしれない。というか、ぼくはその日が来るのを期待している。きっとそこで起爆する。

続いて、これ。長いです。

日本でワーケーションを展開するには、動きの鈍い国内企業よりも自由に動ける海外の個人のデジタルノマドにフォーカスすべき、という話。ぼくのこの主張はずっと変わらない。

そもそもパイの規模が違う。違いすぎる。かたや110万人程度、しかもリモートワークが進まない。かたやミレニアル以下の世代の27億人、その10%がリモートありきのワーカーとしても3億人近い。実際はもっと多いだろう。

さらに、ワーケーションよりも長期に滞在するコリビングについても解説している。ぼくの関心は、正直、ワーケーションよりコリビングに移っている。

それと、先月に書いたこれ。

長期滞在にはビザが必要だが、世界にはデジタルノマドだけに発行する「デジタルノマド・ビザ」がある。通常、観光ビザで3ヶ月のところ、6ヶ月、1年、2年、長いところで4年ものビザを発給する国がある。

しかも、スペインでは「村」がデジタルノマド・ビザを発行して、リモートワーカーを呼び寄せている。沖縄も県で発行したらどうか。きっと、世界中から集ってくるはずだ。

そうまでして、なぜ、デジタルノマドを自国に、ローカルに迎え入れようとしているのか。それは、前述の「消費を促す」という昭和の発想とはまるで違う次元でサステナブルな町にしようとしているからだ。人の交流から新しいビジネスが生まれ町に価値をもたらす、そのストーリーをちゃんと描いている。それでこそ、町は継続できる。一過性の「消費」などはモノの数ではない。

で、そこでローカルのコワーキングが大きな役割を担う。

なお、以下は人口26万人の町、ヴェネツィアの長期滞在型デジタルノマドをあらゆる面でサポートする組織の話。こういうのも、沖縄は率先してやればいいのにと思う。

が、誠に申し訳ないが、これはまだ無料化できない。よかったら買って読んでください。よかったら、ね。

ところで、沖縄市では沖縄市中央(通称:コザ)の商店街を「コザスタートアップ商店街」としてリブランディングし、起業支援施設やシェアオフィス、サテライトオフィスに加え、シェアハウスやワーケーション向けのホテル、さらにコーヒー専門店やソーシャルバーなどの交流の場を提供する計画が動き出している。

ポイントは外から人財を迎え入れようとしていること。こうした町の未来を見据えた計画に期待を抱くのはぼくひとりではないだろう。そして、この計画の中核にあるのがLagoonというコワーキングだ。商店街再生とローカルでビジネスを生むコワーケーションを両立させ得るお手本として、ぼくも注目している。

まずローカル・コワーキングを整備すること。それがすべての起点であることを、重ねて申し上げておきたい。

それでは。

(Cover Photo by Kazuo ota on Unsplash

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