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【織々ノ記】#102 雨ざらし紀行

いつまでも編年体な僕。

日記を続けようと思っているのに中々続かないのは、きっと編年体みたいにきっちりと日々の出来事を余すことなく列挙しようとしてしまうせいだと、最近ようやく気づいた。

もちろん日記のあり方に、決まった形なんてものはなく、自由にやればいいのだが、どうしても所謂日記っぽい体裁にとらわれて、自縄自縛状態、固定観念が邪魔をして、柔軟な文章を書けないでいる。

もっとありのままに考えたこと、感じたこと、見たこと、聞いたことを、書きなぐってもいいじゃないかとやっと思い始めた。

体裁もかっちりした文章じゃなくていい。言い回しも見せる言葉じゃなくていい。文章活動はもっと自由でいいはずだし、むしろ自由でなければならないだろう(これは自分に言い聞かせる言葉)。

そういうわけで、毎月の日記の更新を遂げるために、まずは9月の振り返りを自由気ままにしたいと思う。

幸いにもnoteにまとめようと思って何日分かはメモを残していたので、それを種として、9月分の日記を書き上げたいと思う。


9月は久しぶりに色々な場所に出かけられた月だったと思う。
コロナ禍で遠出の叶わぬ生活が続いていたが、今年に入って対策が緩和されたこともあり、毎年恒例になっていた一人旅行にも行くことができた。

まあ、旅行というより、メインは地方開催のイベント参加であり、その前後で観光を少ししたという感じで、予算・時間・ルートにやや制限のあった遠征であった。

今までの一人旅行をまとめたマガジンを将来的に刊行しようと思っているのだが、そちらで今回の旅行も詳しく振り返るつもりなので、今回はごく簡単に記述するに留めることにする。

さて、8日から9日にかけては、福岡に滞在。目当ては福岡三越で開催されていた『すずめの戸締まり』展である。東京でも開催されていたのだが、日程が合わず、訪問が叶わなかったので、わざわざ福岡まで足を運んだのである。

そういえば、初めて一人旅行した2017年のときも一番の目当ては「新海誠展」だったし、2018年の名古屋訪問も、初めて福岡を訪れたのも新海誠関連だった。劇中の鈴芽みたいに全国を旅したことは今でも鮮明に思い出すが、それは別の物語、いつかまた、別のときにはなすことにしよう。

2日間で福岡市動植物園や、筥崎宮、香椎宮、福岡市博物館など、できるだけ一人じゃないといけないところを中心に見て回った。流石に福岡タワーは一人向けじゃなかったけど。

10日には夜行バスで大阪まで移動して、今回第二の目標であった文フリ大阪に参加した。このときの振り返りはすでに別記事にまとめているので、ぜひご一読のほど。

翌日は大阪歴史博物館で一日を過ごし、再び夜行バスで東京への帰路についた。

久しぶりの旅行は、良い気分転換になった気がする。ずっと東京にいると閉塞感がどんどんと溜まっていってしまう。東京生れ東京育ちの甘チャンだから、東京以外のものに却って憧れみたいなものを感じる時がある。

旅行に行く時、僕はいつも「東京から来た人」であり、その地の人間では決してないのだと強く感じる。その場所に拒絶されているだとか、居心地が悪いだとかそういうわけではない。

ただ、自分はどこまでもいっても生れた場所の人間であり、旅行をすることは、自身をアイデンティファイする行為なのかもしれない。旅行に関わるこの感覚はまだ上手く言語化できていないから、いつか別の機会に文章にまとめようと思う。


13日には、縁あってお台場を訪れた。
お台場は過去に何回か訪れているはずだが、何故だかいつも記憶にあまり残っていない。少年時代に親と訪れた気もするし、学部時代にサークルの後輩と来た気もする。でもなぜだか決定的に思い出を呼び起こすことができない。

極めて断片的で、本当にそんな思い出だったかどうか確信がもてず、毎回初めて来たような錯覚に陥ってしまう

今回もまた、過去と同じように「思い出せない思い出」になってしまうのだろうか。そうはなりたくないのだが、そうならないと言い切ることもできない。今はただこのとき目にした瞳や、耳にした声を反芻して鮮やかさを保とうとすることしかできない。


17日には、サークルの同期と那須高原へ出かけた。同期といってもいつもつるんでいる同性の5人組である。去年なんかはこのメンバーで山形旅行に行ったりもした。

正直考え方も好きなものもバラバラな5人が、こうして卒業後も定期的に集まっているのは、奇跡的なことかもしれないし、そして喜ばしいことでもある。趣味が同じ友人や考え方が同じ恋人も人生には必要かもしれないが、こんなよくわからない何かで結ばれた友人もまた必要なのだろう

那須のちょっといいハンバーグを食べて、ちょっとした登山をして、たっぷりいいお湯に浸かって、たっぷりの渋滞にハマって東京に戻ってきた。良い(人生最後の)夏休みの締めになったんじゃないかなと思う。


さて、結局編年体チックな文章のまとめ方になってしまった。
日記の文体に慣れていないから、いつも文末が似通った表現ばかりになってしまう。もっと自由に幅広い表現を身につけるためにも、これからは極力日記を更新していきたいと思っている。いつも口だけで終わってしまっているので、今回こそは定期的な更新を目指したい。

それでは、今日はこのあたりで。さようなら。

【今日のタイトル元ネタ】
『野ざらし紀行』
江戸前期の俳諧紀行文。松尾芭蕉作。一六八五年(貞享二)に稿成る。以後も推敲を重ねる。『甲子吟行』とも。芭蕉の最初の紀行文。貞享元年甲子の年の秋に江戸を出て郷里伊賀上野へ帰り、近畿・中部をまわって四月に江戸へ帰るまでを記す。発句が中心で文章は短い。

小学館 『全文全訳古語辞典』より