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おめでとう、わたし

1年前の今日、まだ梅雨入りしていない空はぱきっと晴れていた。窓から入ってくる風は心地よい涼しさで、レースのカーテンはそよそよ靡いていて。それなのに、私は部屋の隅でぽろぽろ泣いていた。うずくまって熱い熱いかたまりになって、ある会社のホームページが表示されたスマホを手に握ったまま。

「選考を通過した方にはご連絡しました」

何度メールボックスを更新しても、新着メールは0件。2回手を伸ばしても、憧れの会社に私の手は届かなかった。

ここに文章を書き始めてから、今日でちょうど1年が経つ。毎日更新をしていた時期が半年と、週に1回の「感想文の日」の投稿に切り替えて半年。世の中の状況が目まぐるしく変わっている今、振りかえりをするのは難しいけれど、どうしてだか、1年前よりも少しだけ落ち着いている自分がいる。

noteを始めた理由は、憧れた会社への入社が叶わなかったからだった。書く仕事がしたくて、どうしてもそのきっかけを与えてくれた会社で憧れのひとと仕事がしたかった。新卒採用で落ちたときから、採用をもらえた今の会社できちんと3年働いて、リベンジをすると決めていた。それくらい、本気だった。それでも、やっぱり手は届かなかった。そして、縮こまってしまいそうな腕で、私は「ここで書く」ことを掴んだ。

1年経って、夢が叶ったわけでも、大きなことを成し遂げたわけでもない。それでも、夢が叶わなかったからこそ、やっぱり書きたい自分に気づいている。「書く」と「読む」でつながった、あなたのいる世界を知っている。そっと届いた応援のメッセージに目頭が熱くなったことも、顔を知らないあなたとメールのやりとりで語り合った夜も全部、現実のものだ。

「いつか」を夢見ていないと言うと嘘になるけれど、「仕事」にこだわらず私はまだ「書く」ことでわくわくしたい。「読む」ことで胸を熱くしたい。1年前の私が持っていなかった気持ちを、今の私は持っている。それは紛れもなく、私が立ち止まっていない証拠だ。それに気づいている私はきっと、まだまだ歩いて行ける。

「折星かおり」になった私、1才おめでとう。

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