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アナ王女の「相手のサンドイッチを食べちゃう」癖

2017年3月8日のツイートまとめ。『アナと雪の女王』のアナ王女の持つ「よくない癖」の話と、日本語訳吹替版だと英語版で描写されている「それ」が薄められてしまっているという話。

Hans: I mean it's crazy...
Anna: What?

Hans: We finish each other's—
Anna: Sandwiches!

Hans: That's what I was gonna say!

前ツイートはアナ雪の「愛は開いたドア(扉開けて)」の英語歌詞(一部)。以下は当番拙訳

ハンス「ねえ変な話なんだけど」
アナ「何?」
ハンス「ぼくらはお互いの…」
アナ「(食い気味に)サンドイッチをたべちゃった?」ハンス「それを言おうとしてた!」

日本語吹替だと

ハンス「教えてよ」
アナ「何?」
ハンス「何が好き?」
アナ「サンドイッチ!」
ハンス「ぼくと同じだ!」

…という歌詞にしていて。英語歌詞だと成立していない会話が日本語吹替歌詞では成立してしまっている。

finish each other's sentencesで「互いの言いたいことを完了させる」。「こんにちは、いい――」「――お天気だね!」みたいに。元の英語歌詞では、アナがハンスの話を聞かず、割り込んで当てずっぽうを言う。にもかかわらずハンスはアナに調子を合わせている。

吹替歌詞だと単純にアナとハンスの会話が噛み合い、意気投合している。「サンドイッチ」がこの歌だけで終わる話ならよかったんだけど、後でクリストフに「そのハンス王子ってやつのファミリーネームは?好きなものは?」と訊かれてアナが「(ハンスの好物は)サンドイッチ」と答える場面がある。

英語版だと「アナはハンスの話をよく聞かず思いつきで割り込み、当てずっぽうを言う→後で第三者に訊かれて『ハンスの好物はサンドイッチだ』と、また当てずっぽうを言う」なのだけど。

日本語吹替だと「アナはサンドイッチが好きだと言い、ハンスも(アナに調子を合わせて)同じだと言った。だからクリストフに訊かれて『ハンスはサンドイッチが好きだ』と覚えていることを言った」という印象を与える。これ結構アナの印象変わるよね。

英語版アナちゃんは、あの思い込みで人の話を遮って、文字通り食い気味に相手の語尾を引き取ってしまう(finish one's sentences)癖をどうにかしないと、あれ歳をとってからオレオレ詐欺の格好の餌食になるタイプだぞ……(なお、エルサはエルサでシスコンタイプゆえにアナちゃんを騙ったアタシアタシ詐欺にはカモられやすいと思われる)

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