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米中貿易戦争、一時「合意」でも、短命の可能性

【米中貿易交渉がひとまず「第一段階の合意」】

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米中は注目されていた貿易交渉で、ひとまず「第一段階」で合意した。
しかし、双方の発表内容には、「食い違い」が見られ、今後、大きな問題になる。
今回の「合意」は、互いに急いでまとめた「一時的な休戦」を演出するものでしかなかった。
つまり、来年にはどんでん返しもありうるということだ。 

中国は「アメリカは発動済み関税を一部取り消すと約束した」と深夜、急遽、記者会見を開いた。
しかし、トランプ大統領はすぐさま「関税のほとんどは維持される」とツイッターで反論。「第2段階の交渉のカードとして使う」意図を示した。

実際、アメリカは、15日から発動するとしていた第4弾の残りの分は発動を見送ったものの、9月に発動済みの13兆2000億円分は当初の15%の追加関税を7.5%に半減した。
しかし、これまでの第1弾から第3弾までの関税は維持される。

すでに第3弾までの制裁関税で中国からアメリカへの輸出は大きく落ち込み、家具や家電製品、産業機械を作る産業は厳しい状況にある。

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アメリカも農家などから悲鳴は出ていた。
今回、アメリカは「今後、農産品など、中国が2年間で2000億ドル(約22兆円)をアメリカから購入」するとし、政府高官は「農産品の輸入規模は17年の240億ドルから、年400億ドルに拡大する」と述べた。

中国側は「数値は決まっていない。後日、発表する」「アメリカからの大豆や豚肉の輸入は中国国内の農業に打撃にならない」と主張する。
中国のインターネットでは、米中の食い違いについての書き込みは徹底的に削除されているようだ。

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どちらの国も、国内への「配慮」があることは明白だ。

しかし、これまでの例では、中国政府が「譲歩した内容」を国内に漏れないよう最大限の努力をし、国営メディアの発表をコントロール。
それを後日アメリカ側が、世界に向けた発表という形で覆す、というパターンがあることを考えれば、凡その中身は想像できる。

「米中貿易戦争の一時休戦」を期待して世界の株なども上がっていたが、この「休戦」が長く続かないのは予想に難くない。

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何しろ、アメリカが求める「知的財産の保護」「産業補助金の廃止」などの中国経済の構造改革はほとんど盛り込まれなかった。
「技術移転の強要禁止」に関しては中国の発表にもあったが、実際にどう実施していくかには触れられず、ライトハイザー通商代表部代表は「中国が合意を履行するか不確実だ」としている。

どうやら、年末のクリスマス商戦を前に駆け込みでなされた感のある「合意」は、
米中貿易戦争の非常に短期的な「休戦」にしかならないように見える。



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