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感動体験できる場をつくることが好きなんだ。そして、そこがお気に入りの居場所に。【光村智弘】

熱海と言えば、クルーザーやボートがたくさん並んだマリーナ(係留所)の姿を思い浮かべる人も多いと思います。今回は、そのマリーナ施設を作り船の管理をされている 光村智弘さん にお話を伺いました。

【プロフィール】
光村智弘(Toshihiro Mitsumura)
移住:神奈川県湯河原町 → 静岡県熱海市
熱海マリンサービス株式会社代表取締役

30年前にペイドクル―(船の操船補助)の仕事で熱海に来た時、海を始めとする自然環境や立地にポテンシャルを感じたという光村さん。それ以来、海を使った観光を提案するイベントや活動を続け、平成3年(1991年)に熱海でマリーナ業の会社を立ち上げました。創業後7年間は奥様の希望で湯河原に住んでおり、熱海に移住したのは今から20年ほど前のことだそうです。

世田谷に住んでいた妻の家族と同居することになり、家族3世代で住める家を探し始めました。すでに熱海でマリーナ業をしていた僕としては仕事の緊急対応がしやすい立地であること以外の条件はなかったのですが、当時3歳の息子の通学のことなど家族全員が満足する家を見つけるとなると、なかなか難しく苦労の連続でした。

マリーナ業にやりがいと責任を感じていた光村さんにとっては、職場の近くに住めることでより仕事に集中できるようになることをモチベーションにしていたんだとか。家族のことを考えて最終的に、JR伊東線「来宮」駅(熱海駅の隣駅)まで徒歩圏内にある緑に囲まれて景色が美しい邸宅を中古で購入されました

移住前を振り返ってみると、商業エリアにあった湯河原の賃貸の家は、利便性は良かったものの、住んでいて特に感動もなかったので家賃10万円はもったいなかった気もします。一方で、今の熱海の自宅では、四季折々に変化する緑を眺めて自然の美しさに感動する喜びがある。相変わらず家にいる時間は短いですが、自宅に温泉もあるし今の方が暮らしの満足度は高いですよ。

話を聞いている中で、家に関しては奥様の家族と息子さんの居心地の良さを重視して選ばれたように感じたので、「光村さん自身のくつろぎ空間はどこですか?」と質問をしてみると、思いがけない答えが返ってきました。

家以外の場所に自分の好きな空間を作っている感じです。ひとりで籠れる事務所スペースも好きですが、関係している船や海岸周辺で過ごす時間がいちばん好きですね。夕暮れ時に音楽を聴きながらリラックスしていると、楽しいだけじゃなく良いアイデアも生まれたりする。制約がいろいろある中で、いかにお気に入りの居場所をつくるかを考えたり、実現に向けて計画したり行動したりすることに面白さを感じています

さらに詳しく伺うと、自宅以外の場所を自分の居場所にするためには、無駄な移動時間を楽しむ時間に変える為にも熱海に住むことは重要だったと言います。

元々外から入ってきたヨソ者事業者だから、人間関係づくりには時間を使ってきたんです。それが、家が近くなったことで飲み会にも最後まで参加できるようになり、関係性が深めやすくなって仲間も増えました。その仲間がいるからこそ感じられる楽しさも多いと思います。

光村さんと言えば、朝ヨガを開催したり、ツーリズムの提供をしたりする活動にも力を注いでいることでも知られています。その活動にも想いがあるそうで。

自分自身がイベントジャンキーっぽいところがあるから場作りは好きだし、感動している人の姿を見られることに喜びを強く感じるんです。特に、自然から得られるリアル体験は他の何よりも感動が大きいんじゃないかなと思います。それは天気や気候がお金で買えないからだったりもするんですけど、そういう感動を得られるチャンスを作ってあげたい気持ちは人より強いですね。 

伊豆全体が自然系の感動体験には適した環境なんですけど、特に熱海はその入り口として広く浅く体験しやすい場所なので、今後もその場づくりはしていきたいですね。

東京の高級寿司店で食べる寿司よりも、熱海の離島「初島」で採れた「朝採れの活きイカ」を行きつけの店で食べる方が感動する。そんな言葉がサラッと出てくるほど、光村さんはリアルな感動体験の良さを味わってもらえることに喜びを感じる人なんだろうと思います。

子育てをしている私には、「子どもの心に残るリアルな感動体験の場づくりもしていきたい」と語る光村さんのような方がいることこそが、熱海の目に見えない価値だと感じました

そして「自分たちの暮らしは自分たちで豊かにできるんだよ」というメッセージをいつも背中で語ってくれています。こうして光村さんのように行動している人の近くで暮らすことは、私たちへの刺激にもなり、創造性にあふれた毎日に繋がっていくのかもしれません。

END

〈編集後記〉

今回、光村さんのご厚意で密着取材をさせていただきました。途中、お客様から「それなら一緒にヨットに乗ればいいよ」とのお声掛けもあったりと、光村さんとお客様の信頼関係を間近で見させていただき、取材中の私にとっても感動体験となりました。

光村さんのお話はマリーナ業にとどまらず、海を守るためには山も守る必要があること、津波災害に備えた循環型エネルギーの活動もしていること、子供の自然体験が大切な理由など、自分たちや次世代の子供たちが豊かに暮らすための具体的な活動についてもお話いただきました。

自分らしい暮らし方・生き方を模索する人にとってヒントとなるお話がたくさんありましたが、インタビューに6時間を要した光村さんの生きざまは、この短い記事にはおさめることができません。なので、これから本格始動していくイベントの中でお伝えしていこうと思います。

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〈光村さんの移住前後の変化

「ものの豊かさ」よりも「心の豊かさ」を求める時代なのかもしれないということを、光村さんのインタビューを通しても感じました。そこで、移住前と移住後の幸福度の変化を、主観的観点で数値化してもらいました。

光村智弘さんのライフチャート

光村さんの目立った変化は『人間関係』。「2→8」と満足度が高くなっています。その詳細を聞いてみると大変な努力をしたというよりも、地域とのつながりや仲間を大事にする時間が増えた結果だということでした。また、『ビジョン』の中に「人それぞれの可能性が活きることを予想して、人と人をつなげ、科学反応が起きるのを見るのが楽しい。」というエピソードもあり、人との関わりの中で喜びを感じているそうです。


まとめ

光村さんは、移住を通して

・人とのつながりを大切にすること
・「人の心に響くもの」を追求すること
・人だけでなく、自分の心を満たすことを目指すこと

につながる行動をとりやすい状況を作り実践しつづけた結果として、「心の豊かさ」を得られるようになったのではないかと思います。日常的に関わる人たちを大事にすることで、自分の日常も豊かになっていくようです。

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「自分らしい暮らし方って何だろう?」というテーマでイベント開催します。

日時:2019年3月9日(土)
時間:16:00~18:15
場所:熱海銀座商店街のROCA(奥のコワーキングスペースにて)

Facebookイベントページはこちら↓


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〈関連記事〉

光村さんの事業ストーリーは波瀾万丈で心臓がバクバクしますが、同時に勇気をもらえる不思議なパワーがあります。インタビュアーのりょうかんくんの人間味あふれるステキな記事です。


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では、また!

ライフスタイルデザイナー 
中屋香織

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