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John &Jen と字幕ガイド

ジョンアンドジェンみてきたの。
クリスマスの家族が集まる季節にぴったりなお話し。

ジョンとジェンは仲の良い、少し歳の離れた姉弟で、1980年前後のアメリカの田舎に住んでる(ちょうどわたしとおんなじ時期おんなじ場所にいたんだなあ。)

父親と母親は喧嘩が絶えなくて父からの暴力もある。
姉のジェンは暴力を振るう父を許せなくて、弟を守らなきゃって思ってるけど、弟は自分が悪いから叩かれるんだ、お母さんがお父さんを怒らせるからいけないんだ、お父さんは尊敬すべきだって思ってるの。

結局耐えきれず家を出たジェンと、家にいて、ベトナム戦争に従軍した父の様になりたいと従軍して戦死したジョン。ジェンが家を出る前に、ジョンが一緒に連れて行って欲しいって言ってたのに聞いてあげられず、戦争になる前に喧嘩したことをジェンはとっても後悔してた。

アメリカの田舎ってって日本よりマッチョだし日本より保守的だと思う。

夫にも恵まれずに離婚したジェンは、自分の息子に弟と同じジョンって名前をつけて、今度は守ってあげなくちゃって誓うの。

周りに誰も頼れる人はいなくて、両親が子育てのお手本になれないことは自分の心の傷が大きすぎるからよっくよくわかってて、守らなきゃばっかりが先走って、どんどん視野が狭くなって、

ジェンは息子のジョンに自分で作った理想の弟のジョンの形にぎゅうってはめ込もうとしちゃうの。息子を守ることで昔守れなかった弟への贖罪をするみたいに。弟と同じ服を着せて、同じ野球をさせて、片時も離れず、自分の思うとおりになるようにコントロールして、自分が一番愛して自分のことだけを愛するように。

優しい息子ジョンは頑張ってお母さんの思う通りになろうとする。自分の進路を捨てて母の元にとどまろうってするくらい。

こういう優しい子、昔わたしが担当した少年にもいたの。お母さんのコントロールの下で耐えて耐えて。。。

その親子は結局息子がお母さんを殺して窒息から逃れた。

そうなりませんようになりませんように!って祈りながら見てたの。

ジェンはジョンから、進学を諦めてそばにいるよって言われた時に、手を離せたの。多分そう言った時ジョンは自分の命をたってもいいかなって感じだったと思う。

ジェンは、自分を縛っていた父親からの虐待や弟とのすれ違い、息子を守らなきゃっていう気持ちの鎖から自分で出てきて全部捨てようって思えたの。それってすごいことだと思うの。

そして、過去から自分を縛る鎖を全部捨てる決心をしたジェンに、息子のジョンは、ここから前に進もう、一緒にっていうの。こんなに心強いことはないし、こんなに難しいこともないと思う。

ぎゅうって抱きしめて縛りつけてたものを、手を離して、だけど一緒に並んで進んでいくって、奇跡みたいに難しけど、でもこんな形の光が扉の先にあるって、物語だとしてもほんっとにに大きな希望だな。

この物語を、あの親子に見せてあげたかったな。
あの少年に、刑務所行った時またお話しして聞かせてあげたいな。出てきたら見せてあげられるかな。

こうやって物語の中に自分が見えるような経験って本当に救いになるとおもうの。世界に自分だけみたいな気持ちになっちゃうときには、仲間がいるってわかるし、みんな苦しんでるんだから自分だけ苦しがってちゃいけないって思ってる時には、自分の生きてる物語も特別な大事なストーリーだって思えるもん。

だから、こうやってお芝居に接する機会が、限りなくたくさんの人にありますようにって、前も言ってたけど思うの。

今回、パルコステージさんが貸し出してる聴覚に不自由がある人のための字幕ガイドのタブレットがあってね、モニターじゃないけど、試させてもらったの。

開幕前から場内にこんな音楽が流れてますよって字幕で教えてくれてわくわくが共有できるのもよかったし、お隣の人から光が見えないような遮光のなんかカバーみたいのがかかってて、どの席で見ても大丈夫なようになってたの。

今までも字幕の機械ってあったけど、明るいから後ろの方の席固定だったり、別室だったりしたじゃない?これなら1列目で臨場感感じながら字幕も見られる!いろんなところから見られたらみんなもっと楽しめる。


あと、これ使いながら思ったけど、多分、視覚情報からじゃないと理解がしにくい特性を持った人にもいいかも。日本語の映画を日本語字幕で見てる人いるでしょ?そういう人もミュージカル見に来てもらえるかも。


そしたら今までは観られなかった層がオタクになるでしょ?オタク仲間がまたわらわら増えるわ!!さいこう!!みんな首まで沼につかろうぜ!!


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