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昔見た夢の話



おそらく10歳になるより前に見て、ずっと憶えている夢がある。



真っ暗な夏の夜、アサガオ柄の浴衣を着た私は木製のリヤカーに乗ってどこかに向かっている。
所々に街灯があり、その灯に照らされて今進んでいる道が暗闇の中に少し浮かんで見えたりした。


途中、灯りに照らされた樹皮が反射し、とても大きな樹の真横を通り過ぎようとしていることに気付いた。


じっと見ていると、その樹の麓に人影がある。目を凝らすとそれは裸のまましゃがんでいる母と妹だった。肌はむらさき色にぬるりと光って いる。


驚いた私は「ママ!〇〇ちゃん!」と呼びかけるが、こちらをじろりと見る目は訝しげで何も言わない。人違いで知らない人に話しかけてしまった時と似たような恥ずかしさを感じた。


そしてそのまま台車は進み通り過ぎていく。





シチュエーションとしては怖く、気味が悪いが、心が落ち着く夢なのだ。
思い出してはそのしんとした空気に感じ入ってしまう。


最近、ねこぢるを読んでいてなんだか落ち着く不思議な世界観の漫画だなと考えていると、どうもこの夢と世界観が似ている。


なんとなくそれで、改めて書き出してみたのでした。おわり



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