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能「鳥追舟」の装束

下掛宝生流の野口家主催で令和4年7月10日に催される「華宝会」。今年の能の演目「鳥追舟」のワキ方の装束について、野口能弘さんに解説をいただきました。

左近尉

霞模様の素袍。縦に見ると霞に見えます。模様の意味や理由は特にないと思います。決まり装束※で、下掛宝生流では「鳥追舟」の左近尉の後シテはこの装束と付ける決まっており、どの家でも同じ模様の装束を使用しています。

下掛宝生流の決まり装束は宝生家の蔵にあるものから写したり、装束の附集があってそれに着付けなどの詳細が記されています。「鳥追舟」の前シテではもう少し地味な素袍を付けます。

※決まり装束:曲ごとに決まっている専用の装束

日暮殿

掛素袍(当日は別の素袍)と江戸段熨斗目、白大口

掛素袍※の内着は従来は江戸段熨斗目※、または棒段熨斗目ですが、左近尉が棒段なので日暮は江戸段になると思います。
この写真では侍烏帽子をつけていますが、「鳥追舟」では烏帽子の代わりに傘を被ります。

※掛素袍:上下の上だけをつける素袍
※熨斗目:周防の中につける小袖方の内着。身分のあまり高くない男役などが装束の一番下に用いる小袖(THE能ドットコム参照)。
※江戸段:太い色の横に、細かい格子状のが添えられているもの(THE能ドットコム参照)。



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