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一生外食か一生自炊か。あなたは、どっち?

3月29日に『キッチンの処方箋~みんなでごはんの話をしましょう』というタイトルのトークイベントを開いた。みんながどんなごはんを食べて、どんなことに悩んでいるのか、知りたいなと思っていたことから立てたイベントだ。

参加者には事前に3日間の「食べたものアンケート」をとらせてもらっていた。食のプロやベテラン主婦だからといって、自分の食事がきちんとしているとは限らない。

食関係の仕事をしていると食べる時間が遅かったり外食に偏ることもあるし、台所でずっと食事を作っているのに、一日一食しか食べてない主婦もいた。逆に「自分はこんなに食べることばかり考えていて、ちょっとおかしいんじゃないだろうかというのが今の悩みです」と真顔で言う人までいて、いや本当に人の食に関する悩みはそれぞれだなと思う。

(ちなみに20代から50代までいる中で一番ちゃんとバランスよく理想的な食事をとっていたのは、料理が大好きだという一人暮らしの大学生だった)

そんな中、ある質問をした人がいた。
「もし、これからの人生、一生外食(または惣菜などの中食)か、一生自炊のどちらかしか選べないとしたら、どっちを選びますか?」

条件がひとつ。

「ただし、家族はいません。一人という設定です」

究極の選択だが、結果としては、外食派、自炊派にぱっかりと別れた。そしてとても面白かったのは、それが料理のキャリアや、料理ができるかどうかとは、あまり関係がなかったということだ。

家族がいたら自炊派だが、自分だけなら外食でOKという人が何人かいた。外食は自分が思いつく以上のものと出会えるという好奇心旺盛な理由から外食を選ぶ人がいた。作る行為が好きだから自炊という人もいた。
多くの人は、自炊と外食を適度に混ぜながらやっているわけだが、この質問によって自分が食に対して何を求めているかがはっきりする。そこが面白かった。

手作りにしても、家族に食べさせる日々の料理を作る人と、手作りの楽しさを感じたい人とでは、アプローチの仕方は180度異なる。
ちゃんと食べたいなら自炊すればいい。それができなければお金を出すか、簡便なできあいのもので我慢するしかない。だけど、そのふたつの間にはもっと細やかな人の気持ちや欲求がある。だから、みんなごはんのことで悩むのだ。

ごはん作りをする人が抱える悩みもそれと同じで、簡単に割り切れるものではない。うまくスープが作れないなら、コンソメキューブを使えばいいじゃんと言われたって、それではなかなか料理をした気になれない。かといって、鶏ガラを買ってきて一からスープをとるのではたいへんすぎる。その間ぐらいの間はないの?自分にしっくりくる感じはないの?

今回のレシピ作りではそのあたりを意識した。なるべく簡単に、だからといって化学調味料や出来合いのものに頼り切ることなく、食材そのもののおいしさを味わえるようにした。
それほど料理が得意ではないし、じっくり学ぶ時間もない、けれど料理は楽しみたいし誰かに食べさせたい気持ちもあるし、雑な食事で済ませたくない、そういう人たちがたくさんいて、本が売れてくれているのかもしれない。

すごく面白かったのでヒアリングイベントはこの後もときどきやっていこうと思った。何より参加者がみんな「楽しかったー!!」っていい笑顔で帰ってくれたし。

定員にて締め切ってしまいましたが、ひとまず2回目を5日にやる予定です。


読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。