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夏休みの自由研究。同じトマトで3つのトマト味を作ってみよう!

夏休みもあと少しですね。宿題はもう終わりましたか?「自由研究か残ってしまった!」という人のために、今日はかんたんで面白い自由研究の実験テーマをご紹介しましょう。

研究テーマは、トマトです。トマトを「煮る」「こす」「凍らせてすりおろす」ことで、3種類のトマトの加工品を作り、色や味などについての違いを調べます。

用意するのは、まっかな完熟トマト6つ。品種は桃太郎ですが、違う品種でももちろん構いません。このトマトを2個ずつ使って、いろいろなやりかたで3つの違う味にしてみましょう。

1.煮る

切って煮るという、トマトを加熱して食べるときのもっとも基本的な方法です。トマトソースやトマトピューレに近いものです。

トマトのへたをとって、皮ごと小さく切り、鍋に入れて煮ます。

このぐらいの大きさだと煮くずれれやすい。種や皮はそのままでも大丈夫

鍋に入れて、中火で煮ます。トマトは水分が多いためそのままでも焦げ付いたりはしないはずですが、もしトマトに水分が少ない場合は、少し(50mL=カップ1/4ぐらい)水を加えましょう。

ふたをして、そのまま10分ほど蒸し煮します。

最初はこんな感じですが、だんだん煮詰まっていきます。

完成。もっと煮詰めていってうらごししたものが、トマトピューレになります。たまねぎやスパイス、調味料を混ぜて煮詰めると、ケチャップになります。

約400g、2個のトマトが、203g、半分の重さになりました。

2.こす

さあ、次はトマトをこします。ただ普通にギュッとしぼるのではなく、ある方法で、透明なトマトのエキスをとってみます。

トマト2個を、適当にザクザク切ります。このあとミキサーにかけますが、もしもミキサーもハンドブレンダーもない場合は、トマトは切りません(おろしがねですりおろします)。

トマトを、ミキサーにかけます。ハンディタイプのブレンダーでもかまいません。

これがトマトジュースです!ちょっとピンク色をしていますが、それはどうしてか、後でお話ししますね。

さて、このトマトジュースを、ざるでこします。ざるに、キッチンペーパーを置いて、そこにミキサーにかけたどろどろのトマトを入れます。

ざるにキッチンペーパーを敷き、ボウルにざるをセットしてから、かくはんしたトマトを入れます。決して絞ってはいけません。トマトの重みで、自然にこされるまで1~2時間待ちましょう。

こんな風に、下に透明な液体がたまっていきます!

透明感のある液体がたまってきます。赤ではありませんが、トマトの色が少し入っています。キッチンペーパーの目は通り抜けてしまうんですね。

もし、おうちにこんなものがあったら、ぜひ使ってみましょう。よりクリアなだしになります。

コーヒーフィルターをコーヒーサーバーにセットします。目が細かいので、落ちていくトマトのだしの透明感が高くなります。

左がキッチンペーパー、右がコーヒーフィルター。

ここではふたつを合わせてしまいます。トマトのエキスができました。

残ったカスは、しぼらないでください。にごってしまいます。400g、約2個のトマトから167gのトマトのエキスがとれました。

3.凍らせてすりおろす

さあ、次はトマトを冷凍します。最低でも5時間、できれば1日かけて、カチカチに凍らせましょう。洗って、ビニール袋などに入れて凍らせます。

固いので、足の上に落としたりしないでね!

さて、これを、おろし金でおろしていきましょう。とても手が冷たくなってしまうので、キッチンペーパーを当てるとちょっぴりやわらぎます。

冷たいけどがまん。

最後の方は、ヘタをおさえるようにして、細かくうごかします。指をすらないよう気をつけて!

さて、こうすると、トマトのシャーベットのような、つめたいポタージュスープのような、トマトペーストができます。

トマト2個、約400gから、340gとれました。煮詰めると水分が、しぼると繊維がなくなってしまいますが、すりおろす場合は、ヘタ以外の全部がそのまま残ります。シャーベットみたいですね。きれいなピンク色です。

煮詰める、こす、凍らせてすりおろす。3つの違ったトマトができました。

くらべてみよう

3つの方法で形をかえたトマト。さっそく味わってみましょう。

<香り>
・煮たトマトからは、生のトマトとは違う、甘い香りがします。
・凍らせたトマトからは、あまり香りがしません。
・3種類の中で、一番生のトマトらしい香りがしたのは、透明なトマトエキスです。

<味>
・煮たトマトは、甘いです。水が蒸発して味が煮詰まっているからか、味が濃く、酸味もある程度しっかりありますが、甘味と同じぐらいです。また、口の中にトマトの味がしっかり残ります。
・透明なトマトエキスは、甘みが少なく、酸味がありますが、ツンとするような酸味ではなく、すっきりキレのよい味です。
・凍らせたトマトは甘味も酸味も弱いです。でも、口の中で溶かしていくと、徐々にトマトの味や香りが広がってきます。時間差トマト味です。

<塩を加えてみる>
それぞれのトマトに、塩をひとつまみ、加えてみます。量が違うので、大体同じぐらいに揃えてから。透明トマトが一番少ないのでこれに合わせます。

・透明なトマトエキスに塩を入れると、不思議なことに、甘味や酸味がふわっと感じられるようになります。特に、甘味が感じられるのが不思議です。
・冷凍トマトでも、同じことが起こりました。塩を入れると、甘味が引き立ちます。冷凍トマトはもともと酸味はすくないですが、より穏やかになる感じがします。
・煮たトマトに塩を入れると、強いうま味を感じます。トマトソースの味になり、酸味もさらにやわらぎます。

料理にしてみる

さて、これらのトマトは、それぞれ料理にすることができます。

煮たトマトを使って「トマトとキャベツのスープ」。キャベツと、トマト、たまねぎ、ベーコンを大きな鍋で煮込んだスープです。トマトは時間をかけて煮込むと、酸味がさらにやわらぎます。

凍らせたすりおろしトマトを使って、冷やしあえ麺。中華麺をゆでて水で冷やし、冷たいすりおろしトマト、ゆでた海老、塩、ごま油などで和えます。青じそをちぎってこれも混ぜます。冷やし中華よりさらに冷たい「ひえひえ中華」です。

こちらは、こしたトマトエキスを使い、チキンをさっと煮込んだスープです。見た目はただのチキンスープなのに、食べてみるとトマト味!おどろきのびっくりスープです。ローズマリーという、チキンやトマトと一緒に使うハーブを、こっそり入れて香りづけをしました。ただし、この量でトマト2個分ですから、とてもぜいたくなスープです。

まとめ

同じトマトでも、調理方法をかえると、まったくちがった3つのトマト味が生まれます。煮詰めると味が濃くなり、冷凍すると香りや味がやわらぎます。また、甘味と酸味のバランスや、食べたあと、味を感じる長さもそれぞれに違います。
これらはトマトのさまざまな特性を知るのにも、有効な実験です。加熱の時間をかえたり、量をかえたり、混ぜたりすると、無限に味が広がります。もっとおいしいトマトの味わいかたがあるかもしれないという可能性を感じます。

備考:トマト色の理由

生のトマトをミキサーにかけたり、冷凍トマトをすり下ろしたりしたとき、きれいなピンク色になりました。これは、使ったトマトの種類によります。
トマトには「赤系トマト」と「ピンク系のトマト」、2種類があります。トマトの原種は赤系のトマトですが、生食に向く大玉のピンク系トマトがそこから生まれます。
今、サラダなどに使われている多くのトマトはピンク系トマト。今回実験にも使った「桃太郎」がピンク系のトマトの代表です。水分が多く、ジューシーで、味もおだやかです。
一方で、プチトマト、ミディトマトをはじめとする小さなトマト、シシリアンルージュなど煮込み用のトマトの多くは赤系トマトです。赤系のほうが、甘み、酸味、香りとも強く、煮込にむくのは、こちらです。

赤系のトマトをミキサーにかけると…

さっきこした、ピンク系のトマトとは色が違いますね!鮮やかです。

トマトは品種改良も進み、数え切れないほどの種類がありますが、大まかにこう分類しておくといいでしょう。

***おわりに***

ここまで読んでくださってありがとうございます。
もし、あなたが小学生で、夏休みの宿題の自由研究がまだ終わっていなかったら、ぜひこんな実験をしてみませんか?トマト6つと、いくつかの台所道具で、できてしまいます。

ただ、ここに書いてある文章や写真を、そのままコピーしてはりつけるのはやめましょう。
みつかったときに怒られるからではありません。一度でも、そういうことをしてしまうと、この先ずっと、誰かのコピーをするような人生をたどることになります。たいくつで、楽しさも少なく、不満の多い人生です。おそろしいですね。

必ずトマトを買ってきて実験してみて、自分で書いてください。実際にトマトをさわったり、味わったりするのはとっても楽しいですよ!

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読んでくださってありがとうございました。日本をスープの国にする野望を持っています。サポートがたまったらあたらしい鍋を買ってレポートしますね。