愛読書3選。
こちらの企画に参加させていただきます。
「特に感動した本を3冊」ということで、選んでみました3冊。
うち2冊はXあたりでさんざん言ってきたものです。
①アーシュラ・K・ル=グィン『闇の左手』
私がこの世で最も愛する小説です。
初めて読んだ頃から変わらず愛し続けています。
紙で持っていたのに加え電子書籍化されるのもずっと待っておりまして、Kindle版でも購入しました。
SFですがさまざまな伝承や伝説、語り、予言などが登場するためファンタジー色も強いものかと思います。
フェミニズム的な文脈でも語られることの多い両性具有的世界観の物語。
とはいえそんなことより私は「性癖に刺さりまくった」という点でこの『闇の左手』が大好きなんですよ。
前述したようにストーリー(ゲンリー・アイのレポート)にちりばめられたさまざまな伝承と伝説、不可解な宗教、中性的登場人物たち、性愛と禁忌、悲劇とわずかな希望、どの要素も私の心をくすぐってやまないのです。
というかたぶんこの作品からそういう「好き」が始まったのだと思います。
公式様のあらすじにも「理解を絶する住民の心理、風俗、習慣」と書かれていますが、この「自分(たち)とは違う」ものへの興味であったり、衝撃であったり、そんな体験が私はすごく好きなんですね。
あえて言うなら「違い萌え」でしょうか。
「同じですね」と言われるとイラつくけれど「違いますね」と言われると嬉しくなるみたいな。
「違い」は美しいのです。私にとっては。
そういう「違い」が描かれている点でもめちゃくちゃ好きな小説です。
②別役実『空中ブランコのりのキキ』
別役実先生の童話。
確か12歳の頃に通信教材で初めて読みました。
その教材ではキキが「いいんです。死んでも」と言う場面で終わっていて、「この先どうなるんだ」と気になって仕方がなかったので購入したものです。
主人公のキキはただひとり3回宙返りができるサーカスの大スターですが、ある日別のサーカスの空中ブランコのりが3回宙返りを成功させてしまいます。
3回宙返りは自分だけができる奇跡の技ではなくなった。ではキキはどうするのか。
自分が打ち込んでいる何かに対して、命を懸けられるか。
私はキキをそういう物語だと思っています。
たとえ周囲から止められるような、場合によってはばかげたことでも、それに全身全霊で挑むなら命が尽きても別に構わない。
そんなふうに思うので、私はキキの選択が好きです。
いいんだ私は命を懸けているんだ。それでいいんだ、と。
ちなみに同時収録の「黒い郵便船」も大好きです。
③岩田準一『本朝男色考・男色文献書志』
私の宝物です。
入手困難な絶版本でもあります。
いま見たら7000~10000円あたりで取引されているみたいですね(発売時の定価は5000円くらいのよう)。
私は現在の取引金額の、中央値くらいの金額で手に入れました。
読んで字のごとく男色(男性同性愛)に関する研究本です。
岩田準一先生は江戸川乱歩先生のご友人でもあり、『孤島の鬼』に登場する人物のモデルにもなったと言われている方ですね。
内容については多くは語らないこととしますが、日本において男色とは確かに文化であったのだなあと思います。しかもこれでまだ室町時代までしか書かれていないんですよ。江戸時代の陰間などの記述も可能ならば読みたかったなあと寂しく思ったりもします。
ちなみにこちら装丁も非常に美しい本です。手にした瞬間たいへん感動しました。
以上です。
企画者の山根あきら様、ありがとうございました。
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