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黒岩知事について

前にも書いたが、僕は、いわゆる婚外恋愛に対しては寛容である。

もちろん良いことか悪いことかと言われたら、悪いことであるのは間違いないが、自然の摂理として、一夫一婦制はかなりの無理というか、やせ我慢を強いる制度である。配偶者に対する貞操義務違反行為ではあるものの、傷害や窃盗のような刑事罰が科せられるような犯罪というわけでもない。したがって、「不倫」などという、「人の道を踏み外した行為・行動」的な大袈裟な言葉を用いて、赤の他人をバッシングしようとは思わない。

まあ、やりたければどうぞ。でも、バレないように上手にやってねというのが、婚外恋愛に対する僕の見解である。

神奈川県の黒岩知事のニュースを読んだ際も、基本的には、「ああ、またか」というくらいの感じで、たいして興味を持たなかった。

我々、普通の人間であれば、配偶者に対する不法行為ではあったとしても、他の誰かに迷惑をかけたわけでもないし、あくまでプライベートな問題である。黒岩知事の場合、県知事という公職に就いているし、世間的な知名度の高い人なので、レピュテーショナル・リスクは避けられず、ご当人にも周囲の人たちにも厄介な問題であることは間違いない。前にスノーピークの社長が不倫で辞任したが、状況的にはそれとよく似ている。

違いがあるとすれば、出てくる情報からうかがえる黒岩知事の品性下劣さである。同じ男性の目から見ても、彼は格好悪いと思う。

下ネタメールについては論外なので、敢えてコメントはしない。こういうところで本当の意味での知性や教養のレベルというものがわかる。良い大学を出ていても、たぶん彼はアホなんだろうと思う。僕が神奈川県民だったら、こういう知事を選んでしまったことを恥じるに違いない。

彼の良くないところは、相手女性を性欲の捌け口としか考えていないような姿勢である。そもそも相手女性に対してとても失礼である。対等な人間に接する態度とは言えない。馬鹿にしている。

で、僕が気になったことを列挙すると以下のとおりとなる。

①自分の方から、「今度はホテルで会いましょう」と言っておきながら、「僕は絶対ラブホテルはダメ」「ちゃんとしたシティホテルを予約してね」と、相手の女性にシティホテルを予約させる。

②一度関係ができてしまうと、以降はホテルで会うのがお決まりとなり、黒岩氏の都合によって、逢瀬が週2回の時もあれば、月1回の時もあり。

③どんなホテルに泊まっても黒岩氏は2万円しか出さず、足が出た分は相手の女性に払わせる。

④彼女がひとり暮らしを始めると、彼女の自宅で会うようになり、彼女の家を「クラブ」と呼んで、「今日は食事いる。ビールもよろしく」といった連絡を寄越すようになる。

⑤神奈川県知事選に出馬することが決まると、「遊びだった」と言って、11年間の関係を一方的に解消しようとする。

⑥知事になると、電話をしても怒鳴り散らす。それでも久しぶりに会うと、ちゃっかり関係は持ち、コトが終わるとさっさと帰る。

⑦後日、再び別れを告げる黒岩知事に、「奥さんに伝える」と言うと、慌てて「会って話そう」「関係を続けよう」と態度を豹変させる。

11年間も男女関係にあったにもかかわらず、別れを告げられるまで、黒岩知事の身勝手な本性とか、自分が「便利なオンナ」として弄ばれていたことに気がつかない相手女性もどうかしていると思うので、彼女に同情するつもりはない。大人同士が納得ずくで長期にわたり関係を続けた以上、どちらか片方が一方的に被害者であるとも言えない。

また、捨てられて12年も経ってから、「文春砲」で関係を暴露するというやり方も野暮な感じしかしない。オトコを見る目がなかった自分自身の責任でもあるんだし、若気の至りと反省して、あとは墓の中まで持っていくべき話であろう。

だが、それを差し引いても、黒岩知事の相手女性とのつきあい方はよろしくない。まさに女性の敵である。世間の女性、特に神奈川県民の女性は大いに怒るべきだと思う。

昔は、浮気や女遊びは甲斐性であると言われていた。昔の有名な財界人、政治家、芸能人などは、本妻以外に愛人の1人や2人いるの別に珍しくはなかったし、世間もそれに関していちいち騒いだりしなかった。今はコンプライアンス重視の世相を反映してか、こっそりと水面下に潜ってやっているだけであり、したがって、黒岩知事が特殊な人物であるとは思わないし、表沙汰になるか否か、有名か無名かを別にすれば、同じようなことをやっている人は昔と同様に世間にはいくらでもいるはずだ。

それでも、同じように女性と浮名を流しても、相手の女性に恨まれる人もいるし、恨まれない人もいる。これに関しては、どのようなところで差が生じるのであろうか。黒岩知事の件を教材として、以下、検討してみたい。

1つは、おカネをケチるのは良くないということである。双方がフィフティ・フィフティの関係であれば別だが、本件のように、男性側の都合で一方的に女性を振り回すのであれば、費用負担くらいはちゃんとすべきである。ホテルを予約させて、2万円しか払わず、残りは女性に負担させるとか、普通の人間関係においてもあり得ないことである。

「釣った魚に餌をやらない」という言葉があるが、些細な金銭を出し惜しみするような男性の行動を、女性はよく観察しているものである。女性の自宅に入り浸って、飲食の世話もさせていたようであるが、黒岩知事はそうした費用をちゃんと負担していたのであろうか。

2つめは、本音はともかくとして、一応は恋愛関係にある女性をセフレ並みか、あるいはセックスワーカー並みに扱うのは失礼であるし、これで恨まれないと思う方がおかしいということである。ホテルで会って、ホテルで別れるなんて、昔の歌謡曲の歌詞でそんなのがあったかと思うが、相手女性の尊厳とか人格をまるで無視している。

はっきり言って、客観的に見れば、黒岩知事にとってこの女性は恋愛対象ですらなく、単なるセフレ、性欲の捌け口だったのだろうが、それでも相手女性に対する一定のリスペクトは必要であろう。

3つめは、「遊びだった」という別れ際の言いぐさは、「それを言っちゃあ、おしまいだよ」ということである。それまでの11年間、相手の女性に対して何と言っていたのだろうか。遊びだったと言われて、女性が逆上するくらいだから、たぶん恋愛関係という体裁をずっと装っていたのであろう。だったら、最後までそういうスタンスを維持しないことには、ずっと騙していましたということになる。これは相手に対して思いやりを欠く発言である。

男女関係というものは別れ際こそ難しいし、お互いの本性が露わになる。相手女性は、黒岩知事との関係にどういう展望を持っていたのであろうか。黒岩知事に妻子がいることは知っているだろうから、妻女と別れて自分と結婚してくれると思っていたのか、秘密の関係をただ末永く継続することだけを望んでいたのか、ネット情報だけではよくわからない。1954年生まれで現在68歳の黒岩知事よりもひと回り近く年下であり、2000年頃に知り合って、2011年頃に別れたということなので、彼女は30代半ばから40代半ばまで黒岩知事と不倫関係にあったということになる。

不倫関係とはいえ、11年間もつきあった以上、別れるならば別れるで、相手女性が納得するように誠意を尽くした丁寧な対応が当然に必要であったと思うし、円満に関係を解消するためには、何らかの金銭的な負担も必要だったのかもしれない。そういうのを端折って、「遊びだった」で片付けようとした拙速さが、12年も経って忘れた頃に思わぬ災難となって我が身に跳ね返って来ることになったわけである。やはり別れ際は難しい。

たぶん、黒岩知事は、兵庫県神戸市出身の関西人である。関西では、「ケチとシブチンは違う」と言われる。「ケチ」は、無駄な支出はしないが、必要な支出は惜しまない人、金銭感覚が堅実な人のことを意味する。これに対して、「シブチン」は、当然に払うべきものも払わない、単におカネに汚い人のことを意味する。ホテル代さえケチる黒岩知事のような人物は、単なるシブチンということになる。

そう言えば、昔の総理大臣で、愛人だった神楽坂の元芸妓からの告発がきっかけで辞職することになった人物がいた。彼のケースにおいても、お手当の金額のセコさと、別れ際のフォローの悪さが災いとなったと記憶している。女遊びをするのは構わないとしても、支出を惜しむのはあまり良くないようである。

「一文惜しみの百知らず」という諺がある。目先の僅かな金銭を惜しんだ結果、後々、大損をすることになることに気がつかずにいる人を意味する。

冒頭の話に戻るが、僕は、いわゆる婚外恋愛に対しては寛容である。ダメだと言われても、「不倫」だと言われようと、そうした行為に走ってしまう男女を責める気にはならない。

ただ、お願いしたいことは、バレないように上手にやってねということと、別れ際はキレイにということである。そしてキレイに別れるためには、目先の労力を骨惜しみしたり、多少の支出をケチったりしてはいけないということである。



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