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Eテレについて

NHKの「Eテレ」について書きたいと思う。「Eテレ」、正式には「NHK教育テレビジョン」と言うらしいが、我が家ではわりと視聴する機会が多いのではないだろうかと思っている。

孫などがいれば、「おかあさんといっしょ」とか「いないいないばあっ!」といった番組を早朝から見ることになるし、他にも「クラシックTV」等のクラシック音楽関連の番組や、「100分de名著」のような趣味や教養に関する番組、それに「青のオーケストラ」みたいなアニメまでやっている。視聴率は取れそうもないものの、総じてクオリティの高い番組が多いような印象である。

それだけではない。かなり特定の対象者とかテーマに絞ったような番組、たとえば「バリバラ〜障害者情報バラエティー〜」(身体障碍者)、「虹クロ」(LGBTQ)、「でこぼこポン!」(発達障害)のような番組もある。もちろん、昔からやっている語学番組とか、高校講座といった番組も相変わらず存続している。民放で「Eテレ」と同じようなコンセプトの番組を放映するのは、おそらく無理だろう。

ざっくりと言うならば、「Eテレ」は同じNHKの総合放送以上に公共放送らしい矜持を保っていると思うし、その要因としては、受信料で維持されているから、民放のように視聴率をあまり気にする必要がないからであると言える。視聴率を気にしないとなれば、ややもすれば独善的な番組になりそうな感じであるが、辛うじてそうはなっていないのは、制作者サイドの良識のお陰かもしれないし、あるいは、対象者のボリュームは決して大きくなくても、どんな相手にどんな情報を提供するべきかが明確であるために、「エッジが効いた」番組づくりが可能だからかもしれない。

というわけで、「朝ドラ」「大河ドラマ」やBS放送も含めて、僕はどちらかと言えばNHKの熱心な視聴者の部類に入ると思うし、これからもNHKには頑張ってもらいたいと思っているので、受信料を払わないケシカラン人たちが世の中には少なからず存在することについては常々憂慮している。

良質な番組づくりを今後とも維持しようと思えば、安定的に受信料を確保するしかない。究極的には「国営放送」化して、受信料は税金で賄うというのが最も効率的なのであろうが、それだと反発する人が多いのだろう。

であれば、スクランブル(映像や音声の信号を暗号化)を導入して、受信料を払わない人には視聴できないようにするというやり方も検討するべきであろう。

NHKのHPの「よくある質問」では、スクランブルを導入しない理由として、①公共放送として、いつでも、どこでも、誰にでも分けへだてなく(情報や番組を)提供する役割を担っていること。
②緊急災害時には正確な情報を迅速に提供する必要があること。
③スクランブルをかけ、受信料を支払わない方に放送番組を視聴できないようにするという方法は、公共放送としては問題があること。
④スクランブルを導入した場合、どうしても「よく見られる」番組に偏り、内容が画一化していく懸念があること。
といった説明をしているが、これは要するに「やりたくない」ことの言い訳でしかない。スクランブルを導入すると、NHKを視聴しなくても構わないという人たちから永久に受信料を徴求できなくなり、NHKの実収は現在よりも減少する可能性が高いからであろう。

であれば、公共放送として、社会生活に最低限必要な情報を提供する番組(ニュースや災害情報等)は受信料の支払い如何に関係なく、誰でも視聴できるようにするとして、それ以外の番組についてはスクランブルをかけるというようなやり方だって、技術的にはやろうと思えばやれるはずである。それをやらないのは、先ほど書いたように、「やりたくない」からである。

国民全員に対して、「いつでも、どこでも、誰にでも分けへだてなく提供」したいとするNHKの心意気は評価するとしても、テレビドラマなどもオンタイムではなく、「見逃し配信」や録画でしか視聴せず、見たい番組しか見ないような人たちが世の中の多数派だとすれば、そもそもNHK放送を見たくない人たち、見る気のない人たちに無理やり視聴させることはできない。そう考えれば、おカネを払ってでも視聴したいと考えている人たちのみに費用負担をしてもらうやり方(受益者負担の原則)が妥当なのであろう。

「朝ドラ」も「大河ドラマ」も見れない、「紅白歌合戦」も見れない、「NHK特集」も見れない、冒頭に書いた「Eテレ」のほぼ全ての番組も見れないとなれば、渋々であっても受信料を払うしかないことに思い至る視聴者が意外と多いかもしれない。幼児がいる世帯ならば、「おかあさんといっしょ」や「いないいないばあっ!」が見れないのは非常に困るに違いない。

それでも、生涯未婚・子なしの単身者、独居老人、家でのんびりテレビを見る余裕もないほど生活に追われている人などは、NHKの受信料を払わないのだろうし、払う必要性も感じないと思うが、それはそれで仕方がないことである。むしろ、そういう「ご縁のない人」たちからは受信料を取るべきではない。

ただ、こうした世帯が今後だんだんと増えてくるとすれば、NHKとしては将来のどこかで何らかの転換を決断しなければならなくなるかもしれない。具体的には、「国営放送」化して税金で賄うようにするのか、番組のクオリティに見合うような水準にまで受信料を引き上げるのか、いずれかを選択するということになるだろう。

受診料を払う立場としては、できれば後者は回避してもらいたいところであるが、オンデマンドとかアーカイブとかのサブスク料金も組み合わせることで「お得感」を提示できるのであれば、もっと高くても構わないというヘビーユーザーは一定数は存在しそうな感じはする。

要するに懐具合に余裕があって、過去のコンテンツも含めてもっといろいろな作品を見たいと思うような層からは、それ相応の費用負担をしてもらうようにすれば良いのだ。

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