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「医療のDX化」について

マイナンバーカードの普及率は、22年9月末時点で全国で49%とのことである。高齢者や幼児を除けば、かなり行き渡ったと言えるのだろう。

僕はかなり初期の時点でマイナンバーカードを取得して所持している。とりあえず現時点で便利さを痛感するのは、確定申告の時、住民票や印鑑証明書、それと戸籍謄本の取得時くらいか。僕の本籍地はかなり遠隔地なので、従来ならば役所と郵便でやり取りする必要があった。郵便局に行って、返信用封筒に切手を貼ったり、定額小為替を購入したりと、いちいち面倒であった。今ではそれがコンビニで完結する。

今般、現在の健康保険証が24年の秋にも廃止となり、マイナンバーカードに一体化されるという。

健康保険証を1枚、持ち歩くか否かの負担感については、はっきり言えば、どうでも良い。それよりも重要なことは、IDと保険証が紐付けられることで、医療のDX化が一気に進むことである。

現行の保険証だと、転職するたびに保険証も更新される。IDと紐付けられることで、医療データが蓄積される。投薬データも同様である。

「PHR(personal health record)」という言葉がある。本来、医療健康情報というのは個々人の重要な個人情報である。誰のモノかとなれば、間違いなく我われ個人の資産である。にも拘らず、従来は医療機関のカルテの中にバラバラに保管されており、名寄せもされておらず、自分自身で活用することも難しかった。そうした状況から脱却できるのはまずは大きい。

マイナンバー制度に関しては、情報漏洩懸念を煽るような動きが依然として根強いが、カード内に記録されている情報は、氏名や住所、生年月日等の本人確認に必要なデータのみであり、それ以外の個人情報についてはカード内のチップに保存されているわけではない。そんなことを言っていたら、銀行のキャッシュカードもクレジットカードも持てないではないか。

そもそも、現行の健康保険証は、本人確認資料としては機能的にかなり問題があることは明らかである。まず顔写真がない。さらに通称(戸籍上の名前とは異なる名前、主として在日外国人の人が使う)も使用可能である。おそらく従来は不正利用も少なくなかったであろう。したがって、マイナンバーカードと保険証の一体化に反対する人たちの多くは、既存の健康保険証制度が見直されると困る人たちなのかもしれないという気がする。

海外であれば、戸籍はないが、全員にIDが割り振られていて、何をするのもIDが必要である。いずれマイナンバーカードも取得が義務化されるに違いない。そもそもマイナンバーカードの取得如何に関係なく、既に全員にマイナンバーは割振り済みなのである。いずれは運転免許証と一体化するのだろうし、銀行預金口座とも紐付けされるのだろう。「プライバシーがガラス張りなる」とか言って騒ぐ人たちは、よほどチェックされたら困るようなことをしているのだろうか。

いずれにせよ、マイナンバーカードと保険証が一体化することで、日本の医療の質と効率は少なくとも現状よりかは改善することは確実である。

医療機関同士で患者情報の共有ができるので、処方薬や特定健診(メタボ健診)、診療の種類等の医療情報も共有される。将来的には電子カルテや電子処方箋の共有も可能になる。重複投薬や重複検査も排除できるので、保健医療支出の削減も可能となる。日本は他の先進諸国と比べても医薬品支出が多すぎるのだ。老人などは医者にかかるたびに、自分で管理できないほど大量にクスリを貰って来る。医者と調剤薬局の営業協力をやらされているのと等しい。ああいう無駄も一気に「見える化」される。

少なくとも、真面目に生活している日本人にとっては、何も困ることはない。困るとすれば、何かいろいろと調べられると困るようなことをしている人と非日本人なのかもしれない。


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