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「Web3」について

長らく株式市場でも情報技術の発展においても台風の目のような存在であった「GAFA」(Google、Apple、Facebook、Amazon)あるいは、Microsoftも加えた「GAFAM」の勢いに陰りが出ている様子である。人員削減や採用の凍結の話もあるし、株価も思わしくない。

日経の記事にも、<米上場企業大手500社の合計時価総額に占めるGAFAの割合は、2013年末の7%から年々拡大してきた。だが、20年末の18%強をピークに縮小に転じ22年末は13%程度に下がった。>とある。

株式時価総額で日本企業が上位を占めていたのは遥か昔の話。かつてはエクセレントカンパニーの代名詞だったGEも、ジャック・ウェルチがCEOだった時代に5,000億ドルを超えた株式時価総額が、1,000憶ドルを遥か下回っている(23/01/03付で約930億ドル)。18年6月には、ダウ工業株平均を構成する30銘柄からも外れている。

盛者必衰である。未来永劫、ずっと好調な業績を維持し続けることができる企業は存在しないということであろう。

じゃあ、次に台頭する企業はどういうところかということになるが、そういうことを予測するのはとても難しい。Amazonは94年、Googleは98年、Facebookは04年に設立された企業である。30年前に現在を予測できた人がいたとは思えない。Appleはそれよりも前からあったが、何度も潰れかけている。MicrosoftはWindowsとOfficeの会社として90年代半ばから隆盛を誇っていたが、ネットへの対応が遅れたのが原因で、一時はパッとしない会社になっていた時期もあった。

次は「Web3」だと言う人も多いが、僕にはあまりよくわからない。「Web 1.0」、つまり情報が一方通行だった時代、「Web 2.0」、情報の流れが双方向になった時代(現在も同じ)から、「Web3」になると、一部のIT企業が独占している情報やコンテンツの分散化、非中央集権化、民主化が進むと言われるが、それが我々一般人の生活にどのような影響を及ぼすのやら、あんまり実感が湧かないからである。

今後のキーワードとしては、「米国のグローバル企業支配から、各国・地域のローカルプレーヤーが挽回するチャンス」「ソフトウェア優位から、ハードウェアの重要性の見直し」ということであり、そういう文脈で考えると、日本企業にもチャンスはありそうである。

たしかに日本には個別レベルでは見るべき技術のネタはあるのかもしれないが、それを大きく育てて、世界的な潮流にまでする環境が整っているのかとなると、ちょっと心細い。さまざまな規制、旧来の取引慣行、言葉の壁等が障害になる。むしろ、このまま何もしないでいると、日本から海外に頭脳も資金も流出してしまいそうである。

そうなってしまった場合に予測される将来の日本の姿は、「世界の町工場として、海外企業の下請け仕事で搾取される」のか、「老人と子どもだけしかいない、地方のシャッター商店街か過疎の山村みたいになる」のか、いずれか、あるいは両方であろう。

すぐれた技術があっても、それらに基づいて意味やらストーリーや、ビジネスモデルをまとめ上げる構想力であったり、いろいろな企業と合従連衡していくためのルールメイクする能力であったりが、日本企業も日本という国も苦手としているのかもしれない。だとすると、結局、世の中のトレンドが変わっても、いちばん美味しいところは他国の企業に持っていかれそうな気がしてならない。





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