散歩01

6.超特盛りご飯

 れんがかなり元気になったころ、動物病院の先生が

「れんちゃんのご飯を増やして、ちゃんと体重が増えるかどうか確認しましょう。」

と言うので、ちぃの2倍の量のフードを食べさせることにしました。

 耳を患う前は、ちぃの1.5倍の量のフードを、わき目もふらずにほんの数秒で飲み込み、どんぶりをきれいになめて、まだ一生懸命食べているちぃの傍へ行き、ちぃが食べ終わるのを待って、どんぶりの底にこびり付いたフードを丁寧になめるのが、れんの日課でした。

 でも、今のれんは、目の前に置かれた超特盛りご飯と、私の顔を見比べ、「これ、ホントに全部食べなくちゃいけないの?」という表情で、ゆっくりと食べ始めました。

 数日後、れんの体重が元通りに増えたのを確認し、超特盛りご飯を、普段の特盛りご飯に戻しましたが、今でもちらっと私の顔を見たりしながら食べるのです。

 れんは今朝も、何か考えながらゆっくりと落ち着いてご飯を食べ、となりのちぃ(ちぃはわき目もふらず、一生懸命食べますが、食べるのが遅いのです)とほぼ同時に食べ終わりました。

 お腹の調子が悪いようではないので、闘病中の超特盛りご飯に辟易したのか、4歳の誕生日を迎えて大人の落ち着きを身につけたのか…。

ものすごい速さでご飯を飲み込んでいた以前のれんの姿を思い出すと、すこしさみしい気持ちになります。

次の診察日、れんの耳をチェックしたあとで先生は、

「これからは、耳の検査と洗浄を定期的に続けていきましょう。」

と、やさしく言いました。これが、6年以上にわたる、れんの長い長い通院治療のはじまりでした。

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