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8.長い長い2日間

 先生は、いつもゆったりと、飼い主が納得できるように丁寧に話をし、考える時間をくれます。

 ここの病院は建物は小さいのですがスタッフが多く、治療費も決して安くはないのですが、この先生がいると思うと、他へ連れて行く気にはなれません。

「入院費がかさむので、この状態で家に連れて帰る飼い主さんも多いですよ。ただ、もしもヘルニアが再発したら、ここで再度お預かりするのではなく、大学病院で検査をしたほうが良いです。」

と先生は言うのです。

 家で、病院と同じようにちぃを安静にしておく自信のない私は、先生の意見を尋ねました。

「できれば、1週間くらいは入院していたほうが良いです。ここならば、ちぃちゃんが間違って走り回ったり、立ち上がったりはしませんから、安静に治療できます。ときどきスタッフが様子を見に行くと、『なあに?』というふうにこちらを見ますが、そのあとはおとなしく伏せて休んでいますよ。」

と言ってくれたので、お願いすることにしました。

 1週間目までは、残り2日でした。

 私はちぃを先生にお願いして家に戻り、家族に相談して、ちぃが帰ってきたら心を鬼にして、1か月間、安静のため、ちぃをケージから出さないことに決めました。

 私一人の決心では、きっと途中でかわいそうになって、ケージから出し、ヘルニアを悪化させてしまうに違いありません。

 ちぃが退院するまでの長い長い2日間は、さびしいものでした。

 れんがいるので、さびしさがまぎれるかというと、そういうわけにはいきません。

 れん自身も、すごくさびしそうに、おとなしく過ごしているのですから。

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