3.外科療法
何年経っても一進一退を繰り返し、完治しないれんの耳を診たあと先生は、
「外科療法をしてみませんか?全身麻酔をかけて鼓膜を切開し、中のほうまできれいにする方法です。」
と言いました。
人間の話ですが、娘が小さいころ、慢性の中耳炎を繰り返し、内科療法から外科療法に切り替えたらすっきりと治ったことがありました。
人の場合、全身麻酔も使いませんし、一瞬で鼓膜に穴をあけて中の膿を出してもらいました。娘は乳児だったのでまったく覚えていないと思いますが、ぎゃっと泣いて、すぐにおとなしくなりました。
れんは、フレンチブルドッグにしては細身でイビキもかかず、呼吸器系にも特に問題はなかったのですが、全身麻酔についてのリスクの説明を聞くと、どうしても外科療法には踏み切れませんでした。
切開したとしても、必ず治るかどうかはわかりません、とのことだったので、内科療法を続けることをお願いしました。
血液検査をしながら、少量のステロイドを飲ませ続け、炎症が起きるたびに耳だれの菌を検査して、それに合う抗生物質を処方してもらいました。
ところがれんの耳の菌は、処方された抗生物質にしだいに耐性をつけてしまい、何種類もの抗生物質が効かなくなり、選択肢が少なくなってゆきました。
オゾン化オイルを洗浄後の耳に入れたり、一か月間効果のあるという点耳薬も試みましたが、大きな効果は出ませんでした。
そして発病から4年が過ぎたころ、先生は
「念のため、大学病院で腫瘍の検査をしてみましょう。軽い麻酔も必要ですが、切開するための麻酔ではなく、ちょっと動かないようにして、写真を撮るだけですから、それほどリスクはないですよ。」
と、精密検査を勧めてくれました。
大学病院は平日しか検査してくれませんし、予約診療でもとても時間がかかります。
仕事を休みにくい環境ではありましたが、何年もれんの耳につきあってくださった先生が一生懸命勧めてくれるので、大学病院への紹介状をもらい、検査の予約もお願いしました。
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