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アレクサンダー・テクニック教師養成コース

国や学校によって、教師養成コース修了のための必須条件やクラスの内容は
多少違うかもしれないが、ここでは私の経験を。

年に3学期、合計1680時間以上の3年間カリキュラムで
クラスは、月曜から木曜、9時から1時までぶっとうしで行われた。
アレクサンダー・テクニックの創始者であるF・M・アレクサンダーが書いた
4冊の本と関連書物を読む時間が週に一度、解剖学の時間が月に一度
それぞれ2時間ほどあり、それ以外はひたすら実践。

私の同期は、アメリカ人、フランス人、そして私の3人だった。
インターナショナルの生徒が2人いるということで、
私のトレーニー時代は特別に金曜日の午前中、
補習として本読みのクラスが設けられた。

卒業校のアレクサンダー・テクニック・トレーニング・センターは、
ディレクターのルースが直接指導できる人数しか訓練生を受け入れないことを
モットーにしていて、少人数制の小さな学校だった。
確か私が入学した時、生徒は7人。
あと、卒業生やシニアの先生がアシスタントとして日替わりで
1人か2人来ていた。

実践クラスでは、ルースがまず生徒一人一人にレッスンをし、
その間、他の生徒はアシスタントの先生から手解きを受けたり、
お互いに実際のレッスンを想定して練習しあう。
ルースがひと通り全員にレッスンをした後、
今度は、下の写真のように練習しているペアの横にルースが立ち、
レッスン技術の指導にあたる。

写真右がルース・キルロイ。
写真左が先生役で、椅子に座っている人が生徒役。
ルースのタッチと説明を通してレッスン技術を磨いていく。

ちなみに、アレクサンダー・テクニックのレッスンは
基本的にマンツーマンで行われ、
立ったり座ったりといったシンプルな動作を繰り返しながら、
インストラクターが生徒の身体のいろんな箇所に手を置き
変化をみつつ身体の使い方をガイドするハンズオンという手法が使われる。

アレクサンダー・テクニックは、とにかく頭を使う。
脳みそをフル回転して、自分の身体中に意識をめぐらせ
同時に自動で反応してしまう自分の脳の癖と闘いながら、
身体を使う。
また、指導する時は生徒の横に立ってほぼずっとハーフスクワット状態。
自分の身体の使い方がタッチを通して生徒にも伝わるので、
先生役をする時は自分の身体の使い方をがっつり考えながら、
同時に生徒の身体の使い方をタッチを通して読み取り指導の仕方を考える。
その練習を毎日4時間。
最初の何学期かは、頭も身体もクタクタで
お昼寝なしではやっていけないほどだった。

通常のクラスに加え、毎学期、
インテンシヴ・ウィークという特別マスタークラスが行われる週があり、
アレクサンダー・テクニック界の重鎮で、ルースの姉弟子にあたる
リカ・コーエンがルースと共に指導にあたった。
この週だけは、月曜日から金曜日までクラスが行われ、
さらにクラス後にはリカからの個人レッスンを受けたりと
アレクサンダー・テクニックにどっぷり浸かる1週間だった。

インテンシヴ・ウィークについては、別の投稿で詳しく書きたいと思う。

コース3年目に入ると、授業と並行して
実際に生徒を見つけてルース監修のもと実践レッスンを開始。
生徒さんを連れてルースのスタジオに行き、
ルースの前でレッスンを見せて、アドバイスや手解きを受ける。

卒業すると米国アレクサンダー・テクニック協会(AmSAT)から
修了証明書が届き、晴れて公認トレーナーに。
とはいえ、独り立ちして教えることへの不安と言ったら、もう。。。
卒業後一年間は、ポスト・グラデュエートといって
引き続き学びを深めるために週に一度クラスに参加することができた。
この週一回クラスに戻れることが、
不安や疑問だらけの新米インストラクターにとってどれほど助けになったか。


教師養成コースの3年間、
とにかく同じことを繰り返しやりつづけ
同じことを言われ続け、考え続ける日々だった。

実は、
なんでこんな同じことばかりし続けて、同じこと言われ続けなあかんのだろう
こんなこと考えんでも別に生きていけるし
と、途中でへこたれそうになったことも何度かあった。
でも、頭のどこかで
確かにこんなこと考えんでも生きていけるけど、
生きていく上でとても大事で必要なことには違いない
と、引き止める自分が常にいた。

3年の間で、同じことでも捉え方が年々変わっていった。

卒業して15年たった今でも、
同じことを繰り返しやり続け、考え続けているのだが、
頭の中が徐々にクリアになり
いろんなことがひとつにつながってきている。
アレクサンダーの本を読んでも、
トレーニー時代とはうってかわって理解が深まっているのが分かる。
本当に面白いものに出会ってしまったなあ。

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