当たり前から不思議な話へ

繋がりの身体感覚化

7月から研究をし始めている「当たり前の話」ですが、言葉が間に合わず、ついつい、動きばかりが先へと行ってしまいます。
実は今、私の中にはさらに多くの当たり前が出てきています。

当たり前とは繋がりの事。これまでに紹介した肩や骨盤の当たり前は「繋がりの身体感覚化」と言えるものかもしれません。

繋がりというのはどこにでもあるもの。
「縁」や「物語」というのも繋がりとして話が出来るものです。
私たちの生活の中には当たり前のように縁があり、物語があります。
こじつけ、みたいなものもある意味、繋がりです。
エビデンスがなくても、そうだなぁ、と思うと人の心は動きます。人の頭の中をうまく繋げられる人が今、たくさんいます。

バーチャルが生活の中にたくさんあり、夢を語る人が輝く時代です。
当たり前すぎる事ですから、わざわざ「繋がりとは」と教えてくれる人はいません。
ついつい、適当にしてしまいがちですが、「繋がっている」という自覚がどれほど大切か、それを身体で感じておく事は非常に大切な事だ、と思うようになりました。

繋がる事で結果的に、考えもしない大きな力を得る事が出来る。
大きな力を求める気持ちは誰もが持つものだと思いますが、いきなり大きな力を持つと、その扱いに困ります。
結果的に大きな力になる、この余裕がイザという時にも心を乱さず、落ち着いて向き合う事になるようです。

3つ目の当たり前

さて、たくさんの繋がりを見るようになりましたが、身体感覚としてはもう一つ、二つ程度でいいのかな、と思います。
それ以上になると、ちょっと心の世界に入りすぎてしまいます。

とりあえず、3つ目の当たり前を紹介しておきます。
それは背骨です。いよいよ背骨にやってきました(笑)。
ただ、この背骨の理解は他の多くの専門家とは違うようです。まぁ、しかし、それを思いついてしまい、動きも激変して結果まで出てしまったのです。
もう、この働きを考えずに過ごすのは無理になりました。

背骨はご存じの通り?腰椎、胸椎、頸椎で構成されます。
これまでの話で「3つ」のものを繋げるとしてきましたから、腰椎、胸椎、頸椎を繋げるのかな、と思われるかもしれませんが、違います。
繋げる3つは、胸椎、頸椎、頭蓋骨の3つです。

なぜか?と聞かれても、そこにエビデンスはありません。
そしてそれを伝承してきたわけでもありません。ただ、身体を探り、肩や骨盤で得た感覚を応用してみた時、胸椎から頸椎、そして頭蓋骨へと力を渡してみた時、これまで感じた事のない大きな力を見つける事が出来ました。

詳しくはまた別の機会で、と思いますが、背骨をどう使うかどうかが、日本人と外国人を分けるものかも、と考えています。
腕や脚に主役を置いた時、大切になるのは地面、地球です。環境、自然に合わせて生きていく感じが強いです。
しかし、背骨に意識を置いて、胸椎、頸椎、頭蓋骨に流れを作ると、最終的に脳に力が集まっていくのか、「考える」という力が主役に変わってきます。

どんな世界であっても、主役は私。そんな感じです。
そして、この時、動きもまた変わります。
肘と膝に力が溜まってきた時、働くのは手と足です。
その手足は外にあるものや環境に合わせて動きます。動き、その結果を受け止める。自分の気持ちはあっても、それは結果として出てくるものに従っていくようになります。

しかし、脳に力が溜まり働きだすと、まず、「思う」という行動が出てくるようになります。
頭が考える事で、手足は自然と、頭に従い、動いてしまっている、無意識の世界が拡がっていくように感じます。

願えば叶う、という言葉がありますが、それは脳を主役にした時に起こる世界観ではないか、と思えてきます。
これは「良い悪い」という話ではありません。
むしろ、真理を一つとして決めるのではなく、身体感覚としてどこに主役を置くかで、生きていく時に必要な教えが変わるのだ、とわかりました。

手足を使い、動く事で楽しみを得ていく生き方があります。
また、考える事によって、世界が自然と動き出し、望む世界へと行く事を幸せと考える生き方もあるでしょう。
世の中の多くは願う事が叶って欲しい、と思っているようですが、願いを全て叶えていける人は多くありません。
ちょっと幸せを見失ってしまった時、「動く」という根本的な世界へ戻ればいい、と知っておくだけで気持ちは楽になります。頭の隅にちょっとだけおいてくれたら嬉しいです。

「繋がり」から「溜まる」話へ

前回のnoteに少し書きましたが、肘と膝には力が「溜まり」ます。
当初、繋がる事で外へと出ていく力を見つけた時、その流れの強さが楽しく、生まれた力そのままを腕から手へと流していました。
それがどうやら、肘と膝には溜める事が出来るとわかり、使いどころの幅が増えました。
難しく聞こえるかもしれませんが、これはお小遣いを溜める事を覚えた子供とおんなじレベルです(笑)。
溜めておけば、先の未来が広がります。

きっと、こんな経験が脳を刺激し、背骨の繋がりも見せてくれたのだと思います。
溜める事によって見えてくるのは「大きさ」の世界です。
これまで私は大きな力を持つ事に遠慮がありました。
それは大きな力で物事を解決しても、それはお前は良いよな、と他者との違いを作ってしまうからです。

しかし、シンプルな身体そのものから「大きさ」を生み出す事が出来る、とわかったのです。
肩を通って肘に溜まる力。
骨盤を通って膝に溜まる力。
この力は才能を選びません。誰もが持つ力です。
困難を前にした時、心は怯え、小さくなりますが、この時、肘や膝に力を溜めて置ければ、その力が心を守り、「普通」を維持する事が出来るようになります。

まさに、心身一如。ちゃんと身体が働いて大きくなっていれば、心も困難に負けず、普通でいられるのです。

陰徳を積む

肘や膝に力が溜まりだしてふと、思う事がありました。
「これは徳ではないか?」
という事です。
徳とは何か、それについてもう、人生をかけて研究している人がいたらすみません。しかし、徳はまぁ、目には見えないもの。それぞれがそれぞれの意見を持っていてもいいじゃないか、そう笑って許してください。

肘や膝に溜まっているものですが、それはどんどんと大きくなっていきました。
そして、その見えない力は自然と、目の前の相手にも「伝わる」のです。

「感応」という言葉があります。人間同士、お互いの間で様々な情報をやり取りしている、と言われます。
まぁ、言葉はわかります。そして、多少のやりとりも出来るようになってはいます。
ただ、その多くは肉体的なレベルです。

骨や筋肉、皮膚の中に生まれる身体感覚が相手へと伝わり、馬鹿力ではない力が働きを生み、相手を崩します。
しかし、肘や膝に力が溜まりだすと、それもまた、相手はちゃんと見つけ出し、自然とそれに対応をするようになりました。

これは人の持っている「防衛本能」かもしれません。
見えないからと言って、ただぶつかっていっては命がいくつあっても足りません。
あれ?なんか嫌だな?そんな直感、予感が働いた時、無意識下では、自分と相手との大きさを比較しているかもしれません。

現代はお金の時代です。殴りあう世界もなくなりませんが、それよりも先に、お金が動きます。
持っている者は自然と安心を得て、さらなる大きな仕事へと向かう事が出来ます。
身体が小さくても、お金を得れば、心も大きくなってふるまいも変わります。
お金を得るチャンスも増え、ハンデに見えるものを持ってしまったとしても、それでゲームオーバーとはなりません。夢のある時代となっています。

ただ、それでも、お金を持つ事よって生まれる不幸もあります。お金は人のネガティブな部分も刺激します。
こんなはずじゃなかった・・・、これもよく見たり聞いたり、私たちはたくさん学習をしているはずです。
しかし、お金以外に何を求めていいのかわからない、そんな人も多いのでは、と思います。

そんな気持ちになった時、「徳」を積めば良かったのです!
これは冗談のように思うかもしれません。しかし、私は真面目の真面目、超真面目にこの話をしています(笑)。
お金は魅力的、そして、数字によって形を得て、確かで安心なものです。しかし、その確かさが仇になり、誰かからも狙われるものとなってしまいます。

しかし、徳であればどうでしょう。
徳は形がなく、見えないものです。
俺、徳を積んでいるんだ!という人がいれば、まぁ、怪しさ100%、近寄ってはいけません(笑)。
ただ、それほど、常識的には不確かであり、お前の徳を奪ってやる!と襲われる事はありません。

徳を積む、と決めたなら、それはずっとずっと積み重ね続ける事が出来るものになります。

肘と膝に溜まる力。これはいつも同じです。
つまり、そこに「基準」が生まれます。なんとなくそう、というレベルではなく、確かにここにある、と認められるからこそ、これが術理へと変わります。
力を溜める、とそれだけでもいいのですが、もうちょっと言葉に洒落が欲しいと思いました(笑)。
この時、「徳」という感性は実にぴったり!そう思ったのです。

誰が「徳を積む」という世界観を作ったかは知りません。
しかし、これはとてつもない発明です。
見えないものを確かに見て、溜めていく。それが出来たなら、きっと、ずっと、自分の中に納得が続いていくはず、そう思います。

溜まるものを探る

さて、徳を溜めるんだ、という話には異論もあるでしょう。まぁ、なんでもいいんです。むしろ、自分で名前を付けたってかまいません(笑)。
ただ、どんな名前であっても、その力を分析した方が使い勝手はさらによくなります。

肘や膝に溜まるもの。
胸や腹で生まれた力が鎖骨、骨盤で集められ、肘や膝へと押し出され、溜まります。この動きが見せてくれるものは「水」のエネルギー。
身体は水で出来ている、と言われますから、水そのものでもいいのですが、状態として考えてみれば、「液体」という性質を持つエネルギーと考える事が出来そうです。

単なるエネルギーであったものが「液体」という性質を与えられば、これまでに経験してきた液体の取り扱い方が助けになります。
雨が降りバケツに水をためる。その水は生活の様々な場面で役に立つ事でしょう。
ただ、溜める力がちょっと弱い。
そして昔の人たちは池を守り、時には作って、さらに山を切り開きダムまでも作りました。
水を守り、いつでも使えるように準備をしてきました。

そのダムのようなものを肘と膝に作ればいいのです。
そして、肘や膝にはその才能があります。
これは個人に備わるものではなく、人の肘や膝という部位が持つ力です。ちょっと気にして探れば、必ず自覚できるものです。

なるほど水か!液体か!と興奮をしたわけですが、ここでまた、ちゃんと身体がその興奮を納めてくれるのですから本当に、助かります(笑)。

固体、液体、気体

肘や膝に力が溜まりました。そして、その見えない力を液体として扱い始めたなら、力の活用も楽になり、技がガラリと変わってきました。
これは成功体験、大成功体験です。
しかし、これが胸椎、頸椎、頭蓋骨によって出来る力にはあまりうまく働きません。これは失敗の体験です。

うまくいかない時、それは新しい何かが出てくる時です。
私の稽古は一人稽古。誰に遠慮をする事もなく、自分の考えを拡げていく事が出来ます。
しかし、この当たり前の事が、組織に属し、残された教えを継いでいれば、自由に考える事が難しくなります。
今、組織はどこでも学べます。学校、仕事、政府に、国。あらゆる組織から逃げる!と決めても、結局どこかの組織に属すのです。
だからこそ、身体感覚の観察稽古ぐらいは一人を守りたい、それをお勧めしています。

頭に溜まってくる力。
これが肘や膝と比べると、どうも「ぼんやり」しているように感じました。
ただ、大きくないか、というと違って、肘や膝よりもさらに大きく、それこそ思考と共に無限に広がっているのではないか、と思えるほどです。
ただ、「ぼんやり」が気になります。

そして、肘や膝の前に溜まっているものは無いかな、とこれまた「ぼんやり」と考えたりしました。
そして、肘と膝を間にして、その前と次が「わかった」のです。

肘と膝、肩と骨盤の前にあるものは体幹です。そして体幹を構成する大きなものは何といっても、内臓です。
その内臓の性質と言えば・・・、そう食べたら太る、と思いつきます。

溜めたくない!と願っても、食えばそれを溜めてしまうのが自然な働きです。
ちゃんと体幹にも「溜める」働きがありました。
体幹に「固体」があり、肘膝に「液体」がある。ならば頭にあるのは当然、「気体」なのだ、と思いました。

胸椎、頸椎、頭蓋骨の先に溜まるもの。その力を「気体」として捉えたならば、それはこれまで経験した気体の取り扱いが応用できます。
固体や液体ほどのはっきりとしていなくても、エアコンの効いた部屋を開けっぱなしにしてはいけない、くらいはわかるはず。
案外私たちは、「知っている」のです。

私という存在の中に「固体」があり、「液体」もあって、「気体」もあった。それが分かりました。
もちろん、肉体があり、血液を持っていて、呼吸をしている。それを考えれば、なんて当たり前な事を・・・と思うかもしれません。
私が気づいたのは、単純に体重や筋力だけの固体力と、血液や汗のような液体力、そして呼吸としてだけの気体力では「大きさが足りない」という事です。

とてつもない大きな固体を持って、無限に湧き出る液体もあり、さらに気体化して、どこまでも世界を拡げられる力がある、のが人間なんだ、と再定義が出来ました。

久しぶりのnote、またまたノープランで、思いのまま書いてしまったせいで、わかりにくくなってしまいました。
とりあえず、今日はここまで。また、ノープランで次、書きます(笑)。

「甲野善紀先生名古屋講習会(9月)」

稽古日時:2023/9/23(土祝) PM1:30~PM4:00(最終退出4:30)
稽古場所:名古屋市西生涯学習センター/第2集会室
会場住所:名古屋市西区浄心一丁目1-45
地下鉄:鶴舞線「浄心」下車6番出口 徒歩約1分
参加費:8000円

「甲野善紀先生名古屋講習会(10月)」

稽古日時:2023/10/22(日) PM2:00~PM4:30
稽古場所:ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)/フィットネスルーム
会場住所:名古屋市中区二の丸1-1
名古屋城駅(名古屋市営地下鉄名城線)7番出口より徒歩5分
(令和5年1月4日から地下鉄市役所駅が名古屋城駅へと駅名が変ります。)
参加費:8000円

共に詳細、申し込みは下記のリンクから。
甲野善紀先生稽古会

【定期稽古】

9/15(金)熱田
9/20(水)大垣
9/21(木)瀬戸ヒーリング
9/24(日)浜松
※9月の東山稽古は中止です
10/12(木)名古屋

【特別稽古】


10/23(月)浜松ロングヒーリング

詳細、お申し込みは下記のリンクから
カラダラボウェブサイト

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