微細な感覚を手に入れるには

「しゃがむのをやめる」という腰椎4番を働かせる呪文に気づき、あまりに変化が大きかったのでちょっと寄り道をして、noteを残しました。
また、改めて、腰椎5番から探ってきたものを書き残していきます。

私の流儀は一人稽古であり、勝手稽古です。
こうして気づきを書いて伝えさせてもらっていますが、言葉だけを追うと、あちこちに飛びすぎてわからなくなるかもしれません。
ただ、これらバラバラに見える気づきは、やはり、身体を基準として出てきたものです。
私の中にはその「道理」があります。

腰椎であれば5番から、4番、3番、2番、1番とつながるものです。
それぞれに注目し、主役にしてもいいのですが、土台部分に無意識のブレーキがある事もあるのだ、とわかってきました。

無意識領域がある、というのはわかっていても、それをどう扱えばいいのか、というのはなかなか難しい問題です。
まぁ、分からないから無意識なのでしょう(笑)。

ただ、頭にはわからなくても、身体には「繋がり」があります。
心は外へとちりばめられ、瞬間移動もあるでしょうが、身体はそうはいきません。
わからなかった身体がわかる。これは無意識を意識化している事のように思えます。

さて、「微細」についてです。
微細とは注目です。どこに目を向けるのか、そして、何と比べるのかが大切になります。

私はずっと、身体感覚を手掛かりに稽古をしています。
多くの人は技の手順を追ったり、負荷をかける事で自然と上達する力を求めます。
チャンピオンになりたい、金持ちになりたい、というように外に目標を掲げる人も多いです。
ただ、たいていの場合、外にあるものは大きく、そして、大きな成果として、大きなものを求めがちです。
そんな中、運よく、私は世間の流行とは逆の方向である、身体感覚の世界を歩く事ができました。

どう立ち、座り、歩いて、持っているのか。
どう嗅いで、聞いて、見て、触れて、味わっているのか。
それを求めている、と言えます。
持っていた技を捨てるようになったのも、ただそこにいるだけでもコントロールできるものが分かったからです。
ちょっと肩を下げたり、膝を抜いたり、首を動かすだけで、目に見える世界は一変するのです。
大きく、派手な技を行う前段階があったのだ、とわかれば自然と技から離れます。

まず私を大きく変えたのは「唇」です。
それまで体幹部にある骨や筋肉、皮膚を手掛かりにして稽古をしていました。
肩は回し、肘は揺らして、手首は固める。
技や人目を離れて、身体に注目さえできれば、骨や筋肉、皮膚は見つかります。
そして気がつけば、楽しいまま、何十年と過ぎました(笑)。

しかし、人間の力はこんなものではありませんでした。
人間には「五感」があります。
もちろん、考えてはいました。しかし、五感はあまりに肉体的に手掛かりが少なく、すぐに気持ちの変化を与えてしまう事で、心の世界が気になります。
そんな中、たまたま「唇」の働きに気づき、それを緩ませ、動かしてみれば、目の前の相手との間合いが変わる事がわかりました。

何かを始める前には必ず、出会いがあります。
その出会いを決めるものが間合いです。
相手を敵としてみるのか、好きな相手としてみるかはその後の行動を大きく変えます。
唇を緩ませれば、唇は浮いていきます。浮いた唇はおばけのようにすぅ~と前へと進んで相手へと届きます。
目力に頼れば、間でバチバチと火花も散らしますが、唇が相手の背中まで届けば、相手全体を覆うようにして受け入れられるようになります。

敵意を持たれなくなった相手は力の入れ方が変わり、驚き、結果的に思うような動きが出来ず、こちらの手玉に取られる事になる。
これが唇の術理です。

骨や筋肉に比べたら、唇の動きは「微細」です。
しかし、まだまだ、小さな動きは私の中にあったのです。
それが腰椎5番の前後の動きです。

腰椎5番は前後の動き。
これは何度か、書きました。実感はなくても、そうだった、と記憶には残っているかもしれません。
知っている、というのは大切な事。宝の地図のようなものです。
ここに「微細」がある、とわかればそれを探ればいいのです。

腰椎5番は板の上に乗ったビー玉のようなもの。
脚が働くのは腰椎4番のようです。脚は地面に接していますから、それこそ、無意識のうちに、地面との反射に気持ちは持っていかれます。
地面との反射の前に、まず、前後がありました。

もともと、この腰椎5番に気づいたのは寝起き時です。
ゴロゴロと寝ていて、起きれない、動けない、そんな気落ちした中で、動けるところはないかな、と探してみたら見つかったもの、それが腰椎5番でした。

ブランコのように前後に揺らしてみれば勢いも生まれます。
その勢いは腰椎4番にわたり、脚に力をくれたのです。

今まで気づいていなかった部分があったのです。
そして、前後の動きは板の傾きを決めるものです。
ほんのちょっと、ちょっとだけしか傾きません。

これが本物の板とビー玉であればわかりやすいはずです。
誰が見てもやっても、ちょっと傾ければビー玉は転がります。
しかし、腰椎5番は身体の中、それも奥深く、一番下にあり、気づけません。崩れを生まないように、全身が守ってしまうのです。
ただ、間違いなく、その5番は前後に動くのです。

前後に動かした時にそれに合わせて現実が変わる。
始まりと終わりのシンクロが分かれば、自然と扱いが変わります。
身体的前後の動きは気持ちも前後に変えていきます。
腰椎5番を前へと渡せれば気持ちも前向きになる、それがわかれば、人生がかわるのは当然です。

私のこれまでは人生に対して後ろ向きでした。
しかし、後ろ向きでも楽しかったのです。それは人生の全てを研究の糧にする事が出来るとわかったからです。
前を見ずに、自分だけを見て、それで稽古をすれば新しい自分が分かり、この苦しい世界をもうちょっと楽しく生きていける、そんな気持ちでした。

ただ、もっと簡単に楽しく生きられたわけです。
とにかく、前向きに、外へと自分を移動させ続ける。そんな生き方、動き方も選べたようです。
前と後ろは真逆の関係です。
外にある基準をガラリと変えるのは大変です。しかし、始まりの部分であれば、ほんのちょっとの変化で大丈夫。
ここが「微細」を教えてくれたのです。

「つくば稽古」

日時:2023/12/3(日)13:00-20:00
参加費:10000円(当日払い)
会場:つくばカピオ リフレッシュルーム
住所:茨城県つくば市竹園1-10-1 

「東京ロングヒーリング」

日時:12/5(火)10:00-17:00
参加費:24,000円(当日払い) 最大人数6名
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
残り2名ほど、興味のある方はお早めに。

「東京夜稽古」

12/5(火)18:00-21:00
会場:大岡山西住区センター
住所:目黒区平町一丁目15番12号
参加費:参加費10000円(当日払い)
同日10-17時にある「東京ロングヒーリング」に参加の方は5000円

「甲野善紀先生名古屋講習会(12月)」

稽古日時:2023/12/16(土) PM2:30~PM5:00
稽古場所:名古屋市南生涯学習センター/第4集会室
会場住所:名古屋市南区東又兵ヱ町5丁目1-10
参加費:8000円

共に詳細、申し込みはウェブサイトから。
http://www.karadalab.com/

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